2007年12月16日

ついに出た!『田部の生物1をはじめからていねいに【生命の連続性編】』


田部の生物1をはじめからていねいに 生命の連続性編―細胞・生殖と発生・遺伝 大学受験 (東進ブックス 名人の授業)
田部 眞哉 (著) ,ナガセ (2007/11) (→Amazon
木原アイコン
12月になって受験モード全開の今の時期に「はじめからていねいに」やってる時間なんてねぇ!って言われそうだけど,今回はこの本を紹介したい。


東進ブックスから出ている『はじめからていねいに』シリーズ,理科はこれまで物理と化学しか出ていなかったのだが今回,『生物I合格39講』などで知られる田部眞哉講師の筆による「生物1・生命の連続性編」が登場した!



『はじめからていねいに』シリーズに生物がないにもかかわらず
東進の講師なのに学研やPHPなど外部の出版社でばかり出して
東進サイドも「なんでうちで出さないんだ!」と
怒ったのかもしれないなw。



生物1 合格39講(新課程版)
学研(2004/11) (→Amazon

カリスマ先生の生物―7日間で基礎から学びなおす
PHP研究所 (2005/09)(→Amazon

演習編きめる!センター生物I (センター試験V BOOKS (15))
学研(2006/09)(→Amazon

それか,「これ1冊で高校生物1の基礎ができる本にしろ」
「いや,“はじめからていねいに”書いたら1冊ではおさまらない」
という編集方針のすりあわせで時間がかかったのかも。
正直な話,化学なんかは分野のムラとか基礎から急に難しくなったりとかあって
そんなに「丁寧」じゃないから(これ内緒な)。

で,この本の内容だけど,生物1の範囲のうち
約4分の1か3分の1程度の内容にあたる「生命の連続性」
(生殖・発生・遺伝)に内容を絞って1冊にしただけあって
書名にたがわず,笑っちゃうくらいていねいだぞ。
表紙カバーや帯に「図が巨大と書いてあるように
図解への力の入れ方はもうハンパじゃない,徹底的!

たしかにこの分野,いかに図を読み込んで,生殖細胞の形成や
胚発生の過程を理解するかということがキモなだけに
図は命といってもいいから,この狙いは正しい。
と,わかっていても,普通の本,教科書や参考書では
こんなものだ。胚の図1つがせいぜい直径3cmくらい。
はじめていねい生命連続編 カエル発生※画像をクリックすると大きく見ることができます。

図録でも,たくさんの図や写真を載せる都合上,
1つ1つの図はかえって小さかったりする。
これでも描かれている内容が見えないってことはないから
必要なものは満たしてるんだよ。

しかし,この『はじめからていねいに』だと,
この全体の流れをつかむための図とは別に,
この後,それぞれの段階について個別に
ページを割いてていねいに解説するのだ。


はじめていねい生命連続編 カエル胚解説
カエルの発生だけでなく,ウニも同様。
はじめていねい生命連続編 ウニ発生

美可理アイコン(niko)
このブログがマンガでやりたいと思っていた路線を,方法論が固まらないうちに先にやられちゃったみたいな感じですね。
モバQいや,頑張りますから,よろしくです…)


木原アイコン
各段階で起こる現象や,他の胚との違い・特徴についてくわしく解説するのはもちろん,胚の断面図ならその切り方,胚と成体の方向の対応といった基本的な図の見方からきっちり解説(教科書でも平成15年新課程版の第一,数研(新編)から小さな補助図を入れ始めてるけどな)。わかる人にとっては簡単な話でも,ここをおろそかにすると全体の内容理解に影響してくるから,いくらていねいでもていねいすぎることはない。

涼アイコン(niko)
解説がていねいだと字が多くて,読むのがしんどくなりそうですけど,この本は図が大きくて字がページいっぱいに入ってるわけじゃないので,読みやすい感じですね。

木原アイコン
それに暗記事項の羅列や詰め込みではなく,つながりを持った関連事項の積み重ねだから,くわしければくわしいほど頭の中で生きた知識として理解・イメージできることになる。
予備校の講師が語り口調で解説する本がなんで読みやすくて売れるかといえば,ストーリーというか理解するための流れ・筋道を作ってあるからというのがあるだろうな。

樅男アイコン
しかし,同じ内容の図を繰り返し使ったり,大きく図を入れたらその分余白が大きくて字が少なくて済んだりとか,ページ稼ぎという感じもしなくはないですな。
この調子でいけば「生物1」だけで3冊,「生物II」も3冊くらいいきますぜ。

木原アイコンええ?!
だはは。いえてるな。
生物IIはともかく,生物Iは当然残りの範囲も同シリーズで出すだろうな。でも,こういうコンセプトで作られた本が1冊現れたことはすごいと思うぞ。受験対策で遺伝に絞った本とかはあっても,生殖・発生・遺伝に内容を絞って,図をふんだんに使って基本から丁寧に解説するなんて“ぜいたくな”本は出そうにもなかなかできないからな。

分冊といえば,平成の初期に『○○講義の実況中継』シリーズってのがあってけっこうバカ売れしたんだが,安っぽい紙を使って300ページもないのにやたら分厚くて,生物は高校で習う範囲を上中下巻の3分冊にしてたけど,もったいぶらずにもっとコンパクトにまとめろ!って思ったなあれは。書名がよかったのと,ぱっと見,わかりやすそうに見える形なのがよかったんだろうが,一番気になったのは,当時の高校の生物の範囲とのずれが目立ったところだな。「これでセンター試験の点数2割アップ!」とうたっておいてセンター試験に絶対出ない,二次試験にもそんなに出ないようなところを一生懸命語ってたり。

樅男アイコン
いつもながら大先生,お金の話と悪口になると止まりませんなw。

史絵アイコン(niko)
「生物I」のうち何分の1かの内容だけで1冊1,000円以上したとしても,わかりやすくてしっかりためになる本なら,安いんじゃないですか?映画1本,予備校の講義1時間と比べても…ね。

美可理アイコン(niko)
そういや,こないだテレビの街頭インタビューで,出てきた高校生の女の子たちがどの子も岩盤浴の回数券持っててびっくりしたわ…。あれって1回いくらくらいするんだろう…?
(部長,今回,なんか,マイペースというか脱線ぎみ…?)


木原アイコン
この本は生殖と発生に力を入れすぎて時間やページが足りなくなった?せいもあって,遺伝は特別にくわしくていねいな解説というわけではない。まぁ遺伝は他につっこんだ解説をしてる参考書や受験解説本がいくらでもあるからな。
発生にどのくらい力を入れてるかという現れの1つとして,見開きでこんなページを設けたりもしてる。

はじめていねい生命連続編 オタマジャクシ発生
「ときどき試験に出るぞ!」って…
そりゃ小学理科の範囲だから常識問題として大学入試(特に教育大など)に出ないこともないけど。まぁ,「はじめからていねいに」だからこのくらい丹念に扱っているということだ。


※08/01/17追記:ちょっと気になったのが,カエルの発生のところで
教科書で細胞板と書かれている部分について「細胞溝というと
中央のすじの部分だけだと思ってしまいがちだけれど
この部分すべてが細胞溝」
と書いてあること。
発生が進めばこの部分全体が陥入していくんで,
上がふさがるくらいの段階になれば教科書でも「細胞溝」と
してるんだが,そうなる前の段階の細胞板と書いてある部分を
なぜわざわざ細胞溝だと強調してるんだろか?
ちょっと疑問に思ったな。

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posted by ドージマ・ダイスケ at 16:19| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 【参考書・問題集】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めての書き込み、失礼します。
偶然、たどり着いたのですが助かりました!
友達も持っていて、この本がいいかな?
と思いましたが、実際はそうでもないようですね。
私は漫画とかあまり好きじゃありませんし、
ページ稼ぎ的なところや、細胞溝のところも怪しいんですね…

簡潔にまとまっているほうが良いし、一冊でまとまっているほうが経済的にもありがたいので、他の本を探してみます!(合格39講とか)
ありがとうございました。
Posted by ゆっきー at 2009年02月08日 02:47
コメントありがとうございます。
自分としてはプッシュするつもりで書いたんですが,
ゆっきーさんには,逆に切る理由が見つかるという意味で役に立ったとのことで
客観的な情報を提供できて嬉しいです。
もう自分にあった本は見つかりましたか?
頑張ってくださいね。
Posted by ドージマ at 2009年02月15日 20:32
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