2007年10月10日

吸血生物オロロとゼノパスの恐怖?!

「体育の日」のハッピーマンデーでお休みになっていた8日月曜日,
日テレ夕方の『NEWSリアルタイム』で,生き物ネタが2連発取り上げられていました。


2007年10月8日(月)「列島異変37 謎の吸血生物オロロ&日本のカエルが絶滅の危機!?」

一発目の「謎の吸血生物オロロ」は,
自然の豊かな山の中で地元の子どもたちや観光客などが
“鋭い嘴で刺し,痛がゆい症状を呈す”生き物に襲われているという話。
取材に出た女性スタッフも,決して小さくない虫がブンブン飛んでいる中
あからさまに不用意に自動車の外に出,またたく間に刺されて
指の先から出血,ジーパンの上からも刺されまくっていました。
しかも車のドアを開け放している間に車の中にもびっしり虫に入り込まれていました。
この虫・オロロの正体は「イヨシロオビアブ(伊予白帯虻)」。
愛媛県で最初に発見され,黒い体に白い帯が鮮やかなこの虫は
動物の体を刺して,流れる血をなめるわけですが,
現在は日本海側で広く見られ,石川県県民の森では二酸化炭素と
特製の誘因匂い物質を使った駆除装置を3年前から導入,
1週間で2万匹獲れることもあるそうです。

このイヨシロオビアブ,
自然の豊かな所ほど多く発生している
すなわち被害もひどいという話。
先日の当ブログの百物語((2)新人編)でも扱いましたが
自然に近づいても人の体に健康とは限らない,
不用意に入り込んだら自然は決して人間に優しくはない
ということですね。

後半の「日本のカエルが絶滅の危機!?」は,
和歌山県田辺市鳥の巣地区で,山の中の小さな池に謎の生物が出現,
地元の人たちが“黒いものがブクブク浮き上がってくる”と語っているというもの。
取材スタッフが水中にカメラを入れて撮影してみると,
ナマズのようなひげを顔の前方に伸ばし,後ろ足の生えたオタマジャクシが
頭を少し下げた姿勢で大量に水中を浮遊している光景が。
頭の小さいやや三角形の体型をしたひげのあるオタマジャクシといえば,
高校の生物ではおなじみですね。そう,アフリカツメガエル

環境調査のため招いた教授が鳥肉を釣り糸の先につけて
池の中にキャスティングすると,アフリカツメガエルの成体が
釣れる釣れる。
一生を水中で過ごすことが特徴的なこのカエルですが,
肺呼吸のため水面に息をしに上がってこないといけない。
シンクロナイズドスイミングよろしく,次から次へと
水面上に飛び上がって上半身を露わにする様子からいっても
相当な密度でゼノパス(アフリカツメガエル)が発生していることは
一目瞭然。

「少なくとも数年前からこの池に住み着いていることは間違いない」
ゼノパスの見つかった池は道路の近くで,
何物かが販売目的で養殖池代わりに放したと思われる。

で,アフリカツメガエルというと,
今,大問題とされているのがカエルツボカビ問題。
カエルの皮膚に感染して角質化させ,感染したカエルは高い確率で死亡。
オーストラリアで10種類のカエルが絶滅,
中南米では3ケタの種類が絶滅したといわれている。
実はこのカエルツボカビ菌を広めた原因の1つとされるのがゼノパス。
カエルツボカビはオタマジャクシの間はカエルに何の害もなく,
一生を水中で過ごすゼノパスも,感染しても発病しないため,
逆に保菌者としてカエルツボカビ菌をばらまく存在になったといわれている。

で,取材班は鳥の巣地区の池で採集したゼノパスを鑑定に回したところ
国立衛生研究所の検定結果は,見事に「国内2例目の感染例」。
さあ,どうなる日本のカエルたち?!

ギャー!大変だ大変だ!えらいこっちゃぁぁぁ!!!

ですが…
番組内でも言われていたのですが,
わが国では,野外の感染例はあっても発症例はないんですよね。

私が直接聞いた話ですが
「カエルツボカビなんて,そこらじゅうにいますよ。
 海外の大量絶滅なんて他に原因があるのをツボカビのせいにしてるだけ」

と語る世界的な両生類の学者もいらっしゃるんですよ。

そのときは雑談としてちょっと出ただけなので
どういうデータを元にそう語られたのか聞けなかったのがつくづく残念。
カエルツボカビを問題としている学説では「従来のツボカビ菌とは違う
病原性を持った新種」ということになってますが
もし,環境汚染などの原因によって免疫不全になりカエルツボカビ菌に
感染しやすくなっているだけなのだとしたら…
フィールドよりラボでの研究がメインのこの先生にあっさりと
問題の存在自体を覆されたらカエルツボカビ問題に必死に取り組んでいる
学者先生各位涙目(;ε;)

…てことになったらひと安心なんですけどね。

そうだとしたらそれで,数々の「カエルツボカビによる」
海外のカエル絶滅現象の真の原因をつきとめないといけないですけどね。


バッド(下向き矢印)ブログランキングにジャンプします。
 クリックいただけるととてもうれしいです。<(_ _)>
にほんブログ村 漫画ブログ オリジナル漫画へ人気ブログランキングバナーくつろぐバナー




ツメガエル卵の分子生物学 塩川光一郎/東京大学出版会
posted by ドージマ・ダイスケ at 02:04| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
カエルツボカビで注目されたアフリカツメガエル
和歌山県田辺市鳥の巣地区のカエル達は、その後
どうなったのだろうか?
Posted by あふらー at 2008年09月09日 13:02
カエルツボカビ関係では
WWFジャパン http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/biodiv/alien/chyt2007/index.htm
麻布大病理学教室 宇根準教授 http://www.azabu-u.ac.jp/department/veterinary/vet/lab/lab_08.html#
環境省 http://www.env.go.jp/nature/info/tsubokabi.html

といったところですが,いずれも今年に入ってそんなに新しい情報を発信してませんし,特にニュースになるような話題も伝わってきていませんよね…。
とりあえず国内のカエルには明らかな被害は出ていないようですね?

とりあえずいちばん進行形の情報が出ているのは国立環境研究所でしょうか。
あさって12日(金)にカエルツボカビ関係のセミナーがあるそうです。
http://www.nies.go.jp/risk/PJ4seminar/nextseminar.htm

こちらを見ても,具体的に深刻な被害が出て迫られているというより,わからないことばかりなので学術的に日本やアジアの分布と系統を調べているというニュアンスが感じられます。
Posted by ドージマ at 2008年09月09日 22:08
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
記事検索
 

ケイン 基礎生物学
東京化学同人