『ハカセといふ生き物』 http://ameblo.jp/hakasetoiu-ikimono/
単行本の研究,後半であります。
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実験太郎・立花美月 | |
技術評論社 |
●絵柄・構図 メリハリきいてるなぁ…
私がこちらの作者に対して特に妬ましいことの1つが
本職が研究者,つまり自分と同様に絵の素人であるはずなのに
4コマの絵が単調にならないよう各コマ内の人物の大きさやアングルに
メリハリをつけ,背景もしっかりかつ邪魔にならないバランスで
描き込んである(空間で描けている),画的にすごくきちんとした漫画になっているということ。
これ,相当意識しないと,“普通に描いたらこうなった”ってわけには
いかないはずで,自分でその点考えているつもりの私も現実は
背景なし・登場人物皆ほとんどバストアップのみ…orz
(全身描くとポーズで表せる表情の幅が格段に広がって楽しいけど,
格段に難しかったりしんどくなる)
見習いたいと思います。
●主人公・ハカセ≒作者 作中登場人物の中で突出してキャラ化
生命科学博士であるところの主人公・北大路柿生(きたおおじ・かきお)は
他の登場人物たちが概ねオーソドックスな人の顔かたちに描かれて
いるのに対し,原則1人だけ横長の楕円顔に大幅にデフォルメされている。
これは『もうしませんから』『ぼく,オタリーマン』
『僕の小規模な生活』など主人公≒作者の構図をもつ
半実録マンガにおいて多く見られる,
主人公の等身を詰めたり極端にマンガ的な造形にする
(女性作者などでは動物化するケースも見られる)のと同様のスタイルで
これによって主人公の存在が引き立つ効果があるが
どちらかというと作者の照れに由来するものが大きいと思われる。
また,主人公を視覚的にキャラ化することで,ペット的存在,
いじられキャラとして扱いやすくなるという効果も期待できる。
これについて当ブログが
当ブログ漫画の登場人物
まあ現状維持ということで。
あえていえば森野樅男がこれに該当するでしょうか。
(ちなみに彼に関してはちょっと奇遇な1ネタあるのですが,後日ここに追記しようかな)
●お値段:1,659円(本体1580円)
高っ。しかし,この凝りに凝った作り込みよう…これはそのくらいしまっせ。
160ページオールカラーでしょ,論文の表紙のような皮革風
エンボス紙の扉(表紙見返しとは別の紙)でしょ,
カバー裏までこの作品を分析した論文(ポスター発表式)が
印刷されていたりと仕掛けが凝ってますし
冒頭の人物紹介(材料と方法)だけでカラー6ページ,
ところどころ挿入される学術ピエロのキーワード1ページ解説…
編集的にもかなり手間がかかってます。
こんな本を出せる機会というのはプロでもなかなか恵まれない,
本当に羨まれる話。
GOサインの出る出版社とご縁があったということですし
(ふだんコミックスを出していない社のほうが自由度が効くのかもしれませんね),
それだけ愛される要素,ポテンシャルを持った作品ということですよね。
買う側の心理からいうと…私の場合,性分がケチなんで
本を買うときもかなりコストパフォーマンス(情報量,絵の資料などと
してのお役立ち度など)を意識するのですが,
基本,人として,お金を出すときって,「好き」なものには
ポンと出すってことありますよね。
私の本棚にも千円の本,2千円の本とかありますけど,
同じ値段の本でも「好き」で買った本はやっぱ,あまり悩まず買ってます。
『へうげもの』で織田信長が「貢ぐ対象がみすぼらしくて誰が喜ぶのだ」
という場面がありましたけど,これだけいいつくりの本だと
買った人も嬉しいというか,大事にしたくなるってものですね。
私はマンガを1本1本色つきで描く時点で相当しんどいので
もう少しお金のかからない本を目指します(;^_^)。
…と,これが締めじゃなんなんで
えー,面白かったです。「webにつづく」ってことで
ブログのほうも(同じランキングに登録されてたりして存在は存じておりましたが)
これからもっと拝読します。頑張ってください(^o^)ノ
ピペットマンとか(表紙に出てますね),キムワイプとか
試験管を押しつけるとグリグリ攪拌してくれるやつとか
ガッチャンガッチャン揺れて大腸菌を増やす恒温器とか
いろいろ研究器具をネタにしてもらったらうれしいかな。
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