2008年01月29日

蚊を放って蚊を滅ぼす?!

蚊を絶滅させるための「遺伝子組み換え蚊」
2008年1月29日 WIRED VISION

イギリスのバイオテクノロジー企業、Oxitec社の研究者たちが、若いうちに死ぬようプログラムした遺伝子組み換え蚊によって、デング熱の蔓延を抑制できる確証を得たという。
デング熱は、蚊が媒介する感染症で主に発展途上国の都市部を襲う。
Oxitec社によると、オスの遺伝子組み換え蚊を作って自然界に放ち、野生のメスと交配させることで、蚊の個体数を大幅に減少させることができるという。これらの蚊から生まれた子には、生殖機能が発達する前に死ぬ致死遺伝子が組み込まれているのだ。Oxitec社はワイアード・ニュースの取材に対し、最新のテスト結果から、遺伝子組み換え蚊は野生の蚊と同じように繁殖できることがわかったと述べている。
米疾病管理センター(CDC)によると、蚊の媒介によってデング熱に感染する人は年間で最大1億人に上り、うち最大500万人が死亡するという。今回のテスト結果を実際の環境で再現できれば、デング熱を媒介するネッタイシマカの次世代の半数を殺すことが可能になり、デング熱の蔓延を有意に抑制できると研究者たちは述べている。順調に行けば、Oxitec社は3年後にマレーシアで遺伝子組み換え蚊を大規模に放す計画だが,反対意見もある。


チチュウカイミバエなどに対して不妊虫放飼法という
駆除法法が効果を挙げていることはよく知られています。
放射線を当てて不妊になったオスを大量に自然界に放すことで,
自然界のメスは交尾しても子が生まれず,次世代の個体数が
激減するというもの。

ただし,カの場合,不妊化できるほどの放射線を照射すると
死んでしまうそうで,今回の方法は,生殖能力を持つ前に死んでしまう
致死遺伝子を組み込んだ個体を作り,これを放すことで
放たれたカが作った子が次世代を残さずに死に,
カを駆除することができるというもの。

ただし,その放すオスのカ自体はメスと交尾できるステージまで
成長していなければならないわけで,そこは抗生物質の
テトラサイクリンを投与しなければ死んでしまう遺伝子を
組み込み,飼育中はこの物質を与えることで解決。
放たれたオスは自然界のメスと交尾して子を残すが
その新しく生まれた世代は生殖機能を持つまでに死んでしまうそうです。

うまいこと考えたものですが,
自然保護団体や有機消費者協会から遺伝子組換え生物を野に放つことに
対して批判・反対を受ける可能性があるとのこと。
曰く,放ったカを封じこめたり回収が必要になる事態を想定しているのか,
テトラサイクリンは自然界にも存在する,など。

新しく生まれた世代が全部死んでしまえば問題ないわけですが
もし生き残ったカがいたらそれは遺伝子組換えによって
未知の形質を持った,新たな害をもたらす可能性があるのではないか
まして人を刺して伝染病を媒介する虫だけに…
みたいな薄気味悪さはないといえばうそになりますけどね。

ただ,農薬に耐性を持って大繁殖するようになった農害虫や
抗生物質耐性の病原菌のように,どんな具体的な問題が生じる
可能性があるかというと「何が起こるかわからないから怖い」
レベルの話じゃないかと思います。
環境保護団体といっても言ってることが何でも正しいか,
やってることが正しいかというと,いろいろですしね。

年間で1億人が感染し500万人が死ぬほどの病気,しかも
都市部で多く発生するとなると観光客や海外出張も多い
(カの場合飛行機にまぎれこんで海外からやって来るケースも。
1機1機着陸ごとに機内で乗務員が虫取り網を振って
入国阻止につとめるそうですが)日本人にとっても他人ごとでは
ないですし,やってみる価値はあるんじゃないですか。
英国企業の開発した技術ということで,
あんまりにも巨額のお金が動くビジネスになっちゃうようだと
ちょっと嫌かなという気はしますが。


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posted by ドージマ・ダイスケ at 17:58| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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