2009年03月14日

【おすすめ本】『都会の花と木』『日本の樹木』

【bookな?日曜日】今回は早めに土曜のUp。
紹介する本はこちら。

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本都会の花と木―四季を彩る植物のはなし (中公新書)
田中 修
中央公論新社 (2009/02)

→Amazon

当ブログの書評にしてはめずらしく新刊であります。

ウメにウグイスは本当に来るのか?ソメイヨシノはなぜいっせいに咲くのか?チューリップはなぜタネでなく球根から育てるのか?「ジャパニーズ・ローズ(日本のバラ)」と呼ばれる花はなに?カメラ目線で咲く花とは?「シクラメンの香り」とはどんな匂い?都会の街路樹や公園、庭に咲く代表的な花の姿や生き方、楽しいエピソードをカラー写真と文章で紹介する。知っているようで知らないふしぎな植物の世界。

ということで,名前の由来から植物の出てくることわざ,
紋章や歴史的逸話,テレビでも紹介された「ど根性ノウゼンカズラ」など
植物学的な切り口にかぎらず,日常生活の中でも身近に触れるような
文化的・社会的な話題も織り込まれ,とても楽しく読みやすい1冊。
高校生くらいからでも十分に読める本としておすすめであります。

この本では花の見られる(あるいは紅葉などの見ごろの)季節ごとに
まとめて紹介されており,そのため,「早春」「春」「夏」の
ページが圧倒的に多いです。早春と春のページが多く,また
園芸種・草本の花が多いため,本の前半はやたら「花が咲くためには
一度寒い季節を経験する必要がある」,高校で習う「春化」の話
ばっかり何度も出てくることになります(なぜかこの本では
春化という語は使われません)がそこはご愛敬。

ヒマワリは太陽を追いかけるように花の向きを変えると
言われていますが,実際にヒマワリ畑を撮影した写真はみな
カメラのほうを向いている。これは必ずある方角から撮っている
のですが,それは東西南北のうちどれ?
なんとも説明のつかない方角だったりします。

七里香とか九里香とよばれる「三大芳香花」とは?
そのうち2つに見られる意外な共通点とは?
花や葉の色を決める色素の知識から,
毒が含まれているのでうっかり口にしてはいけない植物の話やその物質名の話など。
また,ケイトウやノウゼンカズラなど派手で外来っぽい花が
江戸時代の日本画に描かれているなどといった,それぞれの植物の
来歴など,70種あまりの植物について,その人となりが
しっかりイメージできる,プロフィールが一通りマスターできます。

本文で紹介された植物については口絵でカラー写真が
載っているので,あああの花かと名前と姿が
きっちり一致するという点でもぬかりはなし。
きわめて普通につくられた感のある本ですが
普通に十二分たんのうできる,身近な草花・花木に興味がもてる
いい本だと思います。

ただ,いい本,特に最近出版界では
売れる本の条件として
「新書で売れる本は2時間で読める本」
なんてことが言われているそうで,
この『都会の花と木』はまさにすらすら読めるタイプの
いい本なんですけど,個人的には,ちょっと時間のかかる
ボリューム感のある本がコストパフォーマンスがいい気がして
好みだったりします。

そういう点で気に入った1冊がこちら。

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日本の樹木―都市化社会の生態誌 (中公新書)
辻井 達一
中央公論社(1995/04) 296ページ
→Amazon

さっきの本が春化の話ばかりだとすれば,
こちらは,著者がくわしい北海道の植生が多く,アイヌ語の話題などが
興味深いですね。カラーの口絵はないですが,きれいで見やすい
挿し絵が見出しレベルで紹介されているほとんどの植物についてますし
学名や世界的な分布,気温や水など環境に対する適性,
成長の早さや樹形などの植物的な性質についての解説が詳しく
そこから木材として,植木としての性質や向き不向きなども
わかってきます。

高校の生物IIを習った人なら,水平分布や垂直分布,
地理分布や群系の遷移の知識と次々と話がつながっていき
まさに知識が生きてくる,命をもってくるような
知的面白さが味わえますよ。

090313 ネコヤナギ
※p.58 エゾノバッコヤナギの項を参照。

10年以上前の本で,当時の版元が中央公論社,
今は続編が中央公論新社から出たりしておりますが
いちおう今でも入手は可能です。


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ラベル:新書 植物学
posted by ドージマ・ダイスケ at 00:41| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【おすすめ本】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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