2015年10月01日

『マンガ生物学に強くなる』採用校(補習で)・今治西高校に行ってきた

前回のエントリでは愛媛県まで大遠征して伊予長浜の「長高水族館」を取材させてもらいましたが,このシルバーウィークは,続けて同じ愛媛県の西側から東側へ移動し,県立今治西高等学校を訪問,生物部顧問の中川和倫先生にお会いしてきました。

こちらは先日のエントリでも紹介しました,8月の日本生物学オリンピック(以下生物五輪)本戦に2人を送り込み,金賞(トップ10)と銅賞(40位以内)のメダル2個獲得の快挙を成し遂げた学校。これは学校別では灘高,桜蔭高,海城高に次ぐ成績で,中川先生が着任された2012年から毎年本戦出場者を送り出す四国随一の存在となっています。

その生物五輪対策の補習で拙著『マンガ生物学に強くなる』がテキストとして使用されたという情報を掴んだ私は,中川先生にアポイントをとり,このシルバーウィークを利用して先週日曜の9月20日,今治西高校を訪れたのでした。

【速報】日本生物学オリンピック2015 拙著が上位入賞者に貢献!
http://ddaisuke.seesaa.net/article/425066100.html


連休2日目の日曜日ながら生物実験室には数人の1年生部員が。
「原則,毎日誰かが出てきてますね。今日は学会(昆虫学会)発表で九州大に行ってる部員が多いですけど。あと,別の部活の行事で出ている子もいますね。兼部多いですよ。応援団,放送,吟詠,国際交流,郷土研究…」

本当に年中無休なんですか?!年末年始も?
「23日は宇和島東で研究会があって顧問2人とも行くのでそういう休みはあります。
 年末年始は部活はないですけど,受験対策の年末年始特訓で8クラス320人のうち250人くらい出てきます」

生物部の部員は
「40人で,各学年10人ちょっとですね。3年生が14人ですが,もう引退ですね。運動部と同じくらいの時期で。(運動部は)地方予選で負けると6月には終わっちゃうので,こちらは,その頃までに実験結果をまとめて,夏休みに論文をまとめる」
「原則2〜4人のグループでテーマを決めて調査研究をやってます。全部で約10グループ。フィールド系は私の前から顧問をされてる小野榮子先生が指導して,おもに実験室でやるものが私の指導」

(5月に愛媛大で行われた中国四国地区文化部発表会の資料をいただく)その研究テーマ,題材が,クマムシ,プラナリア,ナベブタムシ…と色々多彩ですね。有機溶媒耐性細菌とか
「テーマがないと部に入ってもやる気が出ないから,興味のもてるテーマを見つけるのは(顧問の重要な)役目ですね」
「有機溶剤耐性細菌は,学校にオートクレーブ(高温高圧殺菌釜)がないから苦肉の策です。今年は1年生でアーキア(古細菌)をやりたいという子がいたので高度好塩菌を選びました。天日塩の飽和水溶液をつくることで探せますし」

さて私がこちらに伺ったのは,(エゴサーチで)先生のレポートを拝見して,生物五輪挑戦を推進してそれに『マンガ生物学に強くなる』を活用されていると知ったことがきっかけだったのですが
http://www.jsse.jp/~kenkyu/201429/20152906_1-6.pdf
「早朝補習テキストに使用する予定である」と書いてありますけど,その後「やっぱりやめた」ということはないですよね???
「ちゃんと使いましたよ(笑)。朝の7時半から月〜金曜,5月18日から1ヶ月やって,その前半13回分で使いました。その後期末試験期間に入って,7月は過去問と関連する大学入試問題の演習。受験勉強にも役に立ちますよという触れ込みで(補習を開講した)。毎回自由参加で,だいたい20〜30人来てましたね」

この本をどこで知ったんですか?そして,生物五輪対策のテキストに使うと決められたのはいつ?
「普通に本屋で見て,これだ!と。それが予選(2014年7月20日)の2日前※で,1ヶ月早く出てれば使ったのに!って」
※ブルーバックスは毎月20日に新刊が発売されるが,この月は20日が日曜だったため18日に発売された。

(感動…)この本は作中でも国際生物五輪を目指して生物部員が勉強するという筋書きになっていて,生物五輪に出られる高校生や中学生にも読んでほしいと思って描いたんですけど,発刊されてみると大人でも難しいと思う人が多いんですよ。普通に生物学の入門書として教科書レベルのことを描くのはつまらないので突っ込んだ内容も描かせてもらったんですが,自分が思っていたより難しい本になってしまっているみたいで…゚(゚´Д`゚)゚
「そんな(入門レベルの)本なら使いませんよ。しっかりした内容を扱っていて,マンガなのでとっつきやすいのがいいですよね…。とっつきやすいけど舐めてかかると痛い目に遭う(笑)」
151001今治西01.png
高校1年生の子たち(早朝補習の頃は「生物基礎」最初のところを習い始めた段階)もわかりやすいと言ってくれました…うれしい

ギャグとか入ってますけど,問題なかったですか?
「全然。あらかじめ読んでこさせて,補習では学習内容を解説するだけだから問題ありません」



前任の松山南高校で生物五輪の日本参加初年度代表を送り出すなど生物部顧問として実績をあげながら,伝統校の今治西高校に転任されるとまず生物部の(副)顧問になるところから一苦労というゼロからの出発で,活気ある生物指導と部活運営を展開されている中川先生。終始やさしく明るい口調で話されていましたが,熱く漲るエネルギーを感じました。
伝統校ならではのエピソードや生物に関する豆知識,この国どうなってるの?と思わせる話(お金の話とか)などなど,興味深い話が尽きずついつい長居してしまいました。
151001今治西02.png
生物実験室の棚には旧制中学時代からの剥製がずらずらと。伝統校おそるべし。

今年の日本生物五輪のメダル獲得者菱田さんと村上さんは2人とも3年生のため次回世界五輪の日本代表対象外でした。来年こそは(『マンガ生物学に強くなる』で勉強した今年の1年生や来年の1年生から)日本代表を輩出してほしいです。
中高一貫の実績名門校を相手に日本代表を送り出すのは非常にハードルが高いですが,生物部だけでなく放送部も全国大会入賞に導く中川先生の指導力,さらには外へのアピールも欠かさず部員を集める力をもってすれば不可能なことはないと思えます。
生物部の皆さんのますますのご活躍を期待しています‼

📖マンガ生物学に強くなる (ブルーバックス)
堂嶋大輔・ 渡邊 雄一郎
講談社
→Amazon →楽天ブックス


📖キャンベル生物学 原書9版
丸善出版
📖生物学オリンピック問題集―解説・公式ガイド付き
羊土社

posted by ドージマ・ダイスケ at 07:11| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
記事検索
 

ケイン 基礎生物学
東京化学同人