2012年10月11日

news◇ノーベル医学生理学賞2012・山中伸弥教授が受賞!

やりましたー!
iPS細胞の作成技術を編み出した功績で
京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授が
2012年のノーベル医学生理学賞を受賞しましたー!!

いやー,山中先生の偉業のすばらしさと
iPS細胞の研究の進展については当ブログでもたびたび取り挙げさせていただきまして
現在進行中の『本を出すぞプロジェクト』の
単行本の原稿でも山中先生に登場していただいております。
121009 山中教授in単行本.JPG登場といっても,似顔絵つきでiPS細胞の作成成功の業績を紹介してるだけです。
公人ですから許可も得てません(;^_^)。
(「にてねー」とか言うな!)


しかし正直,これだけ早く選ばれるとは思いもしませんでした。
なんといっても,受賞対象となるiPS細胞の作成成功からわずか6年での受賞ですから。
同時受賞となったガードン博士の業績,高校生物(U)の教科書にも載っているアフリカツメガエルでの核移植クローンの成功が1962年,まるまる半世紀も前ですよ!
※ガードン博士の似顔絵https://twitter.com/mondenakiko/status/255619265946853376

オワンクラゲからGFP(緑色蛍光タンパク質)を発見・単離精製した下村修博士がその後の細胞生物学への応用から大きく科学の発展に貢献したとノーベル化学賞を受賞したのがやはり40年以上経ってのこと。
中空な球状の炭素分子(クラスター)であるフラーレンを発見した3科学者が発見後11年で受賞したのがかなり早い部類に入ると思います。

そしてあまりにも早いと私が面食らった理由は,例年にもまして今年は受賞が有力だとあれだけマスコミが囃していようとも,あまり極端な”順番飛ばし”はないだろうと私が勝手に思い込んでいたからでもあります。今回山中教授が受賞しちゃったものですから,ガードン博士から山中教授までの50年間の一連の研究史に入る業績の研究者は受賞がこれで吹っ飛んだことになりますし,多少流れが違う研究でも同じ発生学関連の研究者が受賞するのはだいぶ後になってしまうだろうということで。

それだけの異例なスピード受賞というのは,
平和賞などでよくありますが
「あなたの活動・業績を支持・賞賛します。
 この賞によってその仕事の素晴らしさが世界にもっと広まり,さらに発展しますように」

というメッセージという意味合いが強いのだと思いました。

理論ならその正しさ,技術であれば社会への貢献・影響といった
評価が定まらないとなかなか賞を与えるのが難しい自然科学系の研究において
胚を使わずに”万能細胞”をつくることができるという
革新性と倫理的問題を超えることができた意義の大きさ
世界中で猛烈な勢いで進められている研究によって医学への応用・貢献は火を見るより明らか,
コッホ賞,ガードナー国際賞,ウルフ賞,ラスカー基礎医学研究賞など
関連の深い賞を総なめ状態という,いわば地ならしが済んだからといえなくもないですが
会見で山中先生自身が言われたように,iPS細胞を使った研究で
難病の人を救うという成果は「まだ何もできていない」段階です。
”見切り”授賞とは違いますが,まだいつでも先に回しても問題はないのに
あえてわずか6年での授賞というのは,
使命に向けて頑張っている山中先生を応援しようという強い意思があったのだと感じました。

iPS細胞を使った研究で難病の人を救う
それもメイドインJAPANの創薬で

会見で山中先生は家族やスタッフへの感謝と並んで国の支援への感謝を
強調していましたが,それはアメリカにも研究所を構え海外の研究者たちと
手を組みながらも,常に日本という国を背負って,研究競争に
負けてはいけないと懸命に走り続けてきた使命感の裏返しですよね。

どれだけiPS細胞の作成技術の発明者として日本や自分の名が歴史に刻まれても
実用化の研究で世界に遅れをとって,開発された医薬や実験試薬・技術の
特許料などの実を外国にとられることになっては本末転倒。
日本は実際にさまざまな技術開発においてそのような経験を重ねてきているのですが
高齢化と経済成長の停滞を迎え,
技術立国として生き残るしかない今後の日本にとって
iPS細胞関連の研究は負けるわけにいかない戦いの1つだと思います。

いやぁ…それにしても山中先生,すごい人物ですね。
ノーベル賞の受賞にも謙虚で感謝を忘れず
かといってこれだけの業績ですから受賞は当然なわけで
その責任を正面から受け止めて,自分の使命に向けて
一層邁進していこうという思いが伝わってきました。
仕事のスケールが大きくて,ノーベル賞といっても本当,通過点という
ことなんでしょうね。

会見では国の支援に感謝の言葉を述べた山中教授。
iPS細胞の研究に手ごたえを得た2003年に行った申請で,
約3億円(5年分)という巨額の研究費を獲得したことが
2006年の快挙となって実を結んだわけですが

ペン教授の「下手な」イラスト、研究進める決め手に(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20121009-OYT1T00771.htm?from=ylist

ここからの実用化,より簡単確実で安全なiPS細胞の製法や
医学・創薬の研究・技術開発となると
さらに巨額の費用と人材を投入し
知的財産を守る体制も確保しながら国際的な競争を戦っていかなければなりません。
それに対する国の支援は決して十分とはいえません。
山中教授自らマラソンで寄付を呼びかけているのが現状なんですから。

ペン援助打ち切り山中教授マラソンで資金稼ぎ(日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20121009-1030024.html
マラソンは山中先生の趣味というか日課みたいなものですから
某長時間テレビ番組でやってる罰ゲーム的タレントのマラソンみたいに
嫌々やってるわけではないでしょうが…

本当にノーベル賞が弾みとなって
研究が発展していけばと心から願います。



大阪教育大学教育学部附属高等学校天王寺校舎時代
神戸大学の入試前日までラグビーの練習してて合格したというくらいの人ですから
凡人がおいそれと目標にできるようなスペックじゃないですけど

ペン中高からの親友・世耕議員が語る山中教授“負けず嫌い伝説” 
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20121010/dms1210101548015-n1.htm

研修医時代,他の人なら20分の手術に2時間かかり,
山中ならぬ「じゃま中」と呼ばれる体たらくに限界を感じ臨床医の道を断念。
3年間の米国留学で研究者への道に光を見出すも
帰国後,設備も時間も満足に与えられない環境に絶望しかけ
環境の整った奈良先端技術大に採用されたことで
「他の人間ならあきらめるような大きな研究を」と”万能細胞”の研究に着手
…という,挫折を乗り越えてきた歩み,その山中先生からのメッセージが
子どもや若者たちに大きな希望を与え,
これをきっかけに科学者を目指した人が未来の大発見を成し遂げる
ということになってほしいですね。

あとは,自然科学系のノーベル賞受賞がない中国や韓国には
「技術立国として財政不安でも研究費を削らない」とうらやまれている日本ですが
まだまだ科学者,研究職が地位ある職業とはいえず
時間や設備などの環境が恵まれている人は多くないのが現状。
初めて理系出身の総理が就任したのが民主党政権で,
その鳩山政権・菅政権で吹き荒れたのが仕分けの嵐って,しゃれにならないですよ
環境をつくる側の人にも頑張ってほしいなぁ…


ペン「研究者を“憧れの職業”に」、ノーベル賞山中伸弥・京都大学教授
2011年秋のインタビューで語った研究への思い(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121008/237791/?rt=nocnt


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このタイミングで10/15発売!
スティーブ・ジョブズ氏の公認伝記を出したときもすごかったけど,講談社やるなー。

本山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
講談社


posted by ドージマ・ダイスケ at 00:19| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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