2009年03月06日

news◇iPS細胞1週間・ニュースラッシュ

【newsな?金曜日】啓〜〜蟄!
って,前回のUpのときに書いておくべきタイミング
だったのですが完全にうっかりしておりました。

三寒四温といいますか,雨やら快晴やら雪やら
ここんとこ天気の変動が激しいですね。

それにしても,今週に入って,iPS細胞(人工多能性幹細胞)
のニュースが次々と飛び込んできました。
ちょっと戸惑い気味のニュースラッシュ。
今,どうなってるんでしょうかね…

ヒト細胞から「安全iPS」を作製、ウイルス使わず : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2009年3月2日)
英エディンバラ大の梶圭介グループリーダーら
ウイルスを使わないiPS細胞作成はヒト細胞では初
万能性をもたらす4種類の遺伝子をひとまとめにして
 特定のDNA配列で挟み,特殊な酵素とともにヒトの皮膚細胞に導入。
ウイルスによるがん化の心配はない。
作製効率もウイルスを使う場合より25倍以上高い。
※「特定のDNA配列で挟み」「特殊な酵素」って,高校の生物IIでも限定酵素とDNAリガーゼを使った遺伝子組換えの手法で学習しますけど,それは遺伝子を目的の細胞に入れる前,プラスミドなりウイルスなりの運び屋(ベクター)を作る際の操作。ヒトの細胞の中で酵素を働かせるって…そんなことできるんでしょうか?!
次の毎日新聞の記事に書かれている「トランスポゾン」のこと?


iPS細胞:ウイルス無用、ヒトiPS 英国とカナダの研究チームが作成 - 毎日jp(毎日新聞)(2009年3月2日)
英国とカナダの研究チーム
ウイルスを使わないiPS細胞作成はヒト細胞では初
染色体に遺伝子を組み込んだり消去もできる遺伝子
 「トランスポゾン」を使用,
 4遺伝子をヒトの胎児の線維芽細胞に同時に導入。
マウス実験では,幹細胞としての能力を失うことなく
 染色体に組み込まれた4遺伝子を特定の酵素を使って
 消去することに成功。
 (導入した遺伝子によるがん化の危険性が低くなる)

↑上の2記事,同じ研究発表でした。
さすが反日新聞として評判の毎日,内容は読売の記事より
具体的ですけど,日本人がグループリーダーとして
参加していることに全く触れていませんw
asahi.com(朝日新聞社):iPS細胞、ウイルス使わず胎児から作製 英大学など - サイエンス
英国とカナダのグループ(英エディンバラ大のグループリーダー・梶圭介氏)
ウイルスの代わりにiPS細胞作製に必要な4遺伝子をつないだ
 プラスミドと呼ばれる環状の遺伝情報の塊(DNA)を作り運び屋にした。
今回は遺伝子が染色体に入り込んでiPS細胞ができた後
 その遺伝子を取り除くように設計した。
ヒト胎児の皮膚細胞に入れると2〜4週間後に細胞の塊ができ
 iPS細胞の特徴が確認できた。成功率は約0・001%。
マウスでは京都大のウイルスを使わない方法より作製効率が高く
 生殖細胞など様々な細胞への分化能を有した。


このほかのニュースは,新聞各社が同じニュースをそれぞれ
報じているのかと思ったらけっこう違うニュースを
扱っていて,5日間で6件のペース?
すごいなぁ…。


iPS細胞から角膜細胞、慶応大教授ら作製に成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2009年3月2日)
慶応大の坪田一男教授(眼科学)ら
マウスのiPS細胞に特殊なタンパク質などを加えて培養,
 色々な部位の上皮のもとになる細胞に変化させた中から
 角膜上皮細胞になる細胞を見つけ,増やすことに成功。
他人の角膜を移植すると拒絶反応を起こすことがあるので
 自分のiPS細胞からつくった角膜の移植が期待される。


ヒトiPS細胞:血小板の作成に成功…献血頼らぬ供給に道 - 毎日jp(毎日新聞)
血液から新型iPS細胞できた 東大チーム - サイエンス:asahi.com(朝日新聞社)(2009年3月5日)
●東京大の中内啓光(ひろみつ)教授(幹細胞生物学)ら
手術の止血や血友病治療に重要な血小板は長期保存が困難であった(4日ほどで廃棄)がiPS細胞による作成で安定供給への道が開ける。
血小板には核がないためiPS細胞作成に伴うがん化の副作用がない。
ヒトiPS細胞と、骨髄中の細胞を培養。
 複数のたんぱく質を加え、巨核球に分化させた。
 巨核球から、形状や機能が通常と同じ血小板ができるのを確認。
京大・山中チームが使った4遺伝子をヒト血液に導入してiPS細胞を作製。
血液中には血球細胞以外の細胞も混じっているが,
 マウスを使った実験で,iPS細胞は血液中の造血幹細胞が
 変化した造血前駆細胞からできたとみられることが確認された。

※あれ?毎日はiPS細胞を作ってから血小板を分化させるという技術のニュースだけど,朝日は血液からiPS細胞を作ったというニュース。毎日はiPS細胞の作り方について触れてないから矛盾はしないけど…。
※朝日は,「皮膚の細胞は針を使って採取するが,出血性の血液疾患の患者や子どもには向かない場合がある。採血なら、患者、医師ともに負担が小さい」って最も重要なことのように書いてるけど,そうかなぁ?
 よっぽど大量に皮膚を切り取るなら嫌だけど,針を使って採取するってんでしょ?採決だって針を使って採るのにね…?
 それに,朝日の記事では検証実験をマウスでしたのはわかるけど,肝心のメインの実験がヒト細胞なのかどうかがわからない。小林舞子記者,もうちょっと精進してください。



iPS細胞:2遺伝子使い作成、ヒト神経幹細胞で初−−慶大チーム - 毎日jp(毎日新聞)(2009年3月6日)
慶応大・永井康雄 助教(生理学)ら
ヒトの神経幹細胞に従来の4遺伝子のうち
 Oct3/4、Klf4の2遺伝子の導入により
 高効率でiPS細胞を作ることに成功。


iPS細胞の高品質化に成功 米チーム、難病治療に前進 - サイエンス:asahi.com(朝日新聞社)
米マサチューセッツ工科大などのチーム
パーキンソン病患者の皮膚からiPS細胞を高品質でつくることに成功。
従来通りウイルスを使って3遺伝子を導入。
 iPS細胞ができた後,特殊な酵素で導入遺伝子を取り除く仕組みも加えた。
すると,iPS細胞の遺伝子の働きぶりが、従来のiPS細胞より
 ES細胞(胚性幹細胞)に近くなった。
導入遺伝子が残っていると性質にばらつきが出るとされ課題となっている。

今,iPS細胞をつくるための導入遺伝子を
後から消去する手法に各国が取り組んでいるという
のがトレンドみたいですね。


iPS細胞から育てたマウス、1年後に6割発がん…山中教授 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2009年3月5日)
「半年で2割」であったが,その後さらにがん化の発症率が上昇。
がん遺伝子「c―Myc」を除いて作製すればほとんどがん化しないが
 iPS細胞由来の遺伝子を受け継いだマウスもほとんど生じなくなった。


うわぁ…他チームの新しい業績が次々に発表された
タイミングでこの発表,なんか京大・山中チームの仕事が
その問題点を改善して応用するための踏み台に留まっている
印象をおぼえてしまいますけど,
それくらい各国の研究競争が激しいってことですね。
この勢いだと,ほんとうに,ほんの数年で,
難病治療への劇的な治療法確立とか実現できてしまうかもしれませんね。


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posted by ドージマ・ダイスケ at 23:14| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
春が近いんでしょうかねぇ…

また久しぶりに「新井泉」さんを応援したい人(または本人)なのか
それとも褒め殺し引き倒ししたい人なのか知りませんが
長文のコメントをいただきましたけど,
第三者に対する悪罵で埋め尽くされた発言を
ネットで公開することは当ブログコメント欄の主旨ではありませんので
「新井泉」関連のコメントは禁止させていただきます。
ご了承ください。
Posted by ドージマ at 2010年02月28日 20:59
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