2019年03月17日

初参戦!プロとマニアのペンギン会議2019

本格的な春がもうすぐそこまで来ていますねえ。肌寒い日や時間帯もありますが,涼しい風も爽やかに感じたり,日差しがポカポカ温かくなってきました。
白菜や大根,ネギといった野菜やキノコ類などが陽気で発育がよくなったのか鍋需要が最盛期を過ぎたからか,立派な育ちぶりのものがかなりお買い得な値段で並んでいますね。

さて,数年来 動物園・水族館巡りをするようになった私,一昨年頃からペンギン巡り色が強まってきたり,ペンギン系知識のマンガを描いたりするようになりましたが,一般人も参加できるペンギン飼育員・愛好者のイベント「ペンギン会議」なるものが毎年開催されていると知り,2月に行われた2019年の全国大会に参加しました!

「ペンギン会議」は「第1回国際ペンギン会議」が平成元年(1989)に開催され,これにアジア人で唯一参加された上田一生先生が持ち帰った知見を動物園・水族館スタッフが共有すべく行われた講演を契機に始まった「ペンギン飼育者懇談会」が翌年の1990年に改名されて始動。
・ペンギンの飼育と繫殖
・野生のペンギン保護
等について研究・情報共有する場としてほぼ30年近くの長きにわたって続いている集まりなんですね。

毎年開催されているという全国大会ですが
要事前エントリーで募集サイトなども特になく,一般参加OKと聞く割に微妙にクローズドっぽい雰囲気を感じていたのですが,
行ってみて納得。
参加希望数が増えて,会場となる江戸川区総合文化センター研修室に入りきらない状況になっていたんですね。
それ以上募集するわけにはいかないわ。

◆第27回となる今回は,冒頭のパートを,昨年亡くなられたペンギン会議の創設メンバーであり初代代表,降籏眞夫さん(享年71)を偲ぶ追悼の時間に。
上野動物園で51年勤務,うち30年ペンギン飼育を担当し生涯で20万回以上ペンギンに噛まれた(噛ませた)ともいわれる情熱飼育で数々のノウハウを構築。幾多の飼育員が教えを乞うて世界トップレベルともいわれる日本のペンギン飼育技術向上に貢献した日本ペンギン界のレジェンドのお一人なんですね。
一線級の皆さんが登壇されて写真やビデオを交えながら思い出を語られ,
会場でいただいた会誌『THE PENGUIN』の巻頭も貴重な写真や追悼文,過去の降籏さんの論文再掲で構成された追悼特集が組まれていて,
私のようなにわかでもこの熱気あふれるペンギン会議の成り立ち,過去の歩みに触れることができる会の幕開けでした。

◆会議そのものの内容は,「ペンギンを見に行く」「ペンギンを見せる(ペンギンの生き物としての実像や魅力を伝える)」「ペンギンを保護する」「ペンギンを飼育する(ストレスのない生活を実現する)」といった事柄についての研究・体験の報告発表が続くのですが,学会そのものであるところのこういう場では,具体的な細かい内容をSNSとかネットに流すのはご法度(正式な論文発表前の情報が含まれたりするので)のため,何を紹介できるのか難しいところですが,とりあえず公開されている演題を挙げておきます。

0.基調講演 ペンギンはどこから来たのか ペンギンは何者か ペンギンはどこへ行くのか
  (足寄動物化石博物館 副館長 安達達郎)http://www.museum.ashoro.hokkaido.jp/
  陸(空)から水中へ2次進化した鳥・ペンギン。
  では鳥とは何か(最近「鳥は恐竜」といわれるが)
  ペンギンとは何か(鳥の系統樹の中でどこに位置しいつ頃誕生したのか),
  羽毛化石が発見されているジャイアントペンギンの一種は黒白ではなかった
  北半球にいたペンギンモドキはペンギンと近縁なのか偶然似ているだけなのか
  ペンギンの骨は何個?

  のっけから濃厚な講義でした。
  

1.「ペンギンを求めて:野生〜園館まで」(西田征晃)
  ニュージーランドのペンギンが見られるスポットの現地レポート。
  (キガシラペンギン,フィヨルドランドペンギン)
  ダニーデンのペンギンプレイス以外は車で現地まで自力で。
  とにかくサンドフライ(虫)がやばい

2.「アルゼンチン・マゼランペンギン調査参加報告」
  (小学校教諭・ペンギン大使 鈴木文栄)
  国際環境NGOアースウォッチの野外調査にボランティア参加
  乾燥したパタゴニアの大地にボッコボコに空いたマゼランの巣穴。
  卵やひなの計測など。おとなしいけど糞にやられるとリカバー不可

3.「マゼランペンギンの保全に向けた上越市の取り組み」
  (上越市 企画制作部 新水族館整備課 小澤由紀子)
  世界一のマゼランペンギン飼育数を誇る新水族館「うみがたり」の工夫と
  世界最大のマゼランペンギンコロニーを有するアルゼンチン共和国チュブ州と
  マゼランペンギンの保全に向けた協力協定を結ぶにあたって
  コーディネーターとしてゼロから関わった体験について

  上越市立水族博物館 うみがたり http://www.umigatari.jp/joetsu/index.html
  公式ツイッター @_umigatari_

4.「ニュージーランド・ペンギン紀行 亜南極のペンギンたち」
  (植田瑞穂)
  こちらはクルーズでの離島ペンギンの観察体験報告。
  (スネアーズ,キガシラ,ヒガシイワトビ,ロイヤル,キング,ジェンツー)
  Heritage Expeditionsが開催している11泊12日間のツアー。
  船酔い対策必須。ペンギンオイル抽出所など負の歴史遺産も

5.「水族館づくりに関する研究報告」(丹青社 高柳敦)
  (1)日本の水族館史から探る水族館トレンド
    上野のうおのぞきから始まる見世物から保護・研究・啓蒙の場へ
    移っていく経緯が日本の社会情勢とぴったり重なる解説に思わず納得
  (2)企画・設計 海響館「ペンギン村」企画提案スケッチ,チリ調査記録など
  (3)制作・工事例 アクアワールド大洗水族館,新潟市マリンピア日本海,
       うみがたりなど
    キャラクターなど提案したボツデザインの山が印象的でした。
    情熱大陸とか仕事の流儀とかも,あーあ,って場面が記憶に残りがち

  株式会社丹青社 https://www.tanseisha.co.jp/



この後,後半5つの演題のうち4つが飼育トレーニング関連という
怒濤のテーマ被り(;^ω^)。
いずれもペンギン1羽1羽と向き合って日々のストレスを取り除こうという
強い思いが伝わってきました。


6.「トレーニングを用いたペンギンの学習イベントと健康管理」
  (しものせき水族館海響館 上原正太郎)
  〇フンボルトペンギンに直接触れる「ペンギンタッチ」を2010年から
  冬季以外毎日開催。12万人以上の参加に対して事故やペンギンの不調なし。
  トレーニングにより(現在16羽が)ほぼ全身触ることができ,
  健康管理のためのチェックや測定でも負荷軽減に役立っている。
  〇ジェンツーペンギンが自発的に行っていた集団遊泳を合図によって
   自発できるようトレーニング,「ペンギン大編隊」として
   飛ぶ鳥(インカアジサシ)との比較学習イベントに発展。

  海響館ペンギン情報 http://www.kaikyokan.com/category/introduction/penguin/
  海響館イベント情報 http://www.kaikyokan.com/category/event/
  

7.「大人のワークショップ ペンギンワッチについて」
  (すみだ水族館 高嶋悠加里)
   水曜19:30〜開催。薄暗くてもよく見えるスワロフスキーオプティックの
   双眼鏡を使用。ペア参加でも1つの双眼鏡を共有→親密度格段にアップ!
   用語を用いた生物の解説ではなく,個体に着目したペンギンのリアルな生活を解説。
   「ペンギンが寝ている」と説明すると驚かれたりするくらい参加者と
   スタッフにギャップがあるので話が伝わっているかを探りながら
   毎回アドリブでトーク
   ※2019年4月分の案内↓
    https://www.sumida-aquarium.com/event/penguinwatch-201904.html


8.「マゼランペンギンのトレーニング」
   (のとじま水族館 花ア貴也)
   ジンベエザメを国内で最初に飼育した水族館。
   日本最長級のトンネル水槽。フンボルトペンギンもいる。
   ペンギンおさんぽを14年前から開催。15分間で70mを往復
   スロープを上がってペンギンプールを出,白線で区切られたコースを歩く
   ハンドサインで,鳴く・回る・口を開くといったアクションも

   のとじま水族館(石川県七尾市) https://www.notoaqua.jp/
    プロジェクションマッピングなどインスタ映えする趣向に力
   

9.「フンボルトペンギンのジャンプ種目について」
   (下田海中水族館 柏倉瑞恵)
   プールの中からターゲットに向かって飛び出す「ターゲットジャンプ」
   25羽いるなかから4羽を選抜,ターゲットを怖がらないようにする
   脱感作から初めてステップを踏んでトレーニング。
   それぞれの段階を通過する期間(トレーニング期間に占める割合)は
   各個体まちまち。

   下田海中水族館 https://shimoda-aquarium.com/
   イルカ関連の体験イベントが充実,カワウソブームの先頭グループ
   かなりレアな深海生物展示も
   

10.「ペンギンたちの生活をより良くするために行っていること」
   (西海国立公園九十九島動植物園 森きらら 比嘉紋子)
   屋外展示なので冬は暖房,夏はミストなどペンギンの健康ケア重視。
   健康管理のための体重測定や足裏チェックで大きなストレス生じていた。
   自分の名前に反応した7番のひなをきっかけにトレーニングの導入。
   ペンギンのお散歩は来場者に見せるためではなくペンギンに外を見せるため。
   トレーニングによって臆病な子もタフになり食が太くなった。

   九十九島動植物園森きらら https://www.morikirara.jp/

   登壇者の比嘉さんは,去年私が森きららに行ったときペンギントークで拝見しました。
   →http://ddaisuke.seesaa.net/article/461116420.html
   ペンギンと人間は話が通じない(いうこと聞いてくれない)けど,親密 という
   感じの接し方が印象的だったのですが,時間と力を注いだ取組みの賜物だったんですね。


11.ペンギンの最新情報と保護や研究のトレンド
  (ペンギン会議研究員 上田一生)

  (1)8/24〜28 ダニーデン(ニュージーランド)で国際ペンギン会議
    公式ツイッター: @IPC_penguins
    ハッシュタグ #ipc10

  (2)9/13〜16 日本鳥学会2019年度大会
    http://osj2019.ornithology.jp/index_prep.html
    東京都足立区 帝京科学大学千住キャンパス
    Facebook:https://www.facebook.com/osj2019tokyo/
    ※テーマはペンギンらしい(日本にいないのに)。
     こちらはもちろん日本語OK
  
  (3)フォトジャーナリスト道城征央さんがミクロネシアで展開する
    清掃活動「マイクロクリーンアップ」にご支援を
    http://www.ordinaryworld.jp/
    この1年で急速に認知が広まっているマイクロプラスチックは
    ペンギン大量死の一因とも目されています。

  (4)来年度のペンギン会議全国大会
   2020年2月11日(火・祝) 長崎で開催!
   今年前身の長崎水族館から60周年を迎える
   この度,楠田幸雄館長がペンギン会議の新代表に就任した
   長崎ペンギン水族館のおひざ元。
   今から2月10日(月)の休みを確保しておかないと…
 
その他お知らせ
  〇来年春 香川県にオープンする四国水族館
   今年3月9日に宇多津町 香川短期大学でシンポジウム
   http://shikoku-aquarium.jp/
   http://shikoku-aquarium.jp/news/archives/524

  〇日本野鳥の会茨城 署名のお願い(2月28日受付終了)
   茨城県のハス田に設置された防鳥ネットが深刻な問題に。
   目標の1万筆突破
   https://www.wbsj-ibaraki.jp/?post_type=topic&p=3907

  〇あわしまマリンパークでフンボルトペンギンの展示動線を改善
   春から『MOTTO!ペンギンにごはん』スタート
   http://www.marinepark.jp/
   https://twitter.com/A_shimatarou



■お昼休みにはポスター発表および物販も。

小川起世美さん @kiyopenguin《野生ペンギン探求家》の「ペンギン米」
  https://kiyopenguin.thebase.in/
ペンギン大学のバッヂなどグッズ
  https://penguin.ikimonoacademy.com/
今年の1月号で「ペンギンの生物学」特集を組んだ雑誌『生物の科学 遺伝』
の該当号およびバックナンバー販売
  

などなど

私も冬コミで頒布した「ペンギンに会える園館リスト」を販売させていただきました。
やはりペンギン好きなもの同士で言葉を交わしながらやりとりするのは楽しいですね。
昼休みはそちらのほうにかかりきりになったのでポスター発表が
読めなかったのは残念でした(;^ω^)。

お昼休みと懇親会では同人誌つながりで
九州のペンギン飼育園館紹介の写真を冬コミでもだされたカメラマンのひるのぶさん @penguin.ch と
関東以北のペンギン全園館を含む96施設を訪問済みのひであさん @hidea
ともお会いしました。2人ともそれぞれの経験が豊富で見習いたい所ばかり。
どんどん先へ進んでいくんだろうなあ…
1903 ペンギン会議_会誌など.JPG
ひであさんの冊子は1ページ1施設で地図あり基本情報ありカラー写真も盛りだくさんで,そして実際に訪問した紹介文と,コンパクトにまとまっていて,こういうのを作りたかったというのをとっくにやってしまっていて,しかもメインの趣味は自転車だという…
ひるのぶさんもカメラの本職でコミケもスタッフとして参加されて,その人材の宝庫の中で積まれた経験やら,ペンギン普及のため
YouTubeチャンネルも始めていて



私はこういう催しの懇親会に参加すること自体が
今回1つのチャレンジだったくらいで,積極的に参加して知り合いを増やしていける人がうらやましいです。それこそ本職含めた登壇者も一般参加者も対等って雰囲気を上田先生はじめ主催運営の皆さんが作られていたのに
来年の長崎までに自分も進歩できていたらと思う次第


懇親会のオークション(参加者が持ち寄ったグッズを希望者が言い値で購入・他に希望者がいれば競りに入るシステム)で行列ができたペンギンの使用済みフリッパーバンド。原価10円,本日のお値段10円なり
1903 ペンギン会議_フリッパーバンド.JPG



「ペンギン会議」
ができるまで。 〜ほぼ日刊イトイ新聞
上田一生先生インタビュー(2017年5月)
https://www.1101.com/juku/hiroba/3rd/free-309/01.html


世界一おもしろいペンギンのひみつ もしもペンギンの赤ちゃんが絵日記をかいたら
上田一生 (監修), 製作:ペンギン飛行機製作所 (その他)
サンマーク出版




世界で一番美しい ペンギン図鑑: 絶景・秘境に息づく (ネイチャー・ミュージアム)
水口 博也,長野 敦
誠文堂新光社

スワロフスキーオプティック 42&50ミリメートルのEL用双眼鏡Binoガード【並行輸入品】
スワロフスキーオプティック
posted by ドージマ・ダイスケ at 17:36| 東京 ☀| Comment(0) | このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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