2019年09月14日

【問題集】激突!『入試標準問題集生物』vs『生物問題集合格177問』(2)問題の扱い

2つほど「行ってきた」エントリをはさみましたけれど,大森徹先生著『入試標準問題集[生物基礎・生物]』と田部真哉先生著『生物問題集合格177問 入試必修編』,それぞれの著者の戦略における今回の問題集の位置づけについて紹介した前回に続いて,今回は両者の共通点について紹介したいと思います。

 入試標準問_生.jpg
📖入試標準問題集[生物基礎・生物] 
大森 徹/文英堂 2019年08月01日
 田部生物問_合格177必修.jpg 
📖生物問題集 合格177問【入試必修編】
(東進ブックス 大学受験)

田部 眞哉/ナガセ 2019年08月6日


大学入試の二次対策といえば数研出版『重要問題集』がありますね。
実戦生物重要問題集−生物基礎・生物 2019
数研出版編集部
数研出版

こちら,12年前に紹介したことがありましたが,今も毎年出ております。

あれ?書名に「実戦」とついている と気づいた方もいるかと思います。駿台「実戦模試」問題集などもありますが,数研の場合,実は「実戦」のついてない『重要問題集』も出ているのですが,そちらは学校採用用。個人購入は絶対できません。書店販売用の「実戦」つきは,カバーがついているという違いはありますが,基本,同じやつです。(化学の場合は「入試直前整理」小冊子が付録でついていたりします)

この『(実戦)重要問題集』と,『入試標準問題集[生物基礎・生物]』と『生物問題集 合格177問』を数字で比較するとこんな感じ。
本冊ページ数別冊ページ数問題数
実戦生物重要問題集ー生物基礎・生物 2019数研出版150120180
入試標準問題集[生物基礎・生物]文英堂208200399
生物問題集合格177問 入試必修編ナガセ(東進ブックス)174184177


この『(実戦)重要問題集』は完全に2次対策専門で,「生物基礎」および「生物」の授業を一通り済ませて,ある程度受験勉強を進めた前提で取り組む問題集。
これに対して,『入試標準問題集』『生物問題集合格177問』は問題のレベル設定「やや易(基本)〜標準(普通)」に設定されており,受験勉強の早めの段階から使えるものになっています。


そのための配慮の1つが,問題の一部改題

入試問題を集めた問題集は,元の問題が長すぎたり,出題内容がやや偏っていて本に収録するには押さえておきたい用語や事柄が扱われていなかったりする問題を選ばざるを得ないような場合,学習効果のために若干改変することがあって,そういう場合出題校の表記のところに「改」とつけることが多いのですが,『入試標準問題集』『生物問題集合格177問』はその頻度が高いためにいちいち「改」の表記はついていません。

たとえば,『生物問題集合格177問』の65番,窒素同化の問題(2017年甲南大)。
生物問177_p064-065_マーカー-horz.jpg

マーカーで塗った部分が,改変・削除された部分。
窒素同化(化学合成)に関する問いではあるものの,他の章でも扱う内容のためなのか,良問でないと判断されたのか「独立栄養生物を問う」「ATPを用いて有機物を合成する生物を選ぶ」 問2と問3を差し替え。
問3は選択問題だったのを記述問題に変更してあえて難易度を上げているところもあります。


同じ窒素同化の問題で見てみますと,
『入試標準問題集[生物基礎・生物]』の 76番(2016年立命館大)でも
一部改変があります。
入試標準問生物p054_76番_マーカー400px.jpg
文中と図に出てくるA〜Fに該当する物質名を,5通りの組み合わせから選ぶ問題を,6つすべて選択肢のなかから1つ1つ選ぶ問題に。
こちらも5者択一の1問から6つきちんと考える必要のある問いにすると同時に
『入試標準問題集』は,原則見開きの中で問題が完結する,見やすさ・使いやすさ重視の作り方をされており,行数調整という意味もあったりするようです。

『生物問題集合格177問』と同様,『入試標準問題集[生物基礎・生物]』でも設問そのものの差し替えや追加は行われています。

このほか,1問でそのジャンルの内容をまんべんなく問うている入試問題はなかなかないので(配点や時間の制約もありますし),複数の大学の問題を合成するパターンもあります。
(『生物問題集合格177問』では177問中69問が合併問題)


●受験勉強の早めの時期から使えるための特徴,その2が問題構成

『生物問題集合格177問』の売りは,「過去の入試問題&今の教科書を分析して,登場頻度の高い問題を1978年以降の40年分の入試問題からセレクト」!
高校の科目のなかでも変遷の大きい「生物」で昭和の頃に出題された問題はもうええんじゃないかという気もしますが,たぶん入試研究に費やしてきた経歴の重みを言いたかったんだと思います(;^ω^)。入試問題の出題率判定は2015〜2018年の4年分のデータに基づいているとのことなので,問題の出典も原則そのくらいの期間の出題かと。
 田部生物問_合格177必修.jpg 
??生物問題集 合格177問【入試必修編】
(東進ブックス 大学受験)
田部 眞哉/ナガセ 2019年08月6日

この登場頻度データ,
入試問題の出題率は問題番号の下に★〜★★★の3ランクで
教科書の登場頻度は図や表に対して問題タイトルの下に★〜★★★の3ランクで表示。
生物問177_p064_65番タイトル.jpg ※こんな感じで表示。

大学入試対策の問題集って,基本1色印刷でこと足りるものだと思うのですけど,この問題集は黒と赤の2色印刷。私は,この印をアピールしたいがためだとにらんでいます^^。

入試問題の出題率は★★★が1年平均10大学以上,★★が1年平均5〜10大学,★は年5大学以下(表記ママ)。
とのことですが,これを基準に重要度の高いやつを選ぼうと考えると,あまり役に立ちませんw
なぜなら,重要な問題を選んで載せているわけですから,大部分が★★★になるに決まってるからですw
177問もあるとはいえ,★★は44問(田部先生の好きな生態分野に集中…(;^ω^)),

★にいたってはわずか6問。
ハイレベル問題として入試問題集に出がちなニワトリの形態形成や,先端的な内容として教科書でも存在感のある塩基配列の問題が,実は出題少ないぞというアピールと読むこともできますね。^^

また,教科書登場頻度は,★★★が5社中4社以上,★★が2〜3社,★が1社以下というランク分け。
図などは,教科書で解説する図と問題で問うための図とでそもそも目的が違うこともあるので★でもしかたないものが多々ありますし,逆に8番「動物の組織」問題の図(皮膚の断面)みたいに教科書に出る頻度は★★★でもこの内容が入試はおろか定期試験でも今はほとんど出ないだろうってものもありますから,これは参考にするというより飾りというか★★★だったらなんとなく気分が上がるくらいの意味で見たらいいかと思います。

また,登場頻度のカウントってどのくらいまでを一致と判定するかで結果が変わりますからね。
114番の図1(植物の組織…双子葉類のからだの構造の模式図)は★★★となっていますが茎・葉・根と茎頂分裂組織・根端分裂組織を示す図自体は5社全部で出ているもののこの図で問われていることのメインである3つの軸(頂端-基部軸,放射軸,向背軸)について扱っている教科書は1社だけだったり。個人的にはこの3つの軸,教養としてぜひ押さえておきたい知識と思いますが(^ω^)。

なんかdisってるっぽくなってしまいましたけど,
こういうデータっぽいものを見ると裏を知りたくなって
面白いと思ってつい言いたくなってしまう,ってことでご理解を(;^ω^)。

あと,この問題集の構成の特徴は,項目立て・配列が前回も触れました
『生物合格77講【完全版】』に準拠しているということ。

 
生物合格77講【完全版】 (東進ブックス 大学受験)
田部 眞哉/ナガセ 2017年03月


『生物合格77講【完全版】』の第何講の内容に対応しているのか177問すべてに表記されていて,当然といいますか,原則77講のすべてがこの『生物問題集合格177問』でカバーされています(第6講だけは対応する問題が見つかりませんでしたが,これは代謝の基本内容に対応する講なので,該当する問題が多すぎて省略されたとみるべきでしょうね)



『入試標準問題集[生物基礎・生物]』のほうは,とにかく基礎重視!
 入試標準問_生.jpg??入試標準問題集[生物基礎・生物] 
大森 徹/文英堂 2019年08月01日


399問という『生物問題集合格177問』や『(実戦)重要問題集』の倍以上の問題数を誇っていますが,難易・分量別に3レベルに分けられた「確認問題」「重要問題」「チャレンジ問題」の「確認問題」が294問を占めており,「チャレンジ問題」は9章ある各章末に1〜4問の掲載。

前回紹介しましたように,大森徹先生&文英堂のタッグでは『最強問題集159問生物[生物基礎・生物]』を既に出しており,「確認問題」や「重要問題」が余裕のレベルに達している受験生は「チャレンジ問題」のレベルをそちらで解けばよいというスタンスでしょうか。

 
大森徹の最強問題集159問 生物[生物基礎・生物] (シグマベスト)
大森 徹/文英堂 2016年03月


5分の3ページ〜1ページくらいの分量で,『生物問題集合格177問』掲載問題の平均的なレベルに近い(『生物問題集合格177問』は177問の掲載問題を難易レベルで分けていません)「重要問題」が2次対策のレベル的には本流ということに位置づけられると思いますが,『入試標準問題集[生物基礎・生物]』では,巻頭で著者が「厳選!50問」と題して50問をピックアップ。
本の厚さと399問という問題数をちょっとこなしづらいのではと感じる受験生は
まずこの50問を解いてみて,
→苦手に感じるなら 関連内容を扱った確認問題を解いてベースとなる力を蓄える
→問題ないなら ほかの重要問題やチャレンジ問題に進む
というつくりになっています。

「確認問題」は,記述問題も含まれていたりしますが
1問1問はこなしやすい難易度と分量になっていますので
受験本番まで時間のある,早めに受験勉強をスタートした受験生は
みっちり確認問題を解いていけばよいでしょう。

まえがきで「最後にものを言うのは,確固たる基礎力です」と書かれているように,
(これは『入試標準問題集』の化学や物理とは若干異なるところがあります)
生物は基礎知識を知っていれば知っているほど得点につながる科目でも
あるので,一から受験勉強をスタートしたい人にはおすすめといえますし,
そこそこ「生物基礎」「生物」に自信があるという人は
『生物問題集合格177問』・『最強問題集159問 生物』・『(実戦)重要問題集生物』から
始めてもいいと思います。


以上,この夏に発行された2点の入試問題集(および重要問題集)について,
重要な要素である問題の扱いについて,ざっくりくどくど紹介しました。

問題集選びの参考にしてもらえるとうれしいです^^


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posted by ドージマ・ダイスケ at 19:38| 東京 ☁| Comment(0) | 【参考書・問題集】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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