2014年09月09日

【参考書】作り手のどや顔が見える『チャート式シリーズ新生物』

ペン読書の秋,受験勉強の秋!
書きたいのに書けない病がちょっとおさまりましたので
超久しぶりに生物の参考書を紹介してみたいと思います。

__チャート式新生物新課程150px.jpg__
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ひらめき一言で表現すると「作り手側のどや顔が目に浮かぶ」参考書。この参考書が昨年春に発売されたとき,「はじめからチャート式」というキャッチコピーの帯を巻いて売り出していましたけど,これ最初に買って使いこなせるのなら,この後高校卒業まで他の本いらないよなあと思わせる,何でも書いてある感びんびんの1冊であります。著者の鈴木孝仁先生,本川達雄先生,鷲谷いづみ先生がこれだけ内容を詰め込もうと考えたとは想像しにくいので,数研出版編集部主導で進めたんでしょうね。

たとえば,
新課程の教科書で扱いの詳しくなった分野では,その教科書の内容からさらに踏み込んで
代謝ではグルコースやATPならいざ知らず,アセチルCoA(活性酢酸)の構造式(p.106)まで扱ったり,
バイオテクノロジー(教科書では遺伝子分野に関する内容を扱う)ではcDNA(相補的DNA)の作製と利用やDNAマイクロアレイ,DNA型鑑定の詳しい解説(p.206〜208)
免疫のところでは免疫グロブリンの種類IgG,IgM,IgA,IgEについて(p.320)
植物の細胞成長についてオーキシンに加えてエクスパンシンの作用も加味した解説(p382)

一方で,新課程版の教科書では扱いの軽くなった範囲の内容も押さえてあります。
遺伝の法則については教科書から消えた遺伝子の相互作用を旧課程同様に扱っているうえ,乗換え・多重乗換えと乗換え価,染色体地図(地図距離)について求めたホールデンの関数コサンビの関数まで扱っていたり(p.235),
昔の教科書では載っていたけれど今の高校生が生まれた頃にはもう教科書の本文からは消え,大学入試でもその知識をそのまま問われることはほとんどなくなった,消化器とそのはたらき(p.145)や植物に必要な無機養分(p.139),動物の再生(p.267),性周期の調節(p.309),無脊椎動物のホルモン(p.313),皮膚の感覚点(p.350)なども削らずに解説しています。
(図版も当時からのものをそのまま使っている感じでタッチや色遣いが懐かしかったりします(;^_^))

このほか
田中耕一氏がノーベル化学賞を受賞したタンパク質の構造解析法のソフトレーザー脱離イオン化法(p.47),ヘモグロビン以外の呼吸色素(p.284),血球細胞が作られる骨髄に対してリンパ球の生成と赤血球の破壊および血液の貯蔵が行われるひ臓の解説をその構造を説明する図つきで掲載(p.279)など,高校生物では本当に枝葉の先で教科書では扱えない(ページ数の都合や検定などで)ような内容も紹介・解説。
遺伝子発現のページでは放射能とヒトの健康に関する影響についても説明されています(p.184)。

「生物基礎」だけのものと「生物基礎・生物」があり,ここでは基本的に後者について紹介しているのですが,この本,560ページありますが,確認問題・練習問題のたぐいがない(ということは解答のページもない)ので,索引などを除いてまるまる本文解説にあててたっぷりの内容となっています。
それぞれの事柄は1ページまたは見開き2ページ内におさまる簡潔な解説でまとめられていますので,内容が教科書レベルよりかなり上のところまで扱っているだけに多くの高校生には正直難しいと思います(私のマンガも難しいという声をけっこう頂いているので…)が,その簡潔な文章が読みやすいという面もあるので,われこそはという人は,数研出版さんの話に乗って「はじめから」この1冊を買うのも手かもしれません。大学受験どころか,教養課程くらいでも使える内容なのでコスパは5つ星です

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posted by ドージマ・ダイスケ at 04:50| 東京 🌁| Comment(3) | TrackBack(0) | 【参考書・問題集】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
漫画購入して読んでますが
確かに難しかったですw
特に209ページからの遺伝のあたり

チャート式の生物基礎のみはどんな感じでしょうか?
また生物基礎でオススメの参考書と問題も
教えていただけたら幸いです。
Posted by yuki at 2015年09月08日 01:13
yukiさん ありがとうございます♪(^o^)/

遺伝のところは,新しい発見が相次ぐ生物学の中ではもう古典的な内容になってきていて高校の教科書でも扱いが軽くなっていて,あえてこの本で丁寧にやるほどでもと思って駆け足で扱ったのですが,そうすると図の読み方とか難しかったりしますよね…勉強になります。ありがとうございます。

チャート式の生物基礎は,基本的には「生物基礎・生物」と同じで,合冊版では「生物」範囲と重複する部分が整理されているので,生物基礎単独版では合冊版から単純に該当箇所を抜き出したよりちょっとページ数が多くなっています。

おすすめということになりますと,目的や相性などによっていい参考書や問題集が違ってきますのでちょっとここではお答えしかねるかなと…。このカテゴリ内の過去の書評を参考にしてもらえたらと思います。m(_ _)m
Posted by ドージマ at 2015年09月09日 07:43
お返事ありがとうございます。

くわしく丁寧ということなので田部の生物基礎に
しようと思います。


新しい漫画が出るのも(例えば分子生物学、生化学など)
も楽しみにしております!
Posted by yuki at 2015年09月09日 13:08
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