2015年07月20日

【土曜限定・2015年限り開催】 錯覚美術館 行って来ました

熱いですね〜。暑いを通り越して暑い!
関東甲信越地方は19日に気象庁が「梅雨明けしたと見られる」宣言を出しましたねえ。例年・昨年(ともに7月21日ごろ)より2日早いって報じられていますけど,15日(水)〜18日(土)のぐずついた空模様は台風11号の影響が強いでしょうから,梅雨は7月10日(金)にぱきっと明けてたんじゃないかなあ。

さて,今回のエントリは,放送大学の「錯覚の科学」(全15回。錯視のほか経済や対人関係などさまざまな分野に関する心理学が解説されていてとても面白かったです)で知った錯覚美術館に行って来ました。明治大学先端数理科学インスティテュート錯覚と数理の融合研究拠点 JST,CREST 「数学」領域、「計算錯覚学の構築」プロジェクトの研究活動の一環という立ち位置の“美術館”でもあり,土曜日限定の開館,それも2015年内いっぱいの運営ということで,ブログで紹介する意味からいっても,これは早めに行っておかねばと行って来ました。


150720 錯覚00.JPG
150720 錯覚01.JPG
場所は東京都営新宿線小川町駅、または東京メトロ丸ノ内線淡路町駅A5番出口から,タリーズコーヒーの裏側に回ったビルの2階。JRからちょっと歩いても大丈夫という方は,神田・秋葉原・お茶の水の3駅からほぼ当距離で行けます。

150720 錯覚02 撮影可.JPG

学校の理科室くらいの1フロアにずらりと展示された数々の錯覚作品,最初に目に入るのが,こちら「なんでも吸引四方向すべり台」(杉原厚吉作・2010年ベスト錯覚コンテスト優勝作品) ※敬称略
150720 錯覚03 四方向滑り台.JPG
これ,生で見ると両眼視のおかげでふつうに真ん中が凹んだ滑り台に見えるんで,「ここから見れば中央が高く見えます」という覗き穴が設置されているんですけど,写真に撮ると多少視点が動いても問題なく,見事に不思議立体に見えますね(反対側から見ると写真または単眼視でも正しく中央が低く見えます)。


続いて,エッシャーの騙し絵などで知られる「現実には存在不可能な立体」を実体化した作品群(杉原厚吉作)。
150720 錯覚05 エンドレス階段.JPG

150720 錯覚04 不可能貫通.JPG
これらは手にとっていろいろな角度から見ることができるのですが,不思議立体が成立する角度がかなり限定されるので,壁に展示されたパネル写真や図をもとに見えるポイントを探して鑑賞します。
まあ,実物を生で見ちゃうと両眼視でただのゆがんだ立体にしか見えなかったりするので,壁のパネルを見て「こんな立体が在りうるのか?」ということを色々考えてから種明かしとしてオブジェを手に取るようにするといいかもしれません。


次に進むと,浮遊錯視/視覚復号型暗号のゾーン。
150720 錯覚06 文字浮遊錯視.JPG
「錯覚美術館が浮遊して見える錯視」(新井仁之/新井しのぶ 作)。
画像あるいは視点を上下に動かすと文字列が左右に,左右に動かすと上下に浮遊して見えるという錯視画像。好きな文字列や画像を浮遊錯視に変えるアルゴリズムが編み出されているとのことで,おもしろいオリジナルグッズ作成に生かせるってことですね。楽しみです(^_^)。

150720 錯覚07 視覚複合型暗号a.JPG
150720 錯覚08 視覚複合型暗号b.JPG
「ROSE」と「GIRL」のフィルムを重ね合わせると…

「CAT」の写真と文字が浮かび上がる視覚複合型暗号(山口泰 作)。

かなりシビアに2枚を重ね合わせないと第3の写真が浮かび上がらないのでこのとき完成形を見るのはちょっと難しいかったですが,よくこのような仕組みを考えついて実現させるなあと驚きます。
この視覚暗号,山口先生は東大大学院の先生だけに,私は東大の五月祭で東大サイエンスコミュニケーションサークルCASTの「なるほど実感!サイエンスミュージアム」でも見ましたが,これをどうにか商品化というか実用化というか,うまく活用できないか考えちゃいますね。どなたかいいアイデア思いつきませんか?


150720 錯覚09 お化け通路.JPG「お化け通路」(杉原厚吉 作)
レールの上に置かれた2つのボール。

150720 錯覚10 お化け通路2.JPG

実は同じ大きさ。
かなり3次元的に歪んだ形を意図的に作っているわけですが,このような錯覚を計算で人工的につくってしまうの,面白いですね。


錯視本の表紙を飾るなどして見たことのある人も多いかもしれません。
「ヘビの回転」(北岡明佳 作)。 ※画像をクリックすると大きく開きます。
150720 錯覚11 ヘビの回転.JPG
ぐるぐる回転して見えるインパクト絶大な錯視画像。
立命館大学で開設したウェブページ「北岡明佳の錯視のページ」でも数々の作品を公開して錯視ファンにとって北岡先生はカリスマといってもいいでしょうね。ヘビっぽく赤い舌をちょろちょろと付け足す遊び心も作品力を高めてます(^_^)。

150720 錯覚12 目の色の恒常性.JPG
今年の2月から3月にかけて,写真に写っているドレスの色が「青と黒」か「白と金」に見える人で意見が二分するという不思議現象がWebからテレビなどでも話題となりましたが,その謎の解明ともいえる「目の色の恒常性」(北岡明佳)。 一部分に色のついた白黒画像に色のフィルターをかけると,もともと色のついていた部分の色を脳が修復して感知するしくみ。どういうことかというと

150720 錯覚13 目の色の恒常性red.JPG
女の子の右目(赤フィルターをかけた側)は,シアン(髪飾りと同じ色)と赤色が重なって,実際は左目と同じグレーになっているのですが,見ている私の脳が補正をかけているためシアンに見えます。
150720 錯覚13-2 目の色の恒常性_抽出.JPG
周りを隠して目の部分だけを見ると,どちらもグレーですね。


150720 錯覚14 サクラソウの畑.JPG
それぞれの図形(黄緑と緑の角丸正方形)は水平・垂直に並んでいるのにブワンブワン波打って見える「サクラソウの畑」(北岡明佳)。
この錯視アート,タペストリーで展示されていて,実際には空調の風で本当に微妙に波打ってたんですけどw,この画面に定規やまっすぐな紙などをあててみると,見た目が波打っているのに実際は縦横まっすぐに並んでいるのがわかります。そのギャップは驚きではないでしょうか。

そしてお子様からお年寄りまで楽しめるサービスの1つが「動く錯視図形作成システム」
150720 錯覚15 動く錯視図形作成システム.JPG
このタブレットに図形を描いて(一筆書きで一度に描かないといけないのであまり複雑な絵は描けません(;^_^)),処理すると…
150720 錯覚16 動く錯視図形作成システム印刷.JPG
150720 錯覚17 動く錯視図形medaka.jpg
背景と図形がそれぞれ動いて見えるオリジナルの錯視画像がつくれ,はがきに印刷してお持ち帰りできます(^_^)。あまり凝った絵を描こうとするより,太くてシンプルな絵にしたほうが錯視効果がいい感じですね。(左はメダカをモチーフに描いてみた私作の画像です)


そうしてもう1つ,エッシャーの騙し絵で数々の名作が知られる「タイリングパターン」の作成システム(杉原厚吉)。
150720 錯覚18 タイリングパターン作成システム.JPG
遷移させる2つの図形を描いて,背景色を選んで右下のボタンをクリックすればできあがり。
150720 錯覚19 タイリングパターン作成システム.JPG
150720 錯覚20 タイリングパターン鮫→鴎.jpgこちらもプリンタではがきに印刷してお持ち帰りできます♪


このほかにも「反対色の錯視コマ」,「ハイブリッド画像」,「フラクタル螺旋錯視」,「文字列傾斜錯視」,「錯視応用コンテンツ制作支援システム」,「不可能立体の3DCG表示」,実際の道路などで下り坂なのに上り坂に見える現象を模型で体験・計測する「縦断勾配錯視計測実験装置」などたくさんの展示がありますので,興味のある方はぜひ行ってみてください。
150720 錯覚21 ホロウマスク.JPG

同じ立体(両方凹んでいる)なのに,光の当て方によって出っ張っても見えるホロウマスク錯視「矢印の幻惑」(友枝明保/杉原厚吉 作)。
150720 錯覚22 変身するガレージ屋根.JPG
鏡に写すとまるで違った形に見える「変身するガレージ屋根」(杉原厚吉 作 2015年第11回ベスト錯覚コンテスト準優勝作品)。
この作品と最初の「なんでも吸引四方向滑り台」は,誰でも自作できるよう型紙がもらえます。


錯覚美術館
   http://compillusion.mims.meiji.ac.jp/museum.html
 明治大学 計算錯覚学
   http://compillusion.mims.meiji.ac.jp/

■開催期間:最終開館日は 2015年12月26日(土)
■開催時間:毎週土曜日(午前10時から午後5時) 入場無料
■開催場所:住所:〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1−1 神田クレストビル2階
   電話(ファックス兼用):03-5577-5647
  都営新宿線小川町駅、または東京メトロ丸ノ内線淡路町駅下車、
  A5番出口から徒歩1分
  明治大学駿河台キャンパスから徒歩10分


杉原厚吉先生 ホームページ
  http://home.mims.meiji.ac.jp/~sugihara/Welcomej.html

新井仁之先生「錯視の科学館」
  http://www.araiweb.matrix.jp/Exhibition/illusiongallary4.html

山口泰先生 研究室ホームページ
  http://www.graco.c.u-tokyo.ac.jp/yama-lab/index.php

北岡明佳先生 「北岡明佳の錯視のページ」
  http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/

友枝明保先生 渋滞学ウェブページ
   http://dow.mydns.jp/

植田一博先生 研究室ホームページ
  http://www.cs.c.u-tokyo.ac.jp/research.html
宮下芳明先生 研究室ホームページ
   http://www.miyashita.com/
福田玄明先生 研究室ホームページ
   http://www.cs.c.u-tokyo.ac.jp/research.html

ちょっとだけ関連
東大行って来ました・駒場先端研・生研公開キャンパス(2)(2009年06月03日)

超ふしぎ体験! 立体トリックアート工作 キットブック
杉原厚吉/金の星社
錯視入門
北岡明佳/朝倉書店
posted by ドージマ・ダイスケ at 16:35| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆イベント・生物オリンピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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