2011年10月01日

これはお宝!「恐竜博2011公式カタログ」

東京・上野の国立科学博物館で7月2日から開催されておりました
恐竜博2011は,明日まで!

イベント国立科学博物館:特別展 恐竜博2011

演劇asahi.com 恐竜博2011

演劇恐竜博2011公式ツイッター @dino_expo2011
http://twitter.com/#!/dino_expo2011

というタイミングで紹介するのはあまりにも遅すぎるわけなんですが,
とりあえず言っておきたいというわけで

111001 恐竜博カタログ.jpg
恐竜博2011の公式カタログは
写真も解説も超充実!
はっきり言って,お宝!

わーい(嬉しい顔)いやー,オールカラー160ページ,
ずっしり紙質的にも
読み応え的にも満足のボリューム。
今どき2000円でこれだけの本はなかなか手に入りませんよ。

ふくろやっぱりイベントの解説本ということで
スポンサー(朝日新聞,TBS)がついていることと
書店配本に要するコストがかからない(書店と問屋のマージンは
2〜3割)からでしょうか。
折り込みページもあったりしてロットが大きくても少なくても
あまり単価に影響しなさそうな気もしますしね。

グッズ販売コーナーでは子ども連れのお父さんが
「高いよ」って言ってるのが聞こえましたが
(このシーンはべつやくれい先生の絵サンプルで雰囲気を想像していただけると幸いです)
いやこれほんとお買い得っすよ。
そもそももっと高いグッズばっかだし。
ミニフィギュアのガチャポンが300円すよ
(お目当ての恐竜が出ないとけっこうくやしいのか数揃えたいのか
 複数買う子や大人ほんと多い)

ただ,内容が充実してるもんで逆に中学生以下の子とか
大人でもビジュアル的に恐竜の化石すげーというレベルで
観に来ている人には,アンキオルニスだのカンパニアン期だの
ラーガシュテッテンだの初めて見るような用語が満載の
解説書なんて見てもしょうがない,知らねーよって話にはなるかもしれません(;^_^)

犬ですが,私も恐竜には特にくわしいわけではなくて
映画『ジュラシック・パーク』に出てきた(ヴェロキ)ラプター以降
ここ10年くらいざくざく現れた新種の恐竜たちや
新しい知見についてはちんぷんかんぷんでしたが,
今回の恐竜博は
「新しい説が毎月のように提唱されて把握しきれない」とか,
「すぐにまた親切に塗り替えられるのだろうと思うと
何を信じていいのかと迷う」という声を多く耳にする。
恐竜展に足を運んでも新種の恐竜や,知らない恐竜ばかりで
わかりにくいという人もいる。そんな声に応えて,
ティラノサウルス,トリケラトプス,アロサウルスなど
おなじみの有名な恐竜で,恐竜学の基本の「き」を改めて
確認してみることにした(プロローグより)


手(チョキ)ということで,
1940年に描かれピューリッツァ賞も受賞した
米イェール大学ピーボディ自然史博物館の大壁画を起点として
当時の知見から三畳紀・ジュラ紀・白亜紀の
恐竜をはじめとする生物たちに関する研究がどのように発展し
今はどのようなことまでが明らかになってきたかを
明らかにしてくれるわけなんですね。

目自分的には,そもそも恐竜とは何かということから
解説してくれているのが非常に興味深く,楽しい。
今,分類の大原則として単系統主義といいますか,
鳥類は爬虫類の一部が進化したものという考え方からいうと
脊椎動物を分類する際に鳥類と爬虫類を分ける(鳥類を除いた「爬虫類」
という分類群を設ける)のはおかしいってことになるんですよね。
で,形態や生理などより分子進化の点から分類・系統を調べるのが
正統となってきている今,まさに鳥類と爬虫類にかかわる恐竜の
進化・分類についての根本的な話ってのは
きちんと説明してくれると本当にありがたい情報なわけなんですよね。

ひらめきで,このカタログで解説されている恐竜の定義は,
「トリケラトプスとスズメと,彼らの直近の共通祖先とそのすべての子孫」
(p21-22)だそうで,これが系統仮説が変わっても修正の必要がない安定した定義として
最も広く採用されているものなのだそうです。
そしてカメやトカゲ・ヘビ,サルトポスクス(ワニを含む)といった
現生の爬虫類を含めた進化・分岐の流れやそれぞれの特徴
(頭骨に違いがある)も説明されていてすごく得心がいきました。


かわいい恐竜博のメインとしては2大恐竜
ティラノサウルスとトリケラトプスの骨格展示について

ティラノサウルスはうつぶせで獲物を待ち伏せていたのではないか

トリケラトプスは,爬虫類のように足を左右に突きだしたはい歩き型
 哺乳類のように足を真下に突き出した直立型が考えられてきたが
 実は「前へならえ」のように手(前肢)の甲を前方ではなく外側に向けた形で
 立っていたのではないか


という最新の知見で組まれた初の展示が売り物で,さらに
ティラノサウルスの体表には羽毛が生えていた
ティラノサウルスの小さな前肢は,立ち上がるときに役立っていた
などという新説についてもCG動画などで解説されていましたが
これらについて,カタログに書かれている解説を読むと
また自分なりの考えが湧いてきたりして楽しいんですよ。

トリケラトプスの立ち方,足跡化石と合う形を考えれば
手の甲を外側に向けた形はごく自然の結論なのに,手の甲(中心の指)を
前に向けるのが当たり前という先入観に邪魔されていた。
よく考えればアシカや枝の上を歩くサルなど現生にもいるではないか。

しかし肘を後方に向け,しっかりと地面を蹴ることができるのであろうか

(p114-118)
なんてありますけど,この形,角で前方に向かって突くには
すごくしっくりくるよなと思ったり,

ティラノサウルスの退化した前肢(手も腕の大きさも私と同じくらいでした)
の役割について色々考察されてる(p96)けど,
使わないから退化してるのであって
小さいなりの役割なんて考えなくていいんじゃない?
ティラノサウルス類は特に鳥類に近いカテゴリーの恐竜ということだし
鳥がしゃがんで立ち上がるのに手を使わないでしょう。

なんて思ったり。

ペンまた,最近「トリケラトプスはいなかった」という見出しのニュースが
ネットを駆けめぐり,恐竜ファンの多い日本人にショックを与えましたが
これはトリケラトプスと別種とされていたトロサウルスがトリケラトプスの
老成した姿だと判明したというもの。トロサウルスのほうが先に登録されたので
トリケラトプスが種名として消滅してしまうという話だったのです
(その後,メジャーなトリケラトプスのほうを残すという話も流れました)が
その問題についてもこのカタログでは既に言及されていました。(p112)

トロサウルスには成体の化石しか出ていない
トロサウルスの特徴はフリルの骨に穴があることだが
トリケラトプスの成体の化石は成長につれてその部分が薄くなっていく
などの理由から同種ではないかという説が2010年に発表された。
しかしフリルの縁に並ぶ骨の数が大きく異なるなど
無理があるという意見もある。いずれにしても
両種が同一の種であるとする説が広く認められるようになるには
より多くの状況証拠が必要となるであろう

(このページに載っているトリケラトプスの成長に伴う
 頭骨の変化の写真5点がまた興味深く楽しい)


ひらめきほかにも,
剣竜類(ステゴサウルス)などのプレートとスパイク
始祖鳥命名150周年・標本一挙公開
羽毛の翼をもった小形恐竜たち
恐竜の色が再現できる証拠が見つかった
恐竜の呼吸(鳥類の肺は伸縮しない)
恐竜の子育て
恐竜の糞から見たイネ科植物の進化

など,実物(やレプリカ)を見て感じて得られるものも大きいですが
解説を読んで改めてその意味がわかるのも楽しいですし,
きれいな写真で逆に細かいところまで見られる面もありますし。
本当にいいですね。
今日明日のうちにぜひお買い求めになることお薦めです!

イベント入場者数は先週50万人突破したということなので,
最終的に55万人超えくらいかなぁー。
家族連れとかが多いので,20組に1組がこのカタログを買ったとしても
売上1万部くらい?超レアですよねー。

手(パー)いやマジ閉幕して余ったら僕にくれないかしら。
もし廃棄するなら段ボール2箱くらい引き取りますよなんて(ナイナイ)。
行けなかった人,買いそびれた人のために
朝日新聞の販売店でバックナンバー注文販売してくれるといいですけどね。


手(グー)最後に,ネガティブな話といいますか単なるいいがかりなんですけど
このカタログを読んでちょっと違和感を感じたこと。
中国産の恐竜について,名称がインロング(隠龍),
ティアニュロング(天宇龍),シャンガンロング
と表記されてますけど,烏龍茶をウーロング茶と呼ぶみたいで
ちょっと居心地わるい(;^_^)
九龍山層(p61)はジョウロンシャンとルビを振ってるんですから
インロン,ティアニュロン,シャンガンロンのほうが
しっくりくると思うんですけどねぇ。


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ほんとのおおきさ恐竜博
学研教育出版 (2010/07) 大型本: 47ページ
→Amazon
posted by ドージマ・ダイスケ at 13:26| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【おすすめ本】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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