2015年10月07日

news◇ノーベル医学生理学賞に大村智先生。微生物から熱帯病特効薬開発

今年もノーベル賞のシーズンが来ましたね。理科年表もこの結果を年表に追加して発行にGO!すべく待機しているんでしょうね。(^_^)

その皮切りに発表されたノーベル医学・生理学賞でいきなり日本の北里大学特別栄誉教授の大村智先生が受賞されましたね。
日本人(米国籍の故南部陽一郎博士と中村修二氏含む)の受賞は23人目とのことですが,医学・生理学賞は利根川進博士,山中伸弥教授に続く3人目ということで,意外に少ないですよね。研究体制の違いや論文の評価が欧米と差がつきやすいのかな…


📖殺人病ファイル ※オンコセルカ症のページで大村先生のイベルメクチンにも言及されてますね。「1回注射するだけで体内の99%のフィラリアを駆除できる」
事前の受賞者予想では免疫関係などの研究に着目される向きが多かったようですが,今回の受賞理由は微生物が合成する物質から数々の医薬品を生み出し,放線菌から発見した「エバーメクチン」。この物質から改良された「イベルメクチン」は家畜の寄生虫駆除薬から熱帯地方特有のオンコセルカ症(河川盲目症)やリンパ系フィラリア(象皮病),疥癬(かいせん)などの特効薬として普及し,年間2億人を救っている計算になるそうですね。寄生虫を駆除する薬というのは普通人体にもダメージが大きいため安全な薬の開発が求められながらも非常に困難だったんですよね。このイベルメクチンはメルク社が無償でアフリカなどに供給していて多大な貢献をしているという話を読んだことがありますが,そういえば発明者は日本人,大村先生でした。世界の何億人もの人を救ったり家畜の衛生を守る(人間からすれば食料問題への貢献),壮大な業績で,そういった偉業に改めて光を当てる,まさに賞が存在する意味を実感しますね。共同受賞のウィリアム・キャンベル博士と同時受賞の屠博士もおめでとうございます(^_^)。

ペンノーベル生理医学賞に大村智氏 熱帯病薬開発で貢献(日本経済新聞)

ペンノーベル賞:大村智氏に医学生理学賞 日本人3人目、寄生虫感染症の薬開発(毎日新聞)

しかし,大村博士,その人生や才能の多彩さも注目を集めていますね。

家は大きな農家 若い頃は農作業で体を鍛える
スキーも堪能で国体出場
山梨大卒業後,東京都立墨田工業高校夜間部の教員に。
たまま試験に取り組む生徒の姿に感銘を受け,東京教育大聴講生,さらに東京理科大学大学院に
海外研究を目指す際,受けた5件のオファーの中から直感で報酬の一番安いウエスレーヤン大学客員教授を選ぶ→米メルク社との共同研究の契機に
チームが見つけた物質は500近く。発見・命名した化学物質の頭文字はAからZまでそろう
趣味はゴルフ イベルメクチンの細菌は伊東のゴルフ場の土から発見
イベルメクチンは動物用の薬として20年あまり売上高世界一
得られた特許料250億円の大半を北里研究所に。埼玉県北本市の研究所と病院が建つ
🎨美術愛好家・収集家としても著名で女子美術大の理事長も務める
地元山梨県韮崎市に収蔵品だけで数千点・5億円相当以上の美術館を寄


ペン大村氏、夜間高校教師と大学院の2足のわらじ ノーベル賞 (日本経済新聞)
ペンノーベル賞の大村智氏ってどんな人?…苦労人、美術愛好家の一面も(YOMIURI ONLINE)

ペン農家育ち、定時制教師から研究者へ ノーベル賞大村さん(朝日新聞デジタル)

ペンノーベル賞:医学生理学賞に大村さん 私学初の快挙 研究費、企業から工面(毎日新聞)

このほか,スキーの技術も科学の研究も,国内トップの北海道や師事する師匠の
まねをしていてはそれを超えることができないというモットー,
成功の秘訣はと聞かれ人の3倍失敗してきたと語る研究者
ノーベル賞は微生物のおかげ,微生物が受賞すべきという謙虚さなど
まぶしい業績に加えて見習いたい姿勢,言葉は尽きません。

ペン【ノーベル賞】「人のまねをするとそこで終わり」 大村智さんが語った人生訓の数々(The Huffington Post)

ノーベル賞受賞者が出ると,毎度マスコミはその人となりばかりを紹介して
業績の解説が全然できてないと批判されますが,今回の大村先生の業績は
近年の医学生理学賞の中でも,また今年の物理学賞・梶田隆章教授のニュートリノ研究と
比べてもはるかに身近で具体的,説明しやすいと思うのでばんばん報道してほしいですね。

📖大村智 - 2億人を病魔から守った化学者
中央公論新社
📖人生に美を添えて
大村智/生活の友社

本マンガ生物学に強くなる (ブルーバックス)
堂嶋大輔・ 渡邊 雄一郎
講談社
→Amazon →楽天ブックス
posted by ドージマ・ダイスケ at 23:06| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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