2009年01月25日

【おすすめ本】読み応えありまくり!『親指はなぜ太いのか』(中公新書)

【bookな?日曜日】発行からもう5年もたつのか…
これ以上出し惜しみしてもしかたあるまい。
紹介しちゃいましょう!

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本親指はなぜ太いのか―直立二足歩行の起原に迫る (中公新書) (岩波新書)
島 泰三
中央公論新社 (2003/08) 288ページ+口絵4ページ

一本だけ離れて生えている太くて短い親指、ガラスさえ噛み砕くほど堅い歯。人類の手と口は、他の霊長類に例のない特異なものである。霊長類の調査を長年続けてきた著者は、サルの口と手の形、移動方法は、その主食によって決定されることを解明し、「口と手連合仮説」と名づけた。なぜアイアイの中指は細長いのか、なぜチンパンジーは拳固で歩くのか、そして人類は何を食べ、なぜ立ちあがったのか。スリリングな知の冒険が始まる。

うん,とにかく読み応えがあります!
第1章から6章までは,霊長類がその生活様式に応じて
歯と手指の形状をまさに多種多様に進化させてきた
その特徴を解説。


たとえば,第1章で取り上げられるアイアイ
5本の指がすべてかぎ爪,薬指が最も長く,
中指だけが極端に細い。そしてそのつけ根は非常に自由に動く
特殊な構造をしています。また,他の霊長類と異なり
ヒトの手のように親指が太くなっています。

そして,歯。犬歯がないなど,霊長類の中では
例外的な構造をしていて,それは
どちらかといえばリスなどのげっ歯類に近い。
しかし,リスなどと比べると臼歯が極端に小さく
単純なつくりをしている。それはなぜか?

霊長類学者や形態学者は木の中にすむ昆虫の幼虫を
ほじって食べるためだろうと考えた。
しかし,それは実際の生態を確かめなければ正しいとはいえない。
はたしてどうだったのか?

といったような,興味深くバラエティに富んだ霊長類の形態と生態のふしぎが
ネズミキツネザル,メガネザル,ピグミーマーモセット,ワオキツネザル,マングースキツネザル,ジェントルキツネザル,ヴェローシファカ,インドリ,アンワンティボ,ボットー,オオガラゴ,ニホンザル,チンパンジー,ウーリークモザル,ゴリラ,オランウータン…について紹介されています。

晴れそして,この本の第2部手(チョキ)といいますか,
もう1つの看板,大テーマを扱っているのが
人類起源の謎に迫る第7章「初期人類の食物は何か」

ヒトの手のつくり・歯の並びや構造というのは,
私たち人間にとっては自分の体のことですから
きわめて普通でなにも特殊なものなどないと思いがちですが,
いやいやどうして,これはけっこう世界で1つだけの花なんですよ。

ヒトの奥歯はつるつるで平面的なすりあわせがありますが
他の動物はぎざぎざのかみ合わせが普通なんです。
さらに,ヒトの歯は表面を覆っているかたいエナメル質が
非常に厚いんです。歯の主体となる象牙質は骨より硬いですが
エナメル質は,それよりさらに硬い,水晶なみの堅さなのです。

そんな特殊な歯をもち,物をにぎったり細かいものをつまみ
上げるのに適した手をもつ人類は,
いったい何を食べるためにそう進化したのでしょうか?
著者は,過去に名だたる研究者たちが唱えた仮説を
a〜iの9つも挙げていますが,その中で支持する説は
ただ1つ。その説がどんなものかを知ったら
あなたは必ず驚きます!

あなたが絶対考えもしたこともないような説ですよ。
それがどんな説かは,読んでのお楽しみ

これが単なる机上の空論じゃなくて,第1章から書かれているように
マダガスカルやタンガニーカ湖畔など霊長類の宝庫を飛び回り
本物の生態や形態をつぶさに観察してきた分厚い裏付けに
裏打ちされたものだけに説得力があります。

あとがきに「「知の冒険者」を志す若者たちすべてに
この本がよい刺激をあたえることを心から願って」
と書かれていますけれど,本当に,知的感激を与えてくれる,
知的好奇心を触発してくれる本。おすすめです。


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次項有その他,参考書・問題集に関するエントリーを読む

本サルの社会とヒトの社会―子殺しを防ぐ社会構造
島 泰三
大修館書店 (2004/07) 309ページ

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本はだかの起原―不適者は生きのびる
島 泰三
木楽舎(2004/09) 301ページ

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著者略歴:島 泰三
1946年、山口県下関市生まれ。下関西高等学校を経て、東京大学理学部人類学教室卒業。房総自然博物館館長、雑誌『にほんざる』編集長、日本野生生物研究センター主任研究員、天然記念物ニホンザルの生息地保護管理調査主任調査員(高宕山、臥牛山)、国際協力事業団マダガスカル派遣専門家等を経て、現在、日本アイアイ・ファンド代表。理学博士。専攻・霊長類学。アイアイの保護活動への貢献によりマダガスカル国第5等勲位「シュバリエ」を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
posted by ドージマ・ダイスケ at 23:16| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 【おすすめ本】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by 元塾講師中里によるアフィリで楽しく毎日が給料日 at 2009年01月30日 05:12
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