2010年10月09日

まったく絵が描けなくてもマンガが「ポッ!」と作れちゃう?!

今週の半ば頃,ツイッター上でちょっとした話題となった
「コミPo!」
これは「コミックシーケンサー」という新しいジャンルの
マンガ作成ツールで,全く絵が描けない人でも
マンガが描けてしまう?!
というのが売りだそうです。
その話題となったきっかけというか話題の直接の対象が,
(開発途中のものですが)そのソフトのデモ動画。


コミPo解説サイト
http://comipo.jp/

これを漫画家の田中圭一先生が企画・制作総指揮で
作られたということで驚きましたが,
そういや,「まったく絵を描かなくても
マンガが作れちゃう?!」と題して講演をするって
先日告知されてましたね。
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-2ba3.html
そのときの話題がこれのことだったというわけですか。

手塚治虫先生ふうの画風でエロ下品ギャグ漫画を描く
という強烈な個性とともに会社員との兼業漫画家としても知られる
田中圭一先生,そのもう1つの職場がこういうソフトの開発も
しているということなんですね。

このデモ動画を見て思ったのは,
確かにすごく簡単に1コマ,1ページが作成されてますが
これは本当に熟達した人が操作しているから速いのであって
いくら直接作画の作業を必要としないといっても,
まったく絵が描けない人がこれでマンガが作れるってのは
まあ無理でしょう。
ただ,背景が壊滅的に苦手な私としては,学校シーンの
背景を3D素材から自由に作れるのは魅力的だなぁ…
一応既存のソフトにもある機能だったと思いますけどね(;^_^)。

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以下,余談です。
(これがまた例によって長いです…)

で,このソフト(の動画)がツイッター上で話題になったとき
プロの漫画家先生の1人が「これは漫画作成における
初音ミクだというのは,ちょっと違う」
とツイートされていて,
その時はなんでそんな言わずもがなのことをわざわざツイートするのか疑問で,
筋は違うけれど初音ミクを3Dで自由に動かせる自作のCGソフトを
公開された人がいて,それを使って自作の初音ミクアニメをUpする
人が大量に出た,ということはありますけどね,と言いたくなったんですけど
これ,「たけくまメモ」で
「最初にデモを見たとき、多くの人が思うと思いますが、
「これはマンガ制作版の初音ミクだ」というものでした。」

と竹熊健太郎さんが書かれていたことに対する感想・意見だったんですね。

そりゃあ…たしかに「初音ミク」以後,元素人を含めたアマチュアの
音楽家の人たちが大量に自作の楽曲をネットで公開するようになって,
プロのように多くの支持を集める,話題をさらう,CDデビューしちゃう
結果を獲得する人が次々現れ,プロとアマチュアの間の境界が急速に
あいまいになってきたという現象はありますから,それと同様の現象が
期待できるという意味では初音ミクと似たようなところはありますけど
これを使ってやることという意味では,相当違うものがありますよね。

ソフトとしての「初音ミク」はあくまで(人の歌声を含めた)楽器であって,
それを使う人は,作詞・作曲・編曲を(1人でなくてもいいですが)
自分でやらなければならない。
それを漫画におきかえるならば,相当するのはこの「コミPo!」では
なくて既存の「Comic Studio」や「COMICWORKS」といった
漫画ソフトになるはずです。
だって「初音ミク」は,「まったく作詞・作曲・演奏しなくても
ポッ!とオリジナル楽曲が作れちゃう!」ソフトではないですから。

で,背景はともかく(プロの漫画家でも本人ではなくアシスタント
が描く・処理している場合が多い),メインの登場人物の絵は
作者の個性そのものですから,それまでできあいの素材を使って
作るとなれば,確かに漫画を作ることはできますけど,
その人の作品といえるのか(見た人が感じるか)は
大きく疑問に感じちゃうなぁ…

竹熊さんは,漫画作成の工程を内容と作画に分けて,
作画の部分を音楽作品における演奏に相当するものと
位置づけておられるわけですね。
「初音ミク」は「歌ってくれる女の子がいなくても
自分の作った曲が女の子の歌声で音になる」ソフト
「コミPo!」は「絵を描いてくれる人がいなくても
自分の考えたストーリーを絵にしてくれる」ソフト
ということか…
「漫画をつくる=自分で描く」行為だと考えている私からすれば
意識・位置づけをずらさないとぴんとこない話ですが
企画・原作の立場で漫画作成の仕事に数多く携わってこられた
竹熊さんとしては作画のウエイトは相当小さいということなんでしょうね。
音楽における演奏・歌唱のウエイトが大きいということか?

それはそれで納得ですが,
> 田中さんはあくまでアマチュアや一般的なマンガファンが使うことを前提に考えられていますが、俺としては、これはプロの使用にも耐えるソフトになると思いました。
これは正直,「え?」という疑問を禁じ得ませんでした。

> プロが使う場合、絵柄は当然自作のキャラクターになりますが、たとえばオーダーメイドによるキャラや背景の3Dデータを提供する会社が現れればよいわけです。
これはアニメ制作におけるキャラデザの工程にあたるわけか…
そういう意味では理に適っているとはいえますね。
ただ,たしかに理屈では絵が描けなくてもアニメ監督になれますけど
実際にはアニメ監督の最大の仕事は絵コンテ描きだったりするわけで
ラクガキ・描き殴りレベルの絵コンテでもいいかもしれませんし
絵コンテ使わない方法もあるかもしれませんが,絵が描けなきゃ
映像・画像コンテンツを作るの相当厳しいとは思います。

> あるいはコミックシーケンサーが普及すれば、これ用の3Dデータを作成する職人が多数出るでしょうから、そうした人をアシスタントに雇って、自作マンガを制作するマンガ家も現れることでしょう。
それだったら別に「コミPo」使わなくても,既にやってるプロの方いると思うんですけど…。

プロが使える,これを使ったプロが現れるという想定に
違和感を感じるのが,なんか余計に外注やアシスタントを
使う必要が出てきて本末転倒なんじゃないかということ。
だったら絵を描けない人が自分で無理に作ろうとしないで
普通に漫画の原作を書いて作画は描ける人に任せたほうが
いいんじゃないかと…。

まあこれが発売されて3,4年後,使いこなす人が
現れるようになったら(絵の描けない人ではなく,自分の構想した
イメージに合った絵が描けないだけでセンスはある人だと思いますが)
現時点では現実性が薄いと思われるような
創作の手法が実用性ありとなるのかもしれませんね。

また,ベテラン漫画家先生の最近の作品に対して,なにかと
「自分で描いていない(アシスタントに描かせている)」と
言う人いるでしょ。(で,たいていその指摘は間違っている)
上に転記した竹熊さんの構想では主人公の絵を描かない人を
「自作マンガを制作するマンガ家」と呼んでいて
この2つは一見逆の見方のようで,漫画を自分で描いている人,
漫画を描くのが好きな人を軽く見ているように感じられる
という点で,ちょっと嫌なんですよね…
「コミPo!」で漫画を作成する作業は,漫画家じゃなくて
原作者あるいはプロデューサーに相当する作業でしょと言いたい。
アニメに例えると…あれ?監督がアニメーターの作業も兼ねるようなものか。

でもなんか変ですよね?

この話題については
色々な考えを持つ方が多いと思いますし,
私自身もこのような支離滅裂的・整理途上な考えなわけで
もう少し色々と考えてみたいと思います
…ていうか,考えている暇があったら自分の漫画描けよって話ですが。

ComicStudioEX 4.0
セルシス
COMICWORKS Max Ver2 For Windows
エスイー


つまるところ,「コミPo!」って要は用意されている素材を
組み合わせて作品を作るわけですから,コラージュの1つの形態といえますよね。
それでできあがるものは,どんなに見た目や物語の内容が立派でも
もとの素材のパロディという側面を含むことになる。
おそらくこのソフトを企画・制作総指揮された田中圭一先生が
自らを「最低シモネタお下劣パロディ漫画家」と自称されるように
自分の作品も「手塚先生の絵を切り取って,オリジナルの手塚作品では
絶対言わないセリフ・やらない行動をさせるパロディ作品にすぎない」
と考えていて,いわば雑誌の読者投稿コーナーによくある連載作品の
コマを切り取ってセリフを書き替えたりコマを並べ替えたパロディの
延長のようなものだと,だから逆に他の人が高度なパロディを作るなら
それでもれっきとした漫画作品なんだと考えてこのソフトを作られたのかな
と思ってしまったのでした。




Comicサイテー―田中圭一マガジン (BUNKASHA COMICS)
田中 圭一/ぶんか社

マンガ家田中K一がゆく!
田中 圭一/角川書店(角川グループパブリッシング)

サラリーマン田中K一がゆく!
田中 圭一/角川グループパブリッシング

posted by ドージマ・ダイスケ at 23:35| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ド素人日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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