前回の「亜南極ゾーン」を抜けて,再び1階に上がると,屋外の「フンボルトペンギン特別保護区」がすぐ目の前に
(エスカレーターで上がって回れ右する必要がありますが)。
または,海響館のエントランスから右手前に進む「亜南極ゾーン」への進路よりも
やや前寄りを右に進むとすぐに「フンボルトペンギン特別保護区」に出られます。
日本でフンボルトペンギンを飼育するのは単なる見世物ではなく,
種の保護・保存のため。ということで,海響館はチリ国立サンチアゴ・メトロポリタン公園
メトロポリタン動物園と相互協力し,飼育技術や野生地でのフンボルトペンギンの保護に
貢献する研究・教育活動を行っています。
ということで,この「特別保護区」も,
フンボルトペンギンの生息域外重要繁殖地として指定を受けており
生息地を再現したつくりになっています。
このエリアにて飼育されているのは40羽。
だいたいペアになっていて,毎年のように産卵・孵化育雛が行われています。
【ペンギン4コマ】3人合わせて…(3)聖なる娘?!
https://www.pixiv.net/artworks/71174973
「穴掘りペンギン」(holly penguin)ことフンボルトペンギン属の仲間は
巣穴をほって繫殖を行いますが,その穴は足で掘るんですね。
今年ひなが誕生しているのはこの巣。
来館者が通る木道からはちょっと見づらい位置・角度に(;^ω^)
歩いて2〜3分くらいで1周できるくらいの大きさのこの特別保護区,
通常のイベントとして,飼育スタッフの方が解説しながら案内してくれる「ペンギンツアー」を毎日開催。
個体が識別できるよう,名前とバンドの色をまとめた一覧を貸してくれます。
個体識別用の色バンドは,性別によってつけるフリッパーを右左で分けたりしますが
ここ特別保護区では,ペンギンツアーのお客さんが見やすいように
どの個体も両翼にバンドがつけられています。
この日は,グレーかと思ったバンドは実は色褪せたピンクだったなんてことがあったりして
スタッフの皆さんは基本,個体の外見で区別がついて,さらにどの子がどの子とペアで
どんな性格で,他の個体とどういう関係か頭に入ってるんですよね。すごい。
●海響館は,屋外フンボルトペンギンの施設がほかにもあり,こちらも合計40羽弱が飼育されています。
(海響館全体で80羽弱ですね)
こちらのペンギンプールではペンギンのお食事が
「ごっくんタイム」として解説つきのイベントとして公開。
ペンギンのえさはアジやカラフトシシャモなどです。
栄養不足がないよう,どこの園館も個体1羽1羽が魚を何匹食べたか記録をつけますが
健康に問題ない分食べたことが確認できたら,あとは自由競争タイム
来館者は,下の段でガラスの間近から水中のペンギンの様子を見ることも
後ろの上の段で上から地上組のペンギンの様子を見ることもできます。
「お魚もうないよ」 終了のサイン。
このプールの隣には「ふれあい広場」。
このエリアにいる15羽のペンギンたちは
すべて来館者とのふれあいが可能なレベルでトレーニング済みの個体たち。
(もちろんさわれるのは特定の催し時に参加枠の範囲のみですが)
繫殖から上がるクラス(個体番号1ケタ)のベテランもいますが
みな普通にペアをつくり繫殖もしています。
このクルミ(♂)はさっさとエサを食べて,奥さんに「巣に帰るぞ」と
ひっきりなしに鳴いて呼んでいたのですが,奥さんのほうもマイペースで
なかなか応じず。飼育スタッフさんの説明を聞きながら観察していると
1羽1羽の個性や関係性がおもしろく,親近感を感じます。
タイミングがよければトレーニングをしている様子も
見ることができますよ
海響館は2010年に「ペンギン村」が開設されて今年で10周年,
この3月に記念イベント・企画が開催される予定でしたが
新型コロナウイルス感染症の問題で
3月2日より休館,催しは延期となりました。
流行が世界的なものとなり,先がまだ見えない状況ですが
早く 皆がここで再び生き物との出会いを楽しめる日が戻るよう願います。
市立しものせき水族館 海響館 公式サイト
http://www.kaikyokan.com/