2010年01月11日

『マンガノゲンバ』水木しげるSP前半

昨夜の『マンガノゲンバ』,
『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画界の大御所,水木しげる先生特集の
前後編前編でした。
ちょうど昨日読んだ本『ぐっとくる題名』の一番最初に
紹介されていた「ぐっとくる」タイトルが『ゲゲゲの鬼太郎』で
この番組内でその命名由来が先生の口から
明らかにされたものでしたから
まさに奇遇,絶妙のタイミングで楽しく見ることができました。

28歳で貸本マンガデビュー,
38歳で結婚
現在88歳現役,漫画家人生60年&金婚式。

番組は府中の「鬼太郎茶屋」で収録。
ゲストはここに家族で10年通っているという松本明子さん,
もう番組準レギュラーの心理学者・名越康文さん。

水木先生の仕事場にMC天野氏が突撃インタビュー。
一歩中に入ると鬼太郎や妖怪のグッズ等で
埋め尽くされた仕事場で奥から現れた水木先生,
「これもそうだけど,その奥には金がギッシリ…」と
いきなりスマッシュギャグ。(天野氏が欲深そうに見えた?)

−『鬼太郎』を描いたきっかけは?
「きっかけなんてない。自然に出てきた」

−描くにあたって,どのように読者を意識しましたか?
「読者なんてそんなもの私にはいないから,
 自分が好きで,好きなように描いた」


※21世紀になって「萌キャラ化」「妖怪と戦わない」アニメシリーズが始まる一方,原点である『墓場鬼太郎』も昨年アニメ化。
貸本時代の鬼太郎は『墓場の鬼太郎』のタイトルでホラーテイスト。
鬼太郎は幽霊が墓場で産みだした赤ん坊で
父親は腐乱死体から我が子を守るため目玉だけになって生き残った。
男に拾われて6年間育てられたが,毎夜家を抜け出す
鬼太郎をつけていった男は,墓場で鬼太郎が姿を消した穴から
地獄に引きずり込まれてしまう。鬼太郎はこの世と地獄を
自由に行き来できる存在なのだった。

育ての親を失った鬼太郎は目玉おやじとともに放浪…
チンピラに騙されて人の金をとろうとしたり
空き家で幽霊たちと遊んだり,追い出そうとした家主を殺したり…
顔からして恨みや僻み憎しみのこもった
「ゲゲゲの鬼太郎」のベビーフェイス(善玉)ぶりとは
天地の差がある,そんなスタートであった。


名越「貸本って紙芝居にルーツがあるんですよ。
 紙芝居は「つづきはまたのお楽しみ」って,次にも
 また見てもらえるために怖い結末にすることが多いんです。
 ハッピーエンドだと見る側の気持ちがゆるんじゃう。
 だから日本の漫画の原点はホラーにあるのかもしれないですね」

−なぜ今のような形に?(89年放送「ETV8」インタビュー)
「貸本は1冊で完結だからすべて自分の責任だけど
 雑誌(少年マガジン)連載になって,編集者から
 格闘の要素を入れるように言われて。これは困った…」

−「ゲゲゲの鬼太郎」のゲゲゲって,何ですか?
私がね,ゲゲって呼ばれてたの。あだ名で。
 しげるので」

−たくさん登場するキャラクターの中で一番好きなのは?
「全部好きだよ。…あ,あれだ。ねずみ男」
−やっぱり!俺も好きなんですよ人間くさくて。
 そうですよね,むしろねずみ男のほうが話を進めていて
(話の中心にいて),鬼太郎が正義の味方で妖怪を倒すという…。

「鬼太郎はね,いわばバカですよ。
 正義の味方なんてね,バカバカしいことやって」

天野「意外な展開でしょ?作者自身が主人公をバカ呼ばわり。
  むしろねずみ男のほうがバカといわれなきゃいけないようなとこなのに」
名越「戦争を体験されているから…自分たちが正義だと信じて
  戦地に行って腕まで失って,戦争が終わったら正義が
  すべてひっくり返ってしまった。そういう経験が根底にあるからじゃないでしょうか。
  それに,完全否定じゃないと思うんですよ。正義と悪は
  いつでも反転しうる」


私が思ったのは,自分の分身として好き放題,
自由に欲望のままに動くキャラに愛着をもってるんだなと感じました。
最近になってソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)などの
言葉や概念が一般にも広まってきて,個人や組織のメセナ社会貢献というのは
自己犠牲や一方的献身ではなく,自分もきちんと利益や満足を
得てこそきちんと継続していくものだ,
同情や義務感にとりつかれたように頑張りすぎて疲れ果てたり
企業がお金の余裕がないからやめますというものではない という認識が
持たれるようになってきましたけど,

水木先生は,半世紀も前から
自分にとって何の得にもならない正義の味方なんてナンセンスだと
見透かしていたんですね。

(見る側からすれば妖怪は死なないしお金もいらないんだから
 強い鬼太郎が弱い人間を守ってくれてもいいだろうと
 思っちゃうんですが,なんで妖怪が自分に危害を加えている
 わけでもない妖怪をわざわざ退治しなきゃいけないんだって話ですよね)

だから描き始めた頃の『墓場の鬼太郎』は自然とわき上がるように
好き放題描いた,子どもに売れるパターンに切り換えて描いた
『ゲゲゲの鬼太郎』では卑怯でせこいねずみ男が好き
ということなんだと思います。

また,読者を意識するより自分が描きたいように描けばいい,
キャラが自由に動けるようにもっていけば
楽しくスムーズに描くことができるという主旨のことも言われていて
勉強になりました。
プロですから見せるため読ませるための工夫・計算は当然されていると
思いますけど(自分も作品を読者の目で見るでしょうし)
キャラの世界を大事にすればおのずと話は進んでいく
考えに詰まったときには
そういう視点でも考え直していきたいと思います。

来週は水木しげるSP後編,「河童の三平」など
鬼太郎以外の代表作,隠れた名作短編などを
取り上げていくそうです。

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posted by ドージマ・ダイスケ at 15:19| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ド素人日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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