2009年04月25日

生物受験参考書の最高峰登場!『大森徹の最強講義117講生物I・II』

【bookな?日曜日】
木原アイコンnika_s
「授業の予習復習から大学受験まで」カバーする高校生物の参考書は数研出版の『チャート式新生物』(「I」と「II」2分冊)と文英堂『理解しやすい生物』(「I」単冊と「I・II」合冊版)があるが,化学に三省堂『新研究』があるのに対し,生物には大学受験二次試験にバリバリ対応の最高水準の参考書というものがなかった。少し昔までは文英堂『解明新生物(ウィナー生物)』とかあったんだけど,ここんとこ受験対策に特化した本としては『田部眞哉の生物 生物I合格39講』『生物II合格33講』が“現状で最高水準”という状況だったんだよな。


しかし,今月,大森徹先生がこれからの生物参考書のフラッグシップになるような本を出してきた。

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本大森徹の最強講義117講生物1・2 (シグマベスト)
大森 徹
/文英堂(2009/04) 736ページ 2,499円(2380円+税)
→Amazon  →bk1

※大学受験に必要な内容をすべて網羅。各講は1回60分程度の生授業のように構成。重要な用語や内容は色文字や太文字で目立たせ、わかりやすく表示。各単元の最後に、「最強ポイント」として、そこまでの重要ポイントをまとめて掲載。計算問題や論述問題については、どのような点に注意するのか、また書くべきポイントは何かなど、試験の得点に直結する解き方をわかりやすく掲載。

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辞書的に使う人がほとんどで,前から全部読んでやろうなんて人はそういないであろう化学の『新研究』をイメージすると,それはちょっと違うんだけどな。
この『最強講義117講』は,その名の通り,講義の語り口調で高校生物の範囲を一から順番に解説してくれる。700ページ以上あるから一度に読むのはかなり無謀だし消化しきれないだろうけど,週に3講ずつ進めていくペースなら39週,10か月足らずでマスターできる計算で,受験勉強期間に全部読める,こなせる質と量を前提に書かれた本ということだ。
見た目も,参考書としては細かい字がびっしりという感じではないし,重要語句が大きな赤字になっているので,易しめの本かと思うくらいだ。だいたい,易しい本は薄く・すき間が多く・色数が多くなって,難しい本は分厚く・細かく・地味ってのがセオリーなわけだが,2色使ってきたことで,最高到達点は高くしつつも間口の広い本になっている。

美加理アイコン(hmu)s

でも扱っている内容を見てみると,まさに大学二次試験ターゲットの本ですね。
生殖のところで再生や哺乳類の発生に1講ずつ割いてますし,遺伝のところでも細胞質遺伝・遅滞遺伝・限性遺伝はもちろんのこと,入試問題の解説なんかではけっこう常識みたいに出てくるライオニゼーション(p.311)なんかも丁寧に説明されていて,なるほどと思いました。

木原アイコンnika_s

そう!入試対策として競争阻害やアロステリック酵素,C4植物やCAM植物あたりはもちろんのこと,エマーソン効果にモルフォゲン,クローン選択説や共進化,赤芽細胞症なんかもしっかり出てきてなぁ…いいよこれ。

樅男アイコンs

ボンベイ型(p470=ボンベイブラッド)なんて,漫画でしか読んだことねーよ。


涼アイコン(niko)s

分類のところでカイロウドウケツやホッスガイ(海綿動物),ウミサボテン(刺胞動物)やヒモムシ(ヒモ形動物),ボネリア(環形動物)の図が入ってる参考書なんて,初めて見ました!


木原アイコンnika_s

各講で読み物・コラム的に入っている「+αパワーアップ」も含めればニューコープセンター,岡崎フラグメント,アミノアシルtRNA合成酵素,近縁度ドーキンスのゲーム理論,スノーボールアース仮説とか扱っていて,大学生にもお薦めできるくらいの参考書だ(大学になると2500円なんて安いほうだし。もちろん生物学科や医学部の4年生以上は専門書買え)


美可理アイコン(niko)s

「+αパワーアップ」は,基本的な事項として覚える内容がなんでそうなるかといった解説も書かれてたりしますね。多精拒否のしくみとか,ヘモグロビンとミオグロビンの酸素解離曲線の話,ジベレリンとオーキシンが細胞壁を伸ばすはたらきとか,読み物として読んで面白いです。


木原アイコンnika_s

クローン羊・ドリーのページも,ドリーの名前の由来が巨乳歌手だとか,ドリーが2003年に死んだ原因の話とか書かれてて面白いよな。
まあそういうのもトータルで受験の対応力につながると言えるだろうな。


美加理アイコン(hmu)s

生物というと,理科の中でも問題を解くより知識を問われる性格が強くて,この本でも「知る・理解する」ために知識を“教えてくれる・解説してくれる”本だな,と思いました。けど,神経の興奮や膜電位(p.371〜380)の説明でたっぷり10ページ使ったり,酸素解離曲線(p.449)の解説に5ページ使ってたり,いくつか計算問題や論述問題の練習も入ってたり,入試対策の力をつける本として隙がないですね。
でも,解説文はすごくさらっと書かれてて読みやすいの。


史絵アイコン(niko) s

『田部眞哉の生物 生物I合格39講』『生物II33講』と比べると,この『大森徹最強講義117講』のほうが難しい内容まで載っているんですけど,漫画とか語呂合わせとか覚えるための工夫というか仕掛けのようなものがなくて,ストレートに解説文だけで説明しているんですね。イラストも酵素のところなどで少し出てくるだけかしら?
あっさりしているといえば,たしか生物って,代謝の化学反応とかですごく複雑な経路の図が出てきたりしますよね?でもこの本はパッと見てすごくややこしい図ってのは出てこないみたいですね…。


美可理アイコン(niko)s

カルビンの実験(p.149)のページとかも,こんなシンプルな図と説明でカルビン・ベンソン回路が解明された方法がわかっちゃうんだもんね。へぇーって思っちゃった。


大森徹117講_p575アユ縄張り.jpg大森徹117講_p589ラウンケル生活形.jpg
大森徹117講_p590生活形スペクトル.jpg
木原アイコンnika_s

また,図の扱いでも,教科書や普通の参考書で載ってる図と入試で問いの対象となる図にずれがあることあるよな。教科書や参考書は現象や事項の説明の図,入試では図からデータの意図を読み取らせたりするわけだからな。
この本では,入試でよく出るほうの図もちゃんと押さえているし,さっき出た神経の電位や興奮の大きさのグラフなど現象を理解するための説明もしつつ図の意味・読み方もわかるようになってるから,ある意味,図的にも図説,資料集なみの情報量と言えるかもしれない。


涼アイコン(ee)

ん〜,700ページもあるなんて想像もつかない厚さですけど,
樅男アイコンs

だから,その厚さだって。
涼アイコン(うう…)

いや…,なんか,この本はこれまであった参考書の厚さとそんな変わらないというか,そんなすごく厚いって感じがしないんですよね。700!って聞いたらとてつもなく重そうな感じするですけどね。

大森徹最強講義117講_開き
木原アイコンnika_s

この本,内容だけじゃなくてつくりもいいよな。厚い本になると開きづらくなるもんだけど,この本は,手で開きぐせをつけなくてもこんなにきれいに開くもんな。そういう点も読みやすさに少なからず関係しているかも知れないな。



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本【高難度入試問】1年かけて楽しめ!『大学入試 生物考える問題100選』『生物考える実験問題50選』 (駿台受験シリーズ)

    
理解しやすい生物I・II―教科書マスターから受験対策まで【改訂版】 (シグマベスト)
水野 丈夫,浅島 誠/文英堂 496p 2,289円(税込)
→Amazon
    チャート式新生物I 表紙
新課程 チャート式シリーズ 新生物1

鈴木 孝仁, 本川 達雄/数研出版 288p 1,544円(税込)
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生物1 合格39講(新課程版) (大学受験Vブックス)
田部 真哉/学習研究社 (2004/11/23) 280p 1,260円(税込)
→Amazon

本ペンZ会「参考書の参考書」を斬る(3) 文英堂『理解しやすい生物I』 (2007年04月03日※『チャート式新生物I』との比較)

化学I・IIの新研究―理系大学受験
卜部 吉庸
三省堂 (2004/12) 728ページ
¥ 2,625
→Amazon
posted by ドージマ・ダイスケ at 23:44| 東京 ☁| Comment(11) | TrackBack(0) | 【参考書・問題集】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
生物選択者に対しての学習サイトは
なかなかないので重宝しております。
週末に書店で大森先生の基礎問題精講と
最強講義を購入することを決めました。
独学なので、なかなか大変なのですが、
このサイトの学習法を参考にしようと
思います。

化学の新研究は三省堂だったように思うのですが・・・
Posted by メイ at 2009年06月12日 20:53
メイさん こんばんは。
独学ということでしたら,書店に行かれた際に是非図録(図説,資料集)も見ていってくださいね。このブログでも再三書いているんですけど,千円を切る値段で驚異的に豊富な内容をカラーの図版や写真で紹介・解説してますので。
> 化学の新研究は
ご指摘ありがとうございます。そうです,書いた後で「あれ?なにか違ったこと書いたような…」とうっすら思いつつ確認し忘れていました(;^_^)。
早速本文のほう訂正しました。よろしければこれからもどうぞよろしくお願いします。m(_ _)m
Posted by ドージマ at 2009年06月12日 22:42
図録は今年の初めに買いました。
ときどき確認したりして使ってます。
独学なのでZ会のスタンダード生物を
受講して毎月添削を出しているという
かんじですね。
生物基礎問題精講を終えた後は
駿台の理系標準問題集に取り組むのか
重要問題集に取り組むのかまたは
別のものに取り組んだほうがいいのでしょうか?
Posted by メイ at 2009年06月13日 17:13
私が考えている“一般”の話をもとに書きますと,
生物は比較的追い込みが効く科目ですので,
今の時点で基礎問題精講が済み,生物に苦手意識を
感じないのであれば,
秋に入るまでは思いきってペースを落として,
他の教科に時間を使うようにしてはどうでしょうか。

その間,生物は,点をとるためではなく
他の教科で疲れたときの気分転換,
楽しみとしてやるのです。
メイさんはZ会で毎月一定量の演習は行うわけですから,
それ以外に使う時間があるなら,問題集に限らず,
本を読んだり,図録や『最強講義117講』をながめて
目にとまったページを読み込んだり疑問に感じたところを
調べたりするのもいいと思います。

メイさんの状況に合っているかどうかわかりませんが
参考になれば。
Posted by ドージマ at 2009年06月14日 10:09
7月から基礎問題精講を取り組む予定で、
基本問題→演習問題 という流れで
1章ずつものにしていく予定です。
大森先生の講義は1日2・3講ぐらい読んでいく
予定なのですが・・・

Z会は8月までは生物を受講ですが、
9月からの即応講座では化学を受講します。

ちなみに今の勉強時間だと理科に90分あてている
のですが、30分が生物で、60分は化学です。
Posted by メイ at 2009年06月18日 20:42
問題集はこれから取りかかられるんですね。
今回書かれた予定・スケジュール,いいと思いますよ。
あとは実際に進めながら時間配分などを調整していかれたらと思います。
なかなか思ったようにいかないことも出てくると思いますが
焦らず粘り強く進めていってください。
Posted by ドージマ at 2009年06月20日 18:07
お返事遅れました。もう1ヶ月も前ですね。
夏休みに化学の演習も増やしつつ
生物は息抜きでやっていきたいと思います。
Posted by メイ at 2009年07月25日 04:09
お久しぶりです。律義にも再訪していただき光栄です。
いよいよ夏休み,ここから本格的に加速の時期ですね。
体調に気をつけてがんばってください。
Posted by ドージマ at 2009年08月03日 12:37
お久しぶりです。
不幸にして浪人してしまいました。
途中で志望学科を変えたのも原因ですが、
一番は数学が苦手だったことですね。
生物と英語は楽しいし、数学は
教科書を読んで証明を再現したりするのは
好きですが、計算力と記憶力が足りません。
もっと時間を割かないとまずいかも。
化学も力を落とさないようにしないといけないし。
生物を勉強してみてわかったのですが、
一番力がついたなと思った時は、
問題集を解きながら、疑問点を調べるという
単純なやり方をした時です。
調べながらやると記憶の定着が異様に良いですね。
特に論述問題はあれこれ考えて、この本で調べつつ
解答を作るという作業をするとバッチリ頭に残ります。
解答の丸写しや最初に解答を読んでしますと、
自分の場合なんかだめですね。ニューグローバルという
問題集を使っていて、論述問題がたくさん載っているのですが、
これを調べながら解いている時が一番楽しいですね。
生物はもう論述問題以外はやる気が起きないくらいです。
Posted by 長十郎 at 2010年04月11日 00:49
残念でした…。
これまでいただいたコメントを読んできて
非常に自律的に受験勉強を進められてきたと思っていましたが
入試はその大学で出された問題の決められた配点で
合格点に達することがすべてといっていいわけですから
勉強ができても志望校の入試にマッチしていないと
うまくいかない場合もあるんですね。

これまで受験勉強を楽しみながら進めてこられたようにお見受けします
とても素晴らしいことですが,今回の結果は,もう1年,
今度は,勉強そ野母のではなく
ここに行きたいんだ!
とゴールをさらに意識して勉強せよということじゃないかと
思います。次は必ずよい結果が待っていると思いますので頑張ってください。
Posted by ドージマ at 2010年04月12日 12:38
その通りですね。勉強することそのものに興味がいってしまって、
ここの大学に絶対にいきたいという強い気持ちが
足りなかったのかもしれません。今度は明確な目標を持って
もう少し全体を見て戦略的にやってみたいと思います。
Posted by 長十郎 at 2010年04月16日 00:48
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