多くの人が新しいスタートを迎えたと思います。
皆さん,頑張っていきましょう!
さて,今回は生物ニュースを。
今年はクロマグロを絶滅危惧種に指定して漁や取引を規制しようとする
欧州諸国の働きかけがワシントン条約締約国会議で起こり,
(大西洋・地中海において畜養目的も含め禁止,沿岸国の漁・消費はOKという
ワシントン条約の意味からいって全く理屈の通らない提案でした)
結局大差で否決されたものの世界最大のマグロ消費国である日本には
天然資源保護・自然環境保護の課題が突きつけられた形になりました。
そのクロマグロ,「近大マグロ」が知られているように実は既に
完全養殖の技術が成立しているわけですが,これに続いて
ウナギでも…天然資源の保護につながる朗報といえるでしょう。

ウナギを親まで成長させて、子世代、孫世代の稚魚を誕生させる「完全養殖」に世界で初めて成功したと独立行政法人・水産総合研究センターが8日発表した。
これまでウナギの養殖は、天然の稚魚を捕獲して育てる方法しかなかったが、今回、完全養殖に成功したことで、かば焼きなどに用いられるウナギの安定供給に道を開くと期待される。
ウナギの養殖は,育てる稚魚を入手するために
海に出て野生の稚魚=シラスウナギを網ですくって捕まえてこなければ
ならないというのが長年の常識というか,課題だったわけですよね。
養殖業者にとってはシラスウナギを仕入れないと全く商売にならないわけで
その年が不漁だとシラスウナギの相場が高騰して養殖業者が困ったり
(1キロ=数千匹で百万円を超えたときもあったとか。
1匹何分の1グラムかの稚魚を仕入れた段階で,
それが全部育ったとしても原価数百円…?!ノ(;゚Д゚)\)
夏のウナギの値段に影響があるとか,
中国産のウナギは欧州産のアンギラ種(日本国産のウナギより太短い)
を使っているので中国のウナギ養殖の増加はヨーロッパの資源に影響を
与えるとかいろいろ問題があったわけです。
あと,何もいないところから生命が生まれるという
自然発生説の例として
「汚れたシャツと麦を箱の中に入れておいたらハツカネズミが生まれる」
と並んで有名なのが
「ウナギは泥の中から(自然に)生まれてくる」
とアリストテレスが言ったってやつ。
自然発生説は紀元前4世紀の彼の時代から17世紀に入るまで
誰も検証せず疑いもしなかった(少なくとも欧州文化の歴史に残る範囲では)
わけですが,アリストテレスはウナギを解剖して
卵巣も精巣も見つからなかったために親からじゃなくて
泥から生まれるんだろうと推測したそうですから
単純に昔の人がバカだったと考えるのは早計ではないでしょうか。
(でも16世紀のヨーロッパはある意味古代ギリシャより知的レベルが低…おいおい)
さておき,そういう話があったもので,ウナギについては
完全養殖(養殖した個体からとった卵と精子をもとに成魚まで育てる)
以前に,そもそも野生の個体から卵や精子をとるのが難しいんじゃないかと
思っていたので,今回のニュースには,そりゃすごい話だと思ったものでした。
これまでは卵や精子を入手して養殖を行うことは可能で
卵や精子をつくるまで成長させることまで至らなかったそうですね。
今回の成果は,特殊な餌で稚魚を育てた後,ホルモン注射で
卵や精子をつくるまで成熟させることに成功したとのこと。
それにしてもこの技術が商業的に確立されると
かつて漁の季節(冬〜春先)には漁師だけでなく
にわか漁師の素人も参入して盛り上がったという
シラスウナギ漁は産業としては壊滅的打撃を受けるでしょうね。
(既に中国産ウナギの輸入増加によって相場は相当下落してるようですが)
“野生の稚魚”を育てた養殖ウナギにプレミアムがつくかどうかですね。
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