2015年05月23日

手塚治虫文化賞贈呈式行きました2015

150522 手塚治虫漫画賞.JPG
例年は5月の末の金曜に行われていたかと思うのですが,今年は22日に「手塚治虫文化賞」贈呈式が行われました。で,私,今年も入場ハガキが当たりましたので行ってまいりました。


今年も東京築地の朝日ホールで行われた手塚治虫文化賞贈呈式。受賞者・受賞作品については先だって発表されていましたが,朝日新聞社社長の主催者挨拶と,主賓・手塚眞さんの挨拶の後,中条省平選考委員より選考結果報告がありましたので贈呈式で配布された冊子の選考委員コメントからの引用と合わせて紹介します。

150523 パネル逢沢りく.JPG
マンガ大賞 『逢沢りく』 ほしよりこ
ノミネート32作に対して選考委員8人が投票で1次選考(各人持ち点15点,1作品に最高点5点まで配点)を行い,上位9作品が最終選考にノミネート。
『聲の形』11点,『アオイホノオ』10点,『銀の匙』8点,『逢沢りく』7点,『NARUTO』7点,『暗殺教室』5点,『五色の舟』5点,『チェイサー』5点,『平成うろ覺え草紙』5点

選考委員の協議のなかで早々に『聲の形』『アオイホノオ』『銀の匙』『逢沢りく』の4点に絞られ,『アオイホノオ』は,すでに他の賞を受賞している,作者・島田和彦の過去の自伝的作品と比べて新鮮さの点で物足りないと脱落,『銀の匙』も,過去にも大賞候補に挙がっているこの作者(荒川弘先生。2011年新生賞受賞)を表彰するとして今このタイミングでこの作品を評価するのが妥当とは思えないという理由で除外。
『逢沢りく』は,関西人家族のコテコテのあけっぴろげな環境で女子高生が心を開くという筋がベタ過ぎないか,難病少年との絡みは恣意的すぎないかという指摘もあったが,独特の薄い描線・シンプルな描画で繊細な感情や情報を表現できることを示し,漫画表現の新たな可能性を見せてくれたという評価で大賞に推すことで意見が一致した。



150523 パネル聲の形.JPG
新生賞 『聲の形』 大今良時
●斬新な表現,画期的なテーマなど精神な才能の作者に贈る
障害者と「いじめ」という重い題材から力強い希望と再生の物語を紡ぎ出したことに対して高く評価。
大賞選考では『逢沢りく』が賛否両論出て,それは逆に各選考委員に強い印象を刻みつけていたこのの裏返しでもあり,『聲の形』は次点に終わった。しかしこの作品の価値の高さ・作者の力量は捨てるには惜しく,26歳という若さや主人公の心情を登場人物の顔に×をつけることなどで表現したり,難聴のヒロインの聞こえを表現するセリフ処理など斬新で丹念に作りこまれた手法など,新生賞にふさわしいのではということで新生賞の選考にスライドして残した。
新生賞では『子供はわかってあげない』(田島列島)も初連載で,明るくほのぼのした味わい深い作品に非常に高い評価がされていたのだが,投票で『聲の形』が圧倒的な支持を得た。



150523 パネルおかゆ&親.JPG
短編賞 『おかゆネコ』『まんが親』 吉田戦車
不条理ギャグから育児日記まで,独自の笑いのセンスにあふれた一連の作品に対して表彰。
初期作の強烈な印象に比べると普通の作風に寄って来てしまっているのではという意見もあったが,「おかゆ」「言語」「県民性」などのワンテーマを非常なこだわりで描ききる姿勢は全く衰えがなく,長く一線で続けることの難しいギャグ漫画の世界で25年もやってきていることを評価すべきという委員の主張に一同同意。



150523 パネル小さな恋の物語.JPG
特別賞 みつはしちかこ
『小さな恋のものがたり』を半世紀以上にわたり描き続け,完結させた業績に対して
同作は短編として文句のなく,完結のタイミングで表彰するのも妥当であったが,2015年の短編優秀作というよりもはや日本の漫画界の歴史の一部であり,その貢献に対して特別賞で表彰すべきとの意見で一致。



そしてアトム像トロフィー贈呈式と記念イベント。
150523 hoshiyoriko.jpg
大賞のほしよりこ先生,壇上で感極まり
「ありがとうございます…………何もいえなくて…………ありがとうございます」
と短い挨拶。


150523 ooimayoshitoki.jpg
新生賞の大今良時先生も
「ものすごいご褒美をいただいて…」と涙ながらの挨拶。
「私が生まれた時にはもう手塚先生は亡くなっていて,小学生の頃,学校に『ブッダ』とかがあって,すごいなあと思って読んだのが手塚先生の作品との思い出です。このような手塚先生の賞をいただいて,手塚先生のような皆の心に残る作品を…それはとても大変なことだと思うけど,描きたいと思います」


短編賞の吉田戦車先生,「雑誌の片隅に連載を始めたのが30年前のことで,30年の記念すべき歳にこのような大きな賞を頂戴して感慨深いものがあります。私はリアルタイムで『ブラック・ジャック』や『三つ目がとおる』を読んできたんですけど,その頃の自分に,今のことを教えてやりたい気持ちです」

150523 mitsuhashichikako.jpg
特別賞のみつはしちかこ先生も緊張の様子。
「すみません,うまく言えなくて…この作品は,最初に見ていただいたのが手塚治虫先生なんです。先生にいいと言っていただいて出版社に持っていったんですが,編集の方に「これのどこが面白いの?」って言われて,たまたまそこに通りがかった人が「これ面白いよ!連載にするべきだよ」って言ってくださって,こうして世に出てきて,今まで続けてきました。いろいろな人たちのおかげでここまでこれたわけですが,この賞をもらってお礼を言いたい人がいます,これまで編集してくださった山崎園子さん,ありがとうございました」


150523 yoshidasensha_talk.jpg
そして恒例の記念イベントトークショー。
これなんですけど,例年は大賞の受賞者ともう1人の受賞者(特別賞の方が多いかな)に選考委員あるいは受賞者ゆかりの人がインタビューする形の対談2本立てでやることが多いと思うのですけど,今回は,短編賞受賞の吉田戦車先生と,2006年に同賞を受賞していて今回夫婦受賞となった伊藤理佐先生の対談1本勝負!
これけっこう無茶ぶりでしょう。贈呈式全体が16時〜17時半の1時間半ですから,トークショーで1時間もたせろってことなわけで。大賞と新生賞の両先生が説明不要なくらい人前でのトークが厳しい状況で,みつはし先生も辞退されたんでしょうねえ…
そんな状況で,トークのテーマになる話題を列挙したメモと「喋っちゃいけないこと」リストを手にして登壇された夫婦対談ですが,トークの内容はgdgdでしたが場の空気はがっちりつかみ続けて式を盛り上げました。

「これで,(トロフィーの)アトムが2体になったんだけど,1つはウランちゃんにしてもらうっての,どう?」
「それが,「オレ,1つ言いたいことあるんだけど」って言ってたやつ?
 打ち合わせにないんだけど,それ?」


受賞の連絡 「スピリッツの担当から電話が来て,描き直しの連絡かと思ったら「あなた受かったんですけど,受けますか?」って。「ノミネートしていただけるなら頂きます」って答えたら「いや本決まりらしいです」って」
「夜8時にかかってきた電話で。ふだんうちにこんな時間電話こないし「いただきます!いただきます!」って言ってるから,岩手のお母さんから乾麺送られてくるのかと思った
受賞の電話連絡は私のときもひどくて,双葉社の担当から「くれるって言うんですけどー,本当ですかねー」って。「騙されてるんじゃないですかー?」って言ったら「俺だって騙されてるかも知れないんんだよ!」ってなぜか逆ギレされて」


伊藤先生の故郷(長野県原村)・実家 「結婚するということで実家に挨拶に行ったとき,『ハチの子リサちゃん』読んでたんで,おおー,ここがあの小学校か!って無茶苦茶テンション上がってた」
「ハチの子出したら平気で食べるんで,チッて。つまんなかった」

仕事場・自宅 「古い和風の一軒家に,1階の和室6畳と2階の洋室10畳で分かれてます。自宅と別に仕事場借りたいけど,もったいないしということで。子どもがいる時以外は会わないようにしてます。台所で食事してたら時間ずらすとか。だから仲いいよね。だから自分用の台所ほしいんですよ。どうしてもかみさんの台所になっちゃうから」「けど6畳で料理してるじゃない。カセットコンロでいい匂いさせて」「換気(設備)がないから匂いがこもるんだよ」

この他,「今日食べたカレーがくさってた件」
 「タオルはふわふわのじゃ駄目,実はうすうすにこだわっていた件」
 「買い物に失敗するので有名」
 「ハンモック いらないと思ったけど高いそうなので撤去撤回」(ここで伊藤先生NG発言あり)
 「今着てるスーツ 中野ブロードウェーで買ってきた」
 「特撮ヒーローもの出身の俳優推しが激しい」
 「上の娘の家の縁の下で猫が子を産んだのをもらってくるので久々に猫を飼う。これまで飼った猫は交際相手が連れてきたのばかりなので,初子猫。その子猫たちを見に行った際に5歳児,そのまま連れて帰れない(子猫の体調がよくなかった)と言われギャン泣き」
 「猫はいい。授賞式の緊張も,これが終われば明日ネコが来るんだと思うと心がやわらぐ」
 「今のマイブームは歌舞伎。桟敷席でネーム描いたりビールサーバ持ち込んで飲みまくったり」

などの話題でトークを展開。
時間も迫ってきた最後にこんなエピソードを。

手塚治虫文化賞の夫婦受賞は残念ながら初じゃない件(過去に2007年森下裕美先生と2011年山科けいすけ先生が受賞) 「私のほうが先ってことに何か思うことはない?」「それはないね。そっちはあの頃立て続けに受賞してたよね」「講談社漫画賞がつきあう前で,手塚治虫文化賞はつきあってから」「そう,アトム像持たせてもらった記憶ある」「アトムのトロフィーはかわいいんだけど,講談社漫画賞のトロフィーが,知らないただのおじさんなの。すんごく重いし。だからこっちはお父さんにあげちゃった」「講談社の人,来てなかったっけ?」「あ…!いえ,賞については大変ありがたく否定するものではないので!」
思わぬ形で会場が沸いてお時間となりましたとさ。 この対談の模様はAERAやdotといった媒体で全公開されるそうです。


今回も下手ながら受賞者の先生がたの絵を描いてupさせてもらいましたけど,今年から会場の席の前半分が関係者席となり,ステージまでの距離が倍くらい遠くなってしまいました(;^_^)。
撮影・録音禁止ですので,メモとスケッチと記憶頼りの当記事,不正確な点はご容赦ください。
大今先生と吉田先生については主催者撮影の写真が報道記事でupされてるので補正しましたけど,基本,眼鏡かけててもステージ上の人物画スケッチは厳しかったです。人物特定できないくらい似てないことで定評のある私の画力ですが,ますます似てないのであればそのような理由もあると言い訳させていただきます。m(_ _)m


【関連記事】
ペン手塚治虫漫画賞贈呈式行きました2014(2014年05月31日)
  ※大賞 『3月のライオン』
ペン手塚治虫文化賞2011贈呈式行ってきました(2011年06月05日)
  ※大賞 『仁-JIN-』『竹光侍』

ツイッターアカウント
吉田戦車先生 @yojizen https://twitter.com/yojizen


朝日新聞社 手塚治虫文化賞 選考結果
  http://www.asahi.com/shimbun/award/tezuka/2015winners.html

ペン朝日新聞デジタル 手塚治虫文化賞に4人 マンガ大賞に「逢沢りく」
  http://www.asahi.com/articles/photo/AS20150522003826.html

ペンORICON STYLE 『第19回手塚治虫文化賞』贈呈式 新生賞・大今良時氏が涙で喜び
  http://www.oricon.co.jp/news/2053182/

ペンdotニュース 手塚治虫文化賞贈呈式 今年も個性的な受賞者が勢揃い
  http://dot.asahi.com/dot/2015052200100.html?ref=allnew

ペンコミックナタリー 大今良時が「残るマンガを描いていきたい」と語る、手塚治虫文化賞贈呈式
   http://natalie.mu/comic/news/148101

朝日新聞CSR推進局ツイッター https://twitter.com/asahi_csr
手塚プロダクション http://tezukaosamu.net/jp/
Tezuka Osamu Official (Facebook) https://www.facebook.com/tezukaosamu.net

選考委員 (敬称略 50音順)
あさのあつこ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%95%E3%81%AE%E3%81%82%E3%81%A4%E3%81%93
里中満智子 http://satonaka-machiko.com/
中条省平 http://fr-gakushuin.jp/profs/chujo.html (学習院大)
中野晴行 http://www.kyoto-seika.ac.jp/edu/faculty/nakano-haruyuki/ (京都精華大)
ブルボン小林 http://www.bonkoba.jp/ https://twitter.com/bonkoba
南信長(新保信長) https://twitter.com/nobunagashinbo
みなもと太郎 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%82%82%E3%81%A8%E5%A4%AA%E9%83%8E
ヤマダトモコ https://twitter.com/yamatomo413


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
にほんブログ村 漫画ブログ オリジナル漫画へ人気ブログランキングバナーくつろぐバナーWCRバナー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
posted by ドージマ・ダイスケ at 17:25| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆イベント・生物オリンピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
記事検索
 

ケイン 基礎生物学
東京化学同人