2016年10月10日

【漫画】25歳差のデート漫画?!『こづれ行楽!』

先日生き物関連マンガ『秘密のレプタイルズ』を紹介した流れで,続けてもう1本,今度は生き物施設マンガを。

当ブログ,ここ数年ほどメインコンテンツの漫画に比して水族館・動物園行ってきたレポートの比重が増えていますが,この漫画はまさに水族館・動物園紹介マンガ!
やられた〜〜〜〜〜!!


 こづれ行楽_表1.JPG
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こづれ行楽_護.JPG
主人公の護(まもる)。天パーでさえなければもうちょっとモテると思っている
主人公はアパート暮らし・32歳独身の畑良木護(はたらぎ・まもる)。
ひょんなことから隣人美人の平和(ひらわ)さんから一人娘のまもりを預かることになり,まもりの好きな魚や変な生き物を見に週末ごとに各地の水族館を見物して回るというお話。

前回『秘密のレプタイルズ』について「これまでに例を見ない,爬虫類の飼い方というニッチなジャンルのド直球のハウツー漫画」と紹介しましたが,この『こづれ行楽!』も,あえてジャンルをつけて呼ぶなら実在の観光地を主人公が巡るガイドブック漫画といったところでしょうか。

しかし,そんな漫画,これまでグルメものや作者本人の珍道中を描いたエッセイ漫画以外にほとんど成立したことがありません!
あえて探すと,京都の風習や隠れた名所・名物を勝手知らない観光客に教えてくれる『はんなりギロリの頼子さん』くらいかなあ…。それでも主人公の頼子さんはタバコ屋さんから殆ど離れない,独特の切り口で描かれたシットコム的漫画ですから,本当にスタンダードな観光ガイド的漫画って,見た記憶がないです。


また,水族館のスタッフの目線から描かれた作品ですと,今年ドラマ化・コミック化もされた『水族館ガール』(小説が原作)のほか,『みずいろミュージアム』,週刊少年マガジン連載の『恋する水族マン』,すみだ水族館全面協力の『水族館で働くことになりました』などがありますが,これらは内部の話ということで舞台となる水族館がフィクションにならざるを得なかったりするわけです。


世間的に商品として成立する漫画作品にするには現実の水族館・動物園の紹介という要素は扱いが無理なのか…けっこう生ものだしなあ…そんで各館の見どころのおすすめも読む人に共感して貰えるかどうかセレクトが難ししなぁ…といったところに登場したのが画期的なこの作品!

ジブリアニメで食べ物が美味しく見える理由とか,グルメ漫画で料理を美味しく見せる必須条件として,食べ物そのものよりも,いかに登場人物が食べる姿をおいしそうに幸せそうに描くかが重要,という事が創作における必須のポイントとして知られていますよね。

とすれば,ガイドブック漫画を読んで楽しい作品として成立させるためには,主人公は単に自分が楽しむのではなく,一緒に行く人を楽しませる側に回ればいい!そのおもてなしの心とゲストとの交流がドラマになる!

じゃあ誰が誰と行く話にすると面白い?
主人公は水族館や動物園に詳しい人間?それとも素人?
ゲストは毎回違う人にする手もあるけど,同じ相手といろいろ巡って親密さを深めていく形がいいよなあ…。毎回違う場所に行くわけだし行くのは基本同じ人がいいよね。
水族館や動物園に行って,グルメ漫画の「おいしい!」に匹敵する感動を表現できる人ってどんな人?…水族館はデートスポットとしておすすめできる場所ですが,魚や変な生き物好きでかつ余計な知識を持たずに水族館で感激してくれるティーン以上の女の子というのは設定として難しい。

となると…
!!水族館や動物園って,そもそもファミリースポットじゃん!小さい子を連れて行けばいいんじゃん!

しかし,親が自分の子どもを連れて回るという設定では普通すぎて面白くもなんともない。一体だれが読むんだという話になるわけで,隣に引っ越してきた美人(シングルマザー)の子どもを預かる→本命はお母さんのほうでポイントを稼ぐために子どもを楽しませたい→一緒に過ごすと自分も楽しい という構図は,特殊であるがゆえに,あらゆる層により共感できたり愛おしくなったりと,作品の中に入りこみやすくなってるなぁと思います。

へんな動物という,ニッチでともすれば変人扱いされる趣味の楽しさを伝えるのに
『秘密のレプタイルズ』がペットショップ店員と客という普通の設定に,振り切りまくった爬虫類マニアのヒロインという特殊キャラクターを被せることで押し切っているのに対して
『こづれ行楽!』では平凡な30男にふつうの幼女という普通のキャラクターに他人同士の年の差デートという特殊設定を組み合わせて,幸せな時間に誘ってくれる。
好対照な2作品です。

ですがいかに設定が工夫されていても,登場人物に魅力がなければ読んで感情移入はしづらいわけで,この作品,ヒロイン(!)のまもりちゃんがかわいいですよね〜。
主人公の護と1字違いで「まもる」「まもり」のコンビ,感受性豊かで母親思い,思わぬところで涙ぐんだり落ち込んだりする一方で,生き物と素敵な出会いをしたときは「へまち!」と感嘆の決めゼリフをあげ,目を輝かせて喜ぶその姿に,愛おしいなあ,もっと楽しませてあげたいなあと護の目線になって見守りたくなります。
こづれ行楽_ほおお.JPGこづれ行楽_おおお.JPGこづれ行楽_上目.JPG

こづれ行楽_くわっ.JPGこづれ行楽_ぷーww.JPG

こづれ行楽_ぶるぶるぶる.JPGこづれ行楽_がーん.JPGこづれ行楽_じと.JPG


「へまち!」という決めゼリフ,『昇太の寿司』における審査委員長の柏手,マシオカさんでいうところの「ヤッター!」,小泉元首相の「感動した!」,ヒーロー物の必殺技みたいにストーリーのアクセントとなっていいですね。(この言葉の由来は,下記公式サイトの試し読みで確認してください)

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まもりちゃんのお母さん。異様に惚れっぽい(小動物に)
護にまもりちゃんを預けたお母さん,ほんわか美人で護も思わず一目惚れして無茶振りを引き受けてしまうわけですが,よくよく考えるとアパートの隣室に住んでいる独身男に初対面で小2の娘を預けるという,リアルに考えれば常軌を逸した行為ですよね(;^_^)。けど結果的に指名した相手が善人の塊である護だったわけだし礼儀や常識は普通にある人だし,まあ人を見る目があるということでいいんじゃないでしょうか。ある意味「落ち物」ヒロイン(突然主人公のもとへ空から降ってくるヒロイン)と考えれば違和感ないかw。

こづれ行楽&萌生.png

まもりちゃんが魚や爬虫類などへんな動物が好きなのに対してお母さんはその系統が苦手。でも哺乳類のかわいい系小動物は大好き(まもりは逆に毛が生えたやつは嫌い,だけどリスが好きなお母さんは好き)ということで,やがて水族館・爬虫類系以外の普通の動物園も巡っていくことになります。

1巻で護たちが訪問する施設は,初っぱなが沼津港深海水族館,次がiZOOという,東京からでも思い立って出かけるにはちょっと生きづらい立地。神奈川県在住なんですね(^_^)。この後,すみだ水族館京都水族館への遠征もはさみ,ズーラシアへと訪問していきます。

そして最初の話に戻りますけど,つくづく思うんですが,ガイドブック漫画って,紹介する場所の見どころとして何をピックアップするかが難しかったりしますよね。これが。
何十何百もの施設を回った動物園マニア,水族館マニアの人がおすすめするベスト10みたいな記事を読んでも「ああそうですか」としか思えないなんてこともあったりしますし。

第1話の沼津港深海水族館で紹介された生物は,ダイオウグソクムシ(でかい海底の掃除屋!),メンダコ(デリケート!),そしてシーラカンス!あとミステリークレイフィッシュの4種!
絞るなぁ〜。これだけでも水族館の魅力はだいたい伝わりますし,これらの生き物の特徴がうまいことストーリーにはまっているんですよね。
私だったらオオホモラを推したり「シーラカンスの脳は5g」とかいったコネタを掘り下げたりといった方向にどうしても行ってしまうんですよね〜。勉強です。

こづれ行楽_由菜.JPG第6話では,護は職場の社長に頼まれて,高2の娘さんに同行して京都まで行くことに。どんな頼まれ体質だ


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posted by ドージマ・ダイスケ at 12:09| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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