
西武渋谷店では2011年に初開催後,2016年から2018・2020年と隔年の開催になるんですね。
6章構成の作品展,「金魚酒」など代表的な作風の透明樹脂にレイヤーを重ねて描く2.5D Paintingのほか,キャンバスや陶器などさまざまな素材の作品(鮭のかわりに金魚の木彫り熊のインパクトが(;^ω^)),金魚スケッチ(作品を描くときに生きている金魚を見ることはしないが飼育している金魚が亡くなったときにはその個体のことを書き留める),金魚酒の歴史などが展示。
ちなみにケロリン繋がりでこれは #ケロリン百済 という作品😚 pic.twitter.com/Mk5R1p2bF8
— 深堀 隆介 (@RiusukeFukahori) October 15, 2020
この「ケロリン百済」も展示。
基本的には大量の金魚が描かれる作品は1尾1レイヤーかなという描かれ方なのですが
一番手前の金魚はすごく立体的。視点を動かして見ると金魚の角度が変わるんですよね…
金魚酒の歴史…過去にはけっこう販売されてたんだ…
初めて出会ったとき,金魚すくい和金の金魚酒が手の出せる値段で
本当にあのときお迎えしてたら…と引きずってるんですよね…
(そのときのことを書いたエントリ「すごいわ金魚アート」(2012年07月29日))
基本は撮影禁止で撮影可は第五章「金魚ノ四季」に限定されていましたが,これだけでもすごい見応えでした。
このインスタレーション作品は2018年の平成しんちう展からでしょうか。
「春」

この「春ノ桶」,視点を動かすとひれや体のくねらせる角度が変わる…
ほんとうに金魚が立体的なんですよね
「夏」
「百舟」「トロ絵舟」「色袋」
夏はほかの季節と違って売られている金魚,飼っていない人も含めて接点が生じる
パッケージとしての金魚の姿。日本の夏の風物詩として金魚の存在の大きさを改めて感じます。
「秋」
「秋敷」…金魚もさることながら枯れ葉や水草のリアルさがおそろしい次元ですよね…
「冬」
飼っていれば金魚は春夏秋冬生きているわけで,冬の金魚も趣がありますよね…
「椀-白澄」
「雪花」冬のイメージの白い体色の作品のほか,雪と赤い金魚の組みあわせも
さて,私が行った日はライブペインティングが開催されました。
前日に黒い金魚の胴体が描かれ,この日は2日目。
まさにお子さんからシニアまで老若男女が集中注目するパフォーマンス
あのリアルな作品,完成作品を見ればある程度筆遣いとか想像はできるものの,どんな色を重ねてあのような生き生きした絵が生まれるのか直に見たいと思っていたのでこの日は外せないと思っての参戦でした。
重ね塗り,下地的な塗りに時間をとる比重が大きい可能性は
想像してはいましたがまさか−
金魚の中に前方後円墳とか
金魚の中にエビが入っているとは思いませんでした^^
原色というか鮮やかな絵の具を使用するんですね。
金魚の外側の色には青色がなくて,目のところだけに青を使うとおっしゃっていました。
メダカも目の青色がある意味特徴的なのですが,金魚ではそこにしかない色ということは構造色なのかもしれませんね。
チューブでぶちゅーってやったり,水鉄砲で吹きかけたり
下地が一段落すると,ここからは完成まであっという間。
目や鱗が描かれてさらにその上に色が塗り重ねられたりと
ドライヤーや刷毛で乾燥させながら次々にレイヤーが重ねられ
最後はひれが描き入れられ…
どこまでのびるのか
(もともと2匹目の体も本来の絵のスペース外と思われますが^^)
古墳の話から紋章に関する考察に発展したり
コロナ禍における社会への思いを語られたり
筆運びや作品の成長の様子だけでなくトークでも飽きさせない
仕切られた観覧スペース内に入れた人たちは
質問コーナーを含めて約1時間,ほぼ全員場を離れませんでした。
質問コーナーと合わせて1時間,集まった人たちはほとんど入れ替わりなく釘付け状態でした。 #深堀隆介 #ライブペインティング
— 堂 嶋 大 輔 『マンガ生物学に強くなる』 (@dojimadaisuke) October 18, 2020
質問コーナーでは当てていただいて,一見ずれた質問だったのですが作品・制作の核心のほうに展開してがっつり答えてくださいました。ありがとうございました♪
完成
わたし的にはけっこうご無沙汰していた後
9月にパナソニック汐留美術館『和巧絶佳展』で
作品を鑑賞できて,その翌月のこの企画展。
けっこう立て続けのタイミングとなりましたがとても楽しかったです。
【行ってきた】 超絶技巧と美「和巧絶佳展」(2020年09月21日)
深堀隆介 調布市文化会館で展示会 【金魚アート/行ってきた】(2013年07月07日)
図録は何点か出ていますが最初の頃のものは作品の魅力を再現しきれていない思いがあって,ですがこの『平成しんちう屋』作品集はボリュームも作品の幅も再現性もかなり満足できる1冊だと思います。