2009年11月29日

news◇「怠け者」アリは組織維持に必要?!

11月ももう残すところ今日明日の2日間。
私,今月の初めにはおそろしく寒い日が続いて風邪をひき
後半に入るとけっこう穏やかな日が多くて体調も持ち直し。
早いもので今年ももうすぐ残り1か月ってところですねぇ。
みなさんいかがお過ごしでしょうか?

さて,今回紹介するニュースは,アリの社会に関するこちら。

ペン存在重要「怠けアリ」…「働きアリ」だけだと集団破滅 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
働きアリを「よく働くアリ」「ほとんど働かないアリ」に分けて、それぞれの集団(コロニー)を作り直しても、一定の割合で「働き者」「怠け者」に分かれることが北海道大学の長谷川英祐(えいすけ)准教授(進化生物学)らの研究でわかった。
 誰も働かなくなる時間を減らし、安定した労働力を保つ集団維持の戦略と見られる。茨城県つくば市で開かれている日本動物行動学会で28日発表された。
 長谷川さんらは、日本全国にいる「シワクシケアリ」の八つの集団に、1匹ずつ印をつけて幼虫の世話、巣の修復など集団に貢献する「仕事」をどのくらいこなしたか、1か月間行動を観察。そのうち「よく働くアリ」「ほとんど働かないアリ」を取り出して、それぞれの集団を作り直した。その結果、どちらも元の集団同様「よく働くアリ」「ほとんど働かないアリ」に、ほぼ同じ割合で分かれた。
 働きアリも疲れて休息するが、「働かないアリ」がいるほうが、集団全体で「誰も仕事をしなくなる時間」が減ることがコンピューターの模擬実験でわかった。長谷川さんは「幼虫や卵の世話は少しでも中断すると集団全体の死につながる。そのため、わざわざ働き方に差がでるような仕組みをとっているのではないか」と話している。


ビル人間の世界ではよく「どんな組織でも2割は優秀・6割は普通
・2割はダメ」
(「だから組織改革をするにはまず上の2割を伸ばして…」
とか,あるいは「6割を動かすには…」云々といった話が続きます)
「入試で成績上位の者だけ選抜されて合格してるのに
(トップクラスの人数は少なく,合格ギリギリ圏の人数は多い)
入学してみると,やがて平均レベルをピークに上位と下位が少しずつの
正規分布に分かれていく」

などと言われます。

犬しかし精鋭だけのチームやダメ人間ばかりの腐った組織は
存在しないのかと考えてみると,そんな例はいくらでもあるような気が…。
その個々の集まりの中で相対的に見ればあてはまるんでしょうけど
それはそれで意味があるのかどうか疑問。
まあ,その文を読んだ人が自分の所属する集団をよくしたいと思ったときに
少しでもとっかかりというか希望が持てるような方便として考えれば
大きな意味が…

なんて書いてしまうと身もフタもないですが,
長時間労働・ワーカホリック仕事人間の集まりとして
かつて日本の労働者がたとえられた「働きバチ」「働きアリ」
ですが,実はどちらも,1日中ほとんど労働らしきことを
何もしない“怠け者”が集団構成員の1〜2割くらいいる
というのが
定説となっています。
それには今回の発表をされた北大の長谷川英祐准教授が2003年,
助手時代に発表した研究成果も大きな存在となっています。

ペン日本動物行動学会NEWSLETTER No.43(2004.1.1) p21より
※ここでは,カドフシアリの集団でコロニーから「働き者」「怠け者」をそれぞれ取り除いて調べたところ,働かないものは働かないままであり,働き者を失ったコロニーで不足する労働を補ったのは次に働いていた個体だった としています。

ゲームTHE FLINTSTONE:働かない「働きアリ」!?
(千葉のFMラジオ局Bay FM 78MHzで毎週日曜放送中の
 ネイチャー・プログラム「ザ・フリントストーン」より)
> 1匹1匹に個体を識別できるようにマークをつけてですね、
> ずっと長い時間観察するという方法を使って見つけました。
> 1日3時間位,トータルで6ヶ月くらい観察を(笑)


猫今回はシワクシケアリで分離実験を行い,「働き者」だけにしたグループも「怠け者」だけにしたグループもやはり両者が混在する集団に移行していくという結果になったとのこと。
それはいいんですけど,気になったのは,
コンピュータシミュレーションで,個体ごとの労働時間(“実働率”とでもいったほうがいいのかな?)に違いがあったほうが集団全体で「誰も仕事をしなくなる時間」が減るという話。

射手座以前,「ホッケ柱」の話題で,
有名なボイズのルール(@同じ方向へ進む A互いにぶつからない 
B群れの中心を目指す)に
Cエサに向かう D食べたら下に沈んでいく の2つを追加したルールで
個々の魚を動かすとあのような柱状の集団が再現できることが
わかったことを紹介しましたけど,
圧巻!ホッケ柱〜NHK『ワンダー×ワンダー』(2009年09月05日)
「コンピュータシミュレーションでこんなことがわかった」
って聞くと,その結論もさることながら,
どんな条件設定によって導かれたのかということにも興味がわきますね。

ビル長谷川英祐准教授のページ:
長谷川英祐(博士(理学))の研究テーマ・自己紹介

変わった人を標榜している感のある自己紹介ですが,
研究テーマといい文章のセンスといい,一般の人にも読める
面白い本が書けそうな感じがします。
訳書や共著などはあるもののまだ著作はないようですが
どこかの出版社で出すって話はないんでしょうかね?


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  _  本働きアリの2割はサボっている_ 
―身近な生き物たちのサイエンス

稲垣 栄洋
家の光協会 (2008/10)

→Amazon
ラベル:働きアリ
posted by ドージマ・ダイスケ at 15:27| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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