2015年05月06日

【参考書】こってりこだわりの味!『田部の生物基礎をはじめからていねいに』

連休ももうラスト1日!全般的に好天に恵まれて暖かい日が多かったと思いますが,ほとんど引きこもっていた私は,あまり直射日光が室内に入らない間取りでけっこう涼しく過ごしております(;^_^)。

さて,当ブログでは高校生物に関する役立つ情報を提供するということで,学習まんがをメインコンテンツと位置づけているわけですが,書籍などの紹介もやっていて,これがまた相当インターバルが空いてしまいがちなのですが,新学期も始まって5月の大型連休にもなって,そろそろちゃんと勉強しないとやばいぞという生徒の皆さんのために1冊でも新しい紹介記事をupしておかないといかんだろと。
いうわけで,今回紹介しますのは,こちら!

生基礎はじめからていねいに表紙.jpg
本田部の生物基礎をはじめからていねいに (東進ブックス 名人の授業)
田部眞哉/ナガセ
→Amazon →楽天ブックス

本田部の生物基礎をはじめからていねいに (東進ブックス 名人の授業)ひらめき
2014年01月発行 1200円+税
A5判 294ページ+東進の広告

今や大学予備校業界で飛ぶ鳥を落とす勢いの東進ハイスクール。その生物講師に君臨している田部眞哉先生の新課程版参考書でございます。

田部先生の参考書については,当ブログでは『生物1合格39講 完全版』『生物I用語総チェック合格501項』,そして『田部の生物1をはじめからていねいに【生命の連続性編】』,それから『同【環境と生物の反応編】』について紹介してきたのですが,今回のこの本は,もちろん,『田部の生物Iをはじめからていねいに』の新課程版。

7年前に書いた前記事でも
図解への力の入れ方はもうハンパじゃない,徹底的!
と書いていますが,改訂版のこの本も,それに輪をかけて図解にこだわっています
初版帯で「これで受かれ。夢があるだろ。」と,これで落ちたら殺されそうな勢いで顔写真が迫っていますが,その情熱が掛け値なしで十二分に込められた1冊。本当にひしひしと伝わってきます。
そんな田部先生の本を語るにあたっては,おのずと歴史の偉人を語る磯田道史先生みたいな口調にならざるを得ない。
『合格39講』については正直古くさい,野暮ったい印象を抱いていたのですが,時を経て格段に洗練され,クオリティを上げてきている,上手にメイン本となる路線を更新してきた感があります。

その『生物基礎をはじめからていねいに』,旧課程の『生物 I (生命の連続性)』で図にこだわりまくっていた動物の発生の範囲は「生物基礎」には含まれないので全カットなのですが,逆にそれだけに300ページ近い本を旧課程版に引きずられることなく描き上げたフレッシュさを感じます。
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たとえば,心臓ひとつについてもこの大きさで図を扱っています。女の子とかだったら実物大に近い大きさですよこれ。
この,心臓に4つある弁の名前なんて,教科書では基本的に出てきません(出している社もあります)し,その説明(右ページの上部)に半ページ使うなんて有り得ません。そもそも断面図とは別に外観図を載っけるスペースなんてないと判断するところがほとんどなのですが,田部先生はここまでやるわけです。そうするとですね,血液循環についてのイメージが定着しますよ〜そりゃ。


そして,特に田部先生のこだわりが発揮されまくっているのが,免疫の範囲。
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旧課程版でも『生物 I (環境と生物の反応編)』で免疫の範囲は扱われておりまして,かなりページや図を割いておるんですが,今度の「生物基礎」では教科書の扱いもより詳しくなったこともあり,導入のところからより丁寧に書き直されております。

で,教科書の定番(載っていない教科書があったらちょっと困る)である,免疫の一次応答と二次応答のグラフ(抗体の量)。普通はそのグラフだけなんですが,この本では,そのグラフの時系列に対応して体内の免疫細胞で何が起こっているか(どの時点でどの種類の細胞が活性化・増殖して抗体が増えるのか)を示す図を添えたりしているんです。


生基礎はじめからていねいに_immune3comic.jpg
そして,免疫反応の進み方を漫画で解説するという手法も健在。というか,さらにさらに輪をかけて詳しく丁寧になっております。

←この体液性免疫の過程を説明した漫画は,6ページ10コマ続きます。そしてさらに,細胞性免疫についても同様の漫画↓で4ページ8コマかけて解説されます。

生基礎はじめからていねいに_immune4comic.jpg
(まあ,似たようなキャラがごちゃごちゃ大勢出てきて,説明的な長台詞で意味を読み取る必要がある漫画ですので,これは,人によって好みが分かれるかもしれませんね。てな人様の作品を偉そうに批評して,学習マンガを描く私としてブーメランにならないよう心して自分の作を描かないといけません)

あと,「生物基礎」には,旧「生物 I 」の範囲に含まれていなかった生態(世間で言う「環境」「生態系」)の分野が全体の3割くらい含まれるのですが,ここも本当に図をふんだんに使い,こだわりの工夫を惜しげもなくぶち込んで説明をされるわけなんですよ。

たとえば,この遷移の過程について説明するこのページ。
左のページは火山の噴火で溶岩に覆われた地面が固まって遷移のスタートとなる「裸地」。その様子を描いた図が,他に例を見ないくらい説明力のある(情報を見やすく盛り込んだ)鳥瞰図となっていて,同様の「解説本文+解説図」の構成でその数ヶ月〜数年後の「荒原」が続いて見開き2ページとなります。
その図をよく見ると,図中で解説しているクマ(田部先生)のキャラが,「田部小路熊麻呂」と「熊丸」という平安時代?な名前と身なり。
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生基礎はじめからていねいに_succession1-A.jpg生基礎はじめからていねいに_succession1-B.jpg
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生基礎はじめからていねいに_succession2-A.jpg生基礎はじめからていねいに_succession2-B.jpg

なんじゃ?と思って読み進めると,数十年後の「草原」では「田部小路熊丸」が武士に成長し,その子「小熊丸」が次の「低木林」(裸地から数十年〜百年経過)では大人に成長,続く「陽樹林」(200〜300年後)では時代が変わって江戸時代風武士の「田部熊左衛門」と「熊乃進」に。
さらにその次の「陽樹と陰樹の混交林」(数百年経過)では,上右図のように明治維新後の「田部熊太郎」「熊彦」になっているという具合(さらにこの次に現代の「陰樹林」が続いて完結)。こういう細かい工夫は,自分が描くとき小ネタを色々ぶち込みたい身として非常に共鳴するところがあり,やられた感がありました。ほんと,シャッポを脱ぎます。
遷移に関しては,ギャップの更新や湿性遷移などについても同じような見やすさの図をふんだんに使った丁寧な解説がなされています。

こんな感じでくわしく丁寧に解説された1冊。巻末にくっついている東進ハイスクールの広告ページ以外はフルカラーで,これだけの内容とボリュームで1冊1200円(+税)というのはかなりお買い得だと思います。
東進の広告媒体としての意味も兼ねているから安めでも元はとれているという考えか,『チャート式』や『シグマベスト理解しやすい』などに比べて安めの紙を使っている(憶測)からなのか,あと,写真をまるで載せていない(図はよほどハイクオリティかつ大きいものでない限り写真の使用料・撮影料のほうが高い)ので原価が安くおさまっているのか…いずれにせよいいと思います。

ただ,最後の環境問題(人間の活動による生態系への影響)のページに関してはあっさりと4ページにまとめてあって,「え?たったこれだけ?」と拍子抜けするところはありました。たとえば地球温暖化に関連して大気中の二酸化炭素濃度の変化のグラフを載せるならそれがギザギザになる理由に触れるとか大学入試対策ならしておいてもいいんじゃないかなと思うのですが。まあ,予備校の先生ならどこを勉強すれば点になるか,合格できるかの取捨選択も腕のうちですから,この範囲をごく簡単に済ませるのも判断でしょうね。

というわけで,2012年の新課程スタートから2年弱を費やして発刊された『田部の生物基礎をはじめからていねいに 』。こうなると,4単位「生物」のほうも非常に待たれるところです(センター試験の受験者数を見ても,「生物」の選択者はけっこう多い)。
同じ東進ハイスクールの林修先生を取り上げたNHKの再現ドラマつきドキュメント番組で「年間200コマを教える超多忙」と紹介されてましたが,それって1日2コマ教えたとして1年間週2日のペースでこなせる数ですからね。さすが録画映像授業の東進!ということで田部先生もみっちり時間をかけて執筆されていることと思います。
ただ,単純にこの『生物基礎』のようなページ配分で執筆されたら軽く700ページを超える計算になるんですよね…。『生物 I 』のときのように分冊になるんでしょうかね。「生物基礎」と「生物」にまたがる分野もあるので,「生物基礎」の範囲も含んだ内容で「生命の連続性」「環境と生物の反応」,そして「生態系と進化・分類」の3分冊になるのでしょうかね。ただ,そうすると3冊目はあまり売れないかも…?先生と出版元のナガセの判断はいかに? あと,いつ出るのでしょうか?!楽しみに待っていますノ

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posted by ドージマ・ダイスケ at 02:40| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 【参考書・問題集】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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