2019年12月21日

【行ってきた】 かはくミイラ展 「永遠の命」

夏の期間またも大人気を博した『恐竜博2019』が開催された国立科学博物館(科博)で現在行われている『特別展ミイラ 「永遠の命」を求めて』行ってきました。

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会場内は撮影等禁止。
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物理的にもデリケートですからストロボなどの光や振動なども避けたいところですし
人のご遺体という点でもデリケートですからしかたないところではあります
(図録への掲載や展示自体どういうことなのかという話でもありますが)

というわけで,
会場で目に耳にした情報についてだらだら書いていきたいと思います。

音声ガイドは大沢たかおさん。
解説映像のナレーションはおそらく大塚明夫さんでしょうか。
ミイラという題材なのに生命力にあふれたイケボナレーションです。



展示順は,まず南米のミイラ

人類の歴史が一番新しい南米ですが
(アフリカ起源のホモサピエンスが到達したのは約1万4千年前頃)
既知の人工ミイラで最古のものは南米産(約7千年前)なんですね。

布でぐるぐる巻きにされたミイラの数々。
(CTなどで性別や年齢,死因などが調査されている)
布に顔の模様が刺繍されていたり
運針のような刺繍やネット包みのように紐で縛ってあったりと
盗掘者に包みが破られていたり。

アンデス地方を統一したインカ帝国では
15世紀頃も歴代皇帝のミイラをつくるなどされていたようですが
スペイン人とキリスト教文化の流入に伴いほとんどが破壊され
今回の展示ミイラはペルー北東部チャチャポヤス地方で
奇跡的に見つかったものからとのこと。

成人男女のものもありますが,
子どものものも。
今回の布包みミイラとの関連はわかりませんが
いけにえの儀式で捧げられる子どもも生前から大事にされ
遺体もミイラとして残されると解説にはありました。


エジプトのミイラ
ミイラといったらまず世界的に代表されるのがこれでしょうよね。

中王国時代のミイラマスク
BC2000頃
カルトナージュ(パピルス+石灰・石膏)でつくられていて
彩色自在の材質。まさにマスク(お面)状態。
後に出てくる,マスクと自分の顔を合成できるマシンで
ツタンカーメンのマスクと並んで選択肢に入っているのですが
描かれた顔がちょっとユーモラスに思え…(;^ω^)

ひげや長髪,装飾品の描かれた堂々とした顔だちのマスク。
この中におさめられていたミイラも展示されているのですが
なんと子どものミイラ。


神官ペンジュのミイラ・ミイラケース・棺
BC800頃

ミイラケースも棺の蓋も棺の中も絵や装飾がほどこされて豪華!
ただ,棺の蓋や側面にびっしり書かれた 「死者の裁判」を
通過してペンジュが冥界の神オシリスのもとへ導かれる
ストーリーに誤字が多いという解説に苦笑。


〇あと,ツタンカーメンのミイラのレプリカも
展示されていたと思うのですが,展示品リストにも図録にも
まったくないですね…記憶違いかしら????

トリビア:「ツタンカーメンの呪い」で亡くなったとされる
   発掘関係者23人の平均年齢は74歳


〇このほか印象に残るキーワード・副葬品など

ナトロン(炭酸ナトリウムの化合物)
 脱水と脂肪分解作用がある強アルカリ性の鉱物。
 カノポス壺に入れて内臓の保存に使われたり
 ミイラ作成時に遺体に塗り付けて使用

・男性器はつくりものを装着

アミュレット(Amulet 護符)
 ミイラを巻くリネン包帯に縫い付けられている。
 動物神や心臓,柱などさまざまなデザインがありおしゃれ

カノポス壺(Canopic Jar)
 内臓を入れておく壺。時代によって変遷があるが
 末期王朝時代は4神をかたどった4つの壺に収納するスタイル
 胃…ドゥアムトテフ(ジャッカル・東)
 腸…ケベフセヌエフ(ハヤブサ・西)
 肺…ハビ(ヒヒ・北)
 肝臓…アムセト(人間・南)
 

ネコのミイラ ぐるぐる巻きでこけし状態
ハヤブサのミイラ
 1 ぐるぐる巻きで,実際の体の前に偽の頭を入れて増量してある
 2 布がとれて顔出し状態。紀元前のものとは思えない

展示はなかったが,3m超のワニのミイラも作られていたとのこと。


ヨーロッパのミイラ

湿地・泥炭地で生じた自然ミイラが多い。
酸性の環境だと骨が溶けて皮だけになる

「イデガール」 
オランダで1897年発見,紀元前後
絞殺された痕跡のある推定16歳頃の小柄な赤毛の女性

〇この企画展のメインビジュアルにも使われている
「ウェーリンゲメン」 
(紀元前40〜50年頃)当初男女のカップルだと思われていたが2人とも男性と判明

カナリア諸島のミイラ
15世紀にスペインに征服されるまで石器時代の生活をしていた
グアンチェ族による人工ミイラ

オーストリアの彩色頭骨(19世紀頃)
若い女性の頭骨にバラの花やフラダリ,名前をかきこんである

ヨーロッパにはカタコンベとかあるし頭蓋骨を保存する風習が
あるんだろうなと思うけど,この装飾を見ると,
日常の生活空間に普通に置いておくこと前提?と思えてくる。
やけに時代も新しいし,欧米人って頭蓋骨を身近におくのに
(戦利品や土産物にするくらい)抵抗のないマインドがあったのか…



パプアニューギニアのミイラ
熱帯雨林でミイラ!

〇これは実物の展示は無理で映像解説のみ
(公式図録にも全然載ってない!)でしたが
作成の様子をおさめたドキュメントは迫力ありました。
遺体を座った姿勢で固定して,小屋の中で2か月燻製!
燻されながら防腐剤というか油のようなものを塗る人たち。

歴代の家長?のミイラが並べられている場所では
その間にふつうに座っていたりして
亡くなってもミイラとなって家族を見守ってほしいという思いか
遺体となっても家族とともにあるのが当り前という風習,伝承なのか。
強烈な印象が残りました。

今の感覚でいうとワシントンDCのリンカーン像の部族レベル
みたいなところでしょうか。
50年くらいもつということで,日本でも法事をやる限界がそのくらいですよね
故人を知る人が一巡するくらいでミイラも役目を終えるサイクル。

ほぼリアルタイムのミイラ文化で
遺体を保存する行為につながる死生観が見える
インパクトのあるコンテンツでした。


「肖像頭蓋骨」
頭蓋骨に粘土や樹脂で肉付けして
フェイスペインティングや頭髪をほどこしたもの。
※ニューギニア・インドネシアの民族研究家・収集家の
 小林眞氏(1934-2011)のコレクションより



最後に日本のミイラ

〇埋葬後屍蝋化し,発掘後乾燥してミイラ化した
江戸時代の兄弟のミイラ

江戸時代の人って,平らな顔の民族っぽい顔なんだなあというのが第一印象だったのですが
鼻は軟骨だから日本人に限らずどのミイラも凹んでるんですよね。
保存状態がいいので生きている人の顔に比べて鼻が低いと思ったという。
長い髪を後ろで束ねているところとか本当に生前の姿を思わせる生生しさというか

即身仏「弘智法印 宥貞」(こうちほういん ゆうてい)
1683年(天和3年)92歳で入定された福島県 貫秀寺の即身仏。
明治時代の火災や東日本大震災の被災も乗り越えて
代々大切に守られてきたお寺や地元の方々の努力に敬服。
こうして法衣を着せて東京に展示するだけでも壊れてしまわないか
最新の調査では背骨に非常に激痛を伴う疾患をもたれていたとのこと

会場の掲示でもビデオでも解説してるのに
子どもに限らず何人もの人が「女の人?」という感想を。
全然読んでない人 多いなあ…


江戸時代の本草学者のミイラ
宗教的な目的以外で自らミイラになることに成功した稀有な人。
赤茶けた体の中には,消化管内に大量の柿の種が残っており,
柿に含まれるタンニンで自分の肉体を防腐したと考えられている。
正座して上体を前に屈めた姿勢なのだけど,
顔を見てみると,普通に俳優さんとかにいそうというかすばらしい保存状態

子孫に自分の体を掘り出してミイラ化の成否を確認するよう
言い伝えてあったなどの経緯が具体的に残っているのに
なんでこの方の名前がどこにも出てこないんだろう


●写真撮影はNGの今企画展なのですが
かわりに記念撮影スポットや記念画像スポットが。

「ツタンカーメンのマスク」か
「中王国時代のマスク」のどちらかを選んで
自分の顔を撮影すると,自分オリジナルのマスクを合成してくれるサービス(^ω^)

191215科博ミイラ展22-1_191215_ツタンカーメン合成douga.jpg191215科博ミイラ展22-2_191215_ツタンカーメン合成douga.jpg


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●おみやげグッズは今回も充実。
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ミニオンズとのコラボとか
色々ありましたが
私はいつもと同じ,「クリアファイル&公式図録」コース。

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期待通りというか,写真も解説文も振り返りやプラスαの勉強に読み応えあり。
このブログを書く際にもナトロンのことを確認したりとかしっかり使わせてもらいました。

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ですが正直,2500円という値段は高いです…。
今回と同じTBS企画制作で内容も関連がある
アンデス文明展(2017年開催)の図録も少し並べて売られていたんですけど
2000円でボリュームも装丁もそっちのほうが上というのはいかがなものかと。

(デフレと言われながらも出版業界は原材料コスト等が厳しくなっているとはいいますし
 ニッチな題材でロットが小さくなる分1冊当たりの原価も上がることはわかりますが…
 映画のパンフとかと比べるとはるかに高コスパなんですけど)




世界各地での文化の違いと
故人の魂が帰る場所として遺体を遺そうとする思い
死生観に触れることができるミイラ展は
2020年2月24日まで。

【休館日】
12月
2日、9日、16日、23日、28日、29日、30日、31日
1月
1日、6日、14日、20日、27日

巡回予定:熊本 2020/3/25〜6/7 福岡 2020/7/4〜9/22 
  新潟 2020/10/10〜12/23 富山 2021/1〜2021/3(予定)

特別展ミイラ 「永遠の命」を求めて
https://www.tbs.co.jp/miira2019/
(TBS公式サイト)

公式ツイッター
https://twitter.com/miira2019

混雑情報
https://twitter.com/miira_Konzatsu

かはく【国立科学博物館公式】
https://twitter.com/museum_kahaku

国立科学博物館 公式サイト
https://www.kahaku.go.jp/


教養としてのミイラ図鑑: 世界一奇妙な「永遠の命」
ミイラ学プロジェクト
ベストセラーズ


カラー版 世界のミイラ (宝島社新書)
近藤 二郎
宝島社



 
    











posted by ドージマ・ダイスケ at 16:38| 東京 ☁| Comment(0) | このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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