12人の工芸美術家たちの作品を集めた作品展。
1970年以降生まれの縛りで選ばれた方々とのことですが
いずれも『日曜美術館』や『情熱大陸』クラスの
お茶の間でも目にされた人も多い有名な作家・作品ばかり。
それを114作品も一堂に会して直に見ることができて
どれも「すご!」と声が出るくらい見事でした。
写真OK・拡散推奨ということで
Twitterのほかここブログでも紹介したいと思います。
(照明がとてもよくて写真撮りやすかった…)
■館鼻則孝
https://wakozekka.exhibit.jp/tatehana-noritaka.html
江戸時代のファッションリーダーたる花魁にインスピレーションを受けた
Heel-less ShoesやFloating Worldなどの個性的な靴の数々
レディ・ガガ様からオーダー受けて話題になった
あの
■桑田卓郎
https://wakozekka.exhibit.jp/kuwata-takuro.html
赤・青・黄色・金・銀…
ド派手な色彩と,ゴツゴツどりーっとした形容しがたい形状
梅華皮(かいらぎ)(陶磁器にみられる釉薬の縮れ)の応用とのことですが
もう何これ?!というインパクト。
下のゴールデンボールは茶碗の台ですと。
金と白金のワンセット。この形状と貴金属の輝き,
強い。
40cm前後の,どっちかというと壺というボリューム感の“垸”がずらり。
ずらり並ぶと戦隊ヒーロー感ある存在感。
どり〜。
この会場,撮影OKなこともあり,禁止事項の表示はあまりないのですが
数少ない「お手を触れないでください」の表示が。
これはどう本体とくっついている(つながっている)のか
どのくらい強いのか
■深堀隆介
https://wakozekka.exhibit.jp/fukahori-riusuke.html
スカイツリー開業の年(2012年)に初めて作品に接して以来,
特別展など何度となく見に足を運んだ深堀作品ーそれは樹脂の中に泳ぐ金魚たち。
私にとってもうおなじみの「四つの桶」(2009)
こう目線を下げると絵であることがわかりますが,
各一匹の個体ごとの層を細かく分けて厚みができちゃうと
見る角度によってはレイヤーのずれや分離ができちゃうから
個体ごとの立体感より個体の重なりによる奥行きを表現しているということでしょうね。
和金・黒出目金・丹頂・水草の4つのうちの水草を描いた「草影」など何度見てもすごい。
百舟(ももふね)2018年
生き生きとした個々の魚体の表情,群れとしての生命感
水面の表現に加えて,底に沈む落ち葉がほんとうに
本物以上の本物にしか見えないのがすごいです。
しかし,深堀作品の神髄はやはり「金魚酒」にありですね…
毎年のように新作が生み出されて新鮮で進化が感じられて
どう見る角度を変えても金魚が丸ごと入っているように見えます
2016年「伽琳」(Carin)
2017年 桜升「淡紅」
2019年「長夢」
※以前に行ったときのブログ
表参道 http://ddaisuke.seesaa.net/article/283793353.html (2012)
調布市 http://ddaisuke.seesaa.net/article/368528183.html (2013)
このほかにも横浜等見に行きましたね…
■池田晃将
https://wakozekka.exhibit.jp/ikeda-terumasa.html
螺鈿(らでん)と蒔絵,伝統工芸の漆工作品なわけですが,
デジタルモチーフと組み合わさって
クールというかSF・未来感というか…なんなんですかねこれ。
1〜2mmの大きさに数字をカットするのは細密レーザー技術の仕事にせよ
それをこれだけの数貼り付けて作品に仕上げる。めっちゃ見惚れます。
ピラミッドやサイコロをかたどった片手に乗る大きさの物体・道具に
強烈な密度で装飾を施された作品たち。
■見附正康
https://wakozekka.exhibit.jp/mitsuke-masayasu.html
この作品展のキービジュアルにも使われている
伝統的な九谷焼の赤線描画技術に,本来なら縁まわりだけに施されていた幾何学模様を
超細密に全面にあしらった大皿や香水瓶など
■山本茜
https://wakozekka.exhibit.jp/yamamoto-akane.html
截金(きりかね)って技術,すごすぎない?
ガラスの中に金や白金で描かれる繊細できらびやかな装飾
源氏物語シリーズ第四十帖「御法」
源氏物語シリーズ第十九帖「薄雲」(雪明り)
截金硝子香合「延齢草」
截金硝子香合「無我」
■新里明士
https://wakozekka.exhibit.jp/niisato-akio.html
磁器に透かし彫りする「蛍手(ほたるで)」の技法。
1つ1つの器の形状も手で伸ばし広げたような
花びらのほうなわずかなゆらぎが感じられて
やわらかさ・繊細さを感じました。
■橋賢悟
https://wakozekka.exhibit.jp/takahashi-kengo.html
真空加圧鋳造の技術で厚さ0.1ミリの超極薄に仕上げられた
アルミニウムの頭骨と花。
FlowerFuneral-goat
FlowerFuneral-airdale
FlowerFuneral-cattle
真空にした型に高圧で素材を流し込むことで精密に薄くつくることができる
鋳造技術で,ジュエリーの世界で使われていた技術をさらに精密に向上させたのだそうです。
花は実物を鋳型の中で焼失させ,空洞部分を型とする現物鋳造。
頭骨のモチーフはエアデール,ブルドッグ,ヤギ,ウシ,ネアンデルタール人,アダムとイブなど等
■安達大悟
https://wakozekka.exhibit.jp/adachi-daigo.html
板染め絞りの技法で,配色・発色の仕上がりは非常に緻密に計算されたものだそうです。
こういう作品がばばーんと展示されていると,
アートシーン,って感じがします。
■坂井直樹
https://wakozekka.exhibit.jp/sakai-naoki.html
金沢の金工工房で技術を磨き,その文化や歴史に触れ
鉄を主な素材に,生活に根差した花器や鉄瓶を手がける
火と槌で鉄を鍛える長い工程で「重く冷たくのしかかる金属の感触が
まるで正反対のものとして生まれ変わっていく瞬間があります。
手の中でそれを感じるときが鍛金の仕事の最大の魅力です」
■橋本千毅
https://wakozekka.exhibit.jp/hashimoto-chitaka.html
螺鈿と蒔絵,こちらは花鳥昆虫など自然素材や唐草など伝統文様の
作品ですけど,いいですねえ…
鸚鵡
蝶牡丹螺鈿蒔絵箱
蝶
写真では伝わらないかこの鮮やかな色と光…
図録や宣材の写真を撮影するプロの技術も凄いと改めて思い知らされました
これはほんとう生で見るべき
■佐合道子
https://wakozekka.exhibit.jp/sago-michiko.html
土から「いきもの」(動植物などの生物とは限らない,変化するもの全般)の
変化がもたらす永続性をイッチン(絞り出し)やフロッタリング(摩擦画)的技法で表現。
「還る」
古生代のウミシダ化石か,中村桂子先生の系統樹曼荼羅を思い起こさせます
「原生の発露」
「とこしえ」
深海熱水床を彷彿と
和巧絶佳展 ホームページ https://wakozekka.exhibit.jp/ Twitter公式アカウント https://twitter.com/wakozekka_ten 舘鼻則孝|KOSAKU KANECHIKA http://www.kosakukanechika.com/artist/noritaka_tatehana/ 桑田卓郎 | KOSAKU KANECHIKA https://kosakukanechika.com/artist/takuro_kuwata/ 金魚養画場 美術作家 深堀隆介オフィシャルサイト RIUSUKE FUKAHORI http://goldfishing.info/ Twitter https://twitter.com/RiusukeFukahori Terumasa Ikeda 池田 晃将 漆芸・美術 作家 https://www.terumasa-ikeda.com/ 見附正康|所属作家紹介|加賀九谷陶磁器協同組合 http://www.kagacable.ne.jp/~kagakutani/kumiai/kumiaiin/mituke.html 截金ガラス作家 山本茜オフィシャルサイト https://akane-glass.com/ KENGO TAKAHASHI 橋賢悟(たかはし けんご) http://kengo-takahashi.jp/ Ceramist-Niisato Akio/新里 明士 Ceramic artist (Japan) http://niisatoakio.x0.com/ 坂井直樹 准教授 Sakai Naoki 金工 - 東北芸術工科大学 https://www.tuad.ac.jp/teacher_info/sakai-naoki/ 安達大悟 DAIGO ADACHI textiles https://dadachitex.wixsite.com/daigoadachi 橋本千毅 漆工芸作家 http://www.chitaka-hashimoto.com/jp/ 佐合道子 Michiko Sago https://www.michikosago.com/ https://twitter.com/sagomichi |
もう会期が終わっちゃうので
ここに来られた方への情報提供というより自分用の忘備録になっちゃいますが
(カイラギとかきりかねとかの用語も,覚えたつもりですぐ忘れちゃいますし(;^ω^))
気になる作品があったら作者の名前をチェックされるのもよいかと思います。
※追記
作品保全と混雑緩和のため、会期末9月21日(月・祝)と22日(火・祝)の2日間、写真撮影をご遠慮いただきたく、ご協力宜しくお願い申し上げます。#和巧絶佳展 #わこうぜっか展 #パナソニック汐留美術館
— 和巧絶佳展 (@wakozekka_ten) September 21, 2020
あっぶねぇ…1日違いだった…