2015年08月08日

【参考書】待たされたな!『大森徹の最強講義117講生物[生物基礎・生物]』

夏休み!とはいえ受験生にとっては休みなど関係ない,ただ過酷な暑さの中力をつける時期。
今回は受験生にこちらの参考書をご紹介します。

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本大森徹の最強講義117講 生物[生物基礎・生物] (シグマベスト)
大森徹/文英堂
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本大森徹の最強講義117講 生物[生物基礎・生物] (シグマベスト)ひらめき
2014年07月発行 2500円+税
A5判 800ページ 2色刷り

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5月に紹介した田部眞哉先生の『田部の生物Iをはじめからていねいに』に続いて,受験生の超定番・生物のカリスマ大森徹先生の『大森徹の最強講義117講 生物[生物基礎・生物] 』新課程版を紹介したい。新課程入試初年度の今年春の受験生には新課程対応の小冊子(16ページ)をはさんだ【増補版】でつないでいたが,ようやく新課程版が出た…来年受験の生徒には夏休み前になんとか間に合ったといったところだ。


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 6年前の記事で紹介した初版については,
・事典的に使うというより,読んで「知る・理解する」ことができる本
・大学生にも勧められるくらい受験に出るさまざまな内容を網羅した詳しい内容
・易しめの本かと思うくらい 読みやすい解説とあっさりしたデザイン

ということでしたね。

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そう,一言でいうと「大したことが書いてないんじゃないかと思うくらい読みやすい語り口で高校参考書トップレベルの内容を教えてくれる本」といったところだな。
その特徴は新課程版でももちろん変わらない。

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つか,旧版と見比べてあまり変わった感じしなくね?


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これでも旧版の736ページから,さらに64ページ増えて800ページの大台に乗ってきた。新学習指導要領,特に「生物」科目で加わった内容や受験に必要な題材が追加されてますます充実してきている。
具体的な内容について挙げるとだな,
細胞骨格(3講),細胞接着(9講),ゲノム(11講),静止中心(29講),ファイトマー(30講),中胚葉誘導の調節タンパク質(ディシェベルド、βカテニン,ノーダル,ノギン,コーディン 38講),鳥類の発生・TS細胞(43講),テロメア・テロメラーぜ・複製起点・レプリコン(55講),活性化因子による転写調節・ヒストンのメチル化アセチル化・ゲノムインプリンティング(58講),ABCモデル・キャップ・ポリAテール・分節遺伝子(59講),SNP(60講),塩基配列解読(61講),IPSP(63講),シナプス可塑性(73講),ランゲルハンス細胞・エピトープ(77講),パーフォリン・グランザイム・キメラ抗体(78講),セカンドメッセンジャー(86講),オーキシン極性移動のしくみ(90講),ジベレリンと遺伝子・AM菌とストリゴラクトン(91講),フィトクロム以外の光受容体(94講),メタ個体群(98講),血縁度と包括適応度(99講),形質置換・間接効果・キーストーン種・放線菌・菌根菌(100講),生物多様性・生態系サービス(103講),共進化(106講),擬態・遺伝子重複(111講),アーキアドメイン(112講など),グロムス菌類・ツボカビ類(114講)…などといったところだ。

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「一生懸命調べましたよ」アピール乙。


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「あまり変わってない」といえば,新課程の教科書から加わった内容だけどもともと初版で入っていたものとかもありますよね。岡崎フラグメントやビコイド・ナノス,ホメオティック遺伝子,多精拒否,アメフラシの慣れ,オーキシンが植物の成長にはたらくしくみ などは初版で既に入ってましたし。

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すごく多いページ数ですけど,紙が薄いので他の厚めの参考書とそれほど本の厚さは変わらないですね。

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旧版でも触れたけど,本の開きやすさにこだわっているよな。改訂版では表紙の紙もさらに薄めのやわらかい紙に変わったけど,これは本の重さに対して頼りないと感じる人もいるだろうな。きつい本棚に無理に突っ込もうとするなら気を付けるべきレベル。

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そうそう,こだわりといえば,この本の改訂については大森先生のこだわりがあるみたいだな。
こだわりその1,「117」という数字にこだわる
この117講の117という数字は「いいな」という言葉にかけた語呂合わせだそうだ。
一部のタイトルを変更して,生態の分野の順番を入れ替えた以外は構成を変えていないのは,この「117」という数字を変えたくなかったからとの噂。
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60ページ以上も加筆されているのにですか

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「生命の連続性」の分野で教科書が「遺伝子と形質発現」→「生殖・発生・遺伝」になったのにこの本は「生殖・発生・遺伝」→「遺伝子と形質発現」のままですけど,大学受験用の本は出題範囲全体を著者の教えやすい配列で教えるものですから変える必要ないんですよね。もともと「恒常性」の範囲で免疫について早めのページで扱ったりとか教科書と違う配列でしたし。

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そう,たとえば今回「生物多様性」に関する内容が約7ページ増えてるのだが,独立した講ではなく「103講 生態系の保全」に挿入する形にしたのでこの講は14ページに増えた。

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「各講は1回60分程度の生授業のように構成されており」って書いてあるけど,それじゃあ講ごとのページ数はまちまちなんですね。

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短い講は「82講 肝臓」で2ページしかない。初版のとき既に短い講と長い講とで2ページから9ページまで幅があったんだがさらに格差に拍車がかかったわけだ。


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新課程版になって逆に削られたところはないんですか
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例えば遺伝とか遺伝とか遺伝とか
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特になかったな。そもそも予備校講師本ってのは,入試に出る(自分が講義で教える)ところは扱う,出ないところは教科書に載っていようが軽視するもんで,免疫の沈降線みたいに入試に出るなら教科書に全く出ていない内容だって扱っているわけだよ。ましてこの本は受験に必要な内容はすべて網羅する方向性の本だからな。20年も30年も前からある参考書なら,昔扱っていて入試に出なくなったことがはっきりした内容(例えば昆虫の変態ホルモン,ヒトの性周期など)を削るだろうけど,6年前にゼロから700ページ以上書き下ろした本,今削るような内容なら最初から書かないだろ。

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遺伝については,削る必要あるか?教科書ではごっそり削られた「遺伝」の範囲だけど,参考書を見てみたら旧課程と比べて2〜3割ほどのページ数減なんだな。これはおもに例題を削ったり解説をはしょったりすることでページ数を減らしていて,扱う内容はそれほど減ってない。この『最強講義』は入試対策の本なんだから例題とか削る意味ないだろ。参考書でカットされた内容は数研『チャート式』では「キセニア(胚乳の遺伝)」「細胞質遺伝」,文英堂『理解しやすい』では「同義遺伝子」「限性遺伝」とかだけど,新課程からの出題となった今年の大学入試問題で胚乳の遺伝も(名大・千葉大・新潟大),細胞質遺伝も(金沢大・近畿大・鳥取大)普通に出題されているからなあ。
旺文社『全国大学入試問題正解』を見ると,今年の大学入試で遺伝の範囲は65大学中 京大・東北大・神戸大・岐阜大・岩手大・東京農工大・早大・慶大・明大など28大学で出題されていた(大学数は7月発売の「追加掲載編」との合計)。センター試験はこれまで大問が6題出されるうちの必ず1つが遺伝の問題だったのが消滅したけど「生物」の小問でむちゃくちゃ変則的な遺伝の問題が出たし,全体の中で出題される頻度や配点は下がっていくだろうが,学習する内容を削らないと読者が迷惑するかと言われたらそんな訳ないだろう。
大森先生からしたら,旧課程までは「センター遺伝」対策の本を出したりするなど遺伝を教え子の得点源にしていたのが,教科書(学校の授業)でいきなり扱いがごっそり削られて入試対策の本でも扱うところが少なくなったから,逆に自分の本でしっかり扱わないといけない考えるんじゃないか。予備校では特別講義やるとかな。
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遺伝遺伝いうけど,今度の新課程ではそれ以上に教科書からごっそり削られた項目があるんだが知ってるか?
動物と植物の組織・器官だ

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ああ,
 うちの本
ではLesson6でしっかりやってましたよね。
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あれ,教科書ではやんないんですね…

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うちの本は,正確には高校生物の本じゃないから!どっちかというと『キャンベル生物学』をベースにした生物学オリンピックの入門書だから!!!

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何の話でしたっけ?

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そうそう,『大森徹の最強講義』でな,動植物の組織・器官についてどう扱ってるだろうと思って見てみたら,動植物合わせて旧版も新課程版も11ページしか扱ってなかった。『チャート式新生物T』が13p(新課程版で12p),『理解しやすい生物I』が8p(同7p),田部真哉先生の『はじめからていねいに生物I(環境と生物の反応編)』では26p割いていたのと比べてもウエイトが小さく,シンプルに扱っていたわけだ。
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『はじめからていねいに』は生物Iだけで2分冊して合計600p近くある本ですからね…

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ちなみに『全国大学入試問題正解』では,今年この範囲から出題した大学は7大学ですね。


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しかしなんか大森先生の気持ちをわかってるようなこと言ってるけど大丈夫か。
本のレビューで著者が自分で書いてないとか○○をわかってないとか適当好き勝手な思いつきを書き飛ばして悦に入ってる野郎がよくいるけど,貴様もネットの闇に呑まれたくちじゃねーだろうな。

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まあそこんところは,大森先生の講義を受講している受験生の読者には先生に直接聞いてもらえばいいんじゃないかな。で,このエントリのコメント欄に報告してくれるとありがたい。それじゃまたノシ

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それ先生に迷惑じゃないですか…

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あと,こだわりその2以降は…?


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posted by ドージマ・ダイスケ at 07:54| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【参考書・問題集】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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