2008年12月21日

【参考書】駿台受験シリーズ『生物I・II入門 』

【bookな?日曜日】 早いもので,センター試験ももうあと1ヶ月ですか。
いくら比較的一夜漬けが効く「生物」とはいえ,
今から大学入試勉強をして何とか間に合わせようってのは
たいがいなものがあります。

でも,大学全入時代の今日この頃,
レベルやブランド,立地に注文をつけなければ
「理系で物化生の1つか2つとらなきゃだめだけど
 最低限できれば合格圏に滑り込める」
という大学があるのも事実。

というわけで,今から間に合わせる「生物」
大学受験対策本を。

 駿台生物1・2入門_表紙
生物I・II入門 (駿台受験シリーズ)
佐野 芳史,吉田 邦久
駿台文庫
→Amazon
この本のポイントは大きく2つ。

B5判と大きめで,1単元が見開き2ページで完結する読みやすい構成。

教科書の配列にはとらわれず,単元ごとの内容の関連性を重視した独自の配列。
 個々の単元の記述も,歴史的背景からのアプローチで
 単なる暗記ものでなく,リアルな筋立てで理解できる。


とにかく独特。

「用語を本質から理解する」
… 一見何の関係もない事柄どうしの隠されたつながりを
見出して関連づけて理解することで,より生きた形で
明確に頭にインプットできるというコンセプト。
こういう切り口,大好きです。

そのため,「生物I」「生物II」の区分けからなにから
高校教科書で扱われている配列のすべてを度外視した
構成となっています。

●細胞の構造を扱うのに,原形質流動や染色の話から始まる。
●細胞小器官の解説をするのに電子顕微鏡の話から始まる。
●教科書では,各社とも
細胞の構造→細胞膜→(酵素)→細胞分裂→単細胞生物
→多細胞生物(動物・植物)の組織・器官
の順番で扱われるのに,この本では
細胞の研究史ダイジェスト→組織・器官→細胞の構造


などなど…

そして,各単元は基本的に歴史的背景から解説されます。
前半の3〜4割くらいは,この単元で語られる事象が
どうやって明らかになったのか,そこに至るまでに
どんな疑問や問題,困難があったのかのイントロダクションだったりします。

しかし,
駿台生物1・2入門
見開き2ページで各単元が完結しているので,
「どこからが本題やねん?!」
「要するに,どこ覚えればええねん?!」
みたいなイライラはほとんど感じなくてすむでしょう。

見開き構成という縛りがあり,その中で数個の小見出しに
適度な長さに分けられているので,歴史的背景から語られていても,
どのページもくどくないんです。

参考書ならどこでもやっていることとはありますが
各重要用語は太字ゴシックで示されているので見やすく
各解説もすごく簡潔で読み進めやすい。

また,グレーの網掛けのかかった左右の囲み解説
ここが自由度のあるスペースとして非常に有効に機能しています。
エチレン(植物ホルモン)の解説にからめた事例として「けものみち」を取り上げたり
浸透圧の話に関連して,“細胞壁がないのに破裂しない単細胞生物”としてゾウリムシの収縮胞を紹介したり,
今よく耳にする言葉「エコロジー」と「エコシステム」の意味について説明するなど
生きた知識としてすみからすみまで楽しめる内容になっています。

教科書を基準とした高校生物の参考書として
配列的にはムチャクチャというか,無視することで
独自のわかりやすさを実現しているこの『生物T・U入門』ですが
内容的は,非常に教科書の内容に忠実。

1991年に出た『生物入門』,96年に改訂された『新・生物入門』(生物TB・II)をベースにしているのですが,用語や内容などきっちりと今の「生物I」「生物II」に合ったものに直してありぬかりはありません。
(※生物は用語の変更や細かい記述内容がよく入るので,10年前の本では
今通用しない箇所があったりするのですが,学習指導要領では
 具体的な変更については全く触れないので,各社から出ている
 教科書を隅から隅までチェックしないといけないんです。

 指導要領の改訂で教科書が変わっても大筋の内容は変わらないので,
 大学受験対策を主眼としている予備校ものはえてして雑だったり
 することがあるのです。駿台の他の本がそうだというわけで
 ないですけど,図に関してはえてして古くさいものが
 多かったりしますね (;^_^))


それでいて,「補欠分子族」「(細胞膜の)キャリア」
「ドーパミン」「GABA」
など,教科書の内容からほんの一歩
踏み出した発展的内容をさらっと扱っているところが
またにくい。
(※教科書範囲内の内容と区別がつくようになっていないのですが
 量としてはわずかなのでそれほど気にしなくても大丈夫です)


これは,専門が物理・化学の先生が生物の授業を受け持った際の
教授資料として使うこともありなんじゃないかと思います。

読みごたえがあるという点で,
一般の大人の方が買っても十分おすすめできる本。
読みごたえがありすぎて,これから駆け込みで生物を
勉強しようとする受験生には向かない(ついつい時間を
食ってしまう)面がなくもないですが,
2ページ単位の細かい単元でできている点を活かして,
章末の「確認問題Q&A」で自分のレベルをチェックして,
楽勝な章は後回しにし,
全く歯の立たない苦手な章もとばし,
もうちょっと勉強すれば点が稼げそうという章から
機動的に読んでいけば,即効で得点力につながると思います。

前述のように,重要語句の解説は簡潔で読みやすいですし
各単元の最後には「入試に頻出!」という,ポイントを
簡潔にまとめたものが入ってますので,
これを確認しながら斜め読みするというのも手だと思います。

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ほんとうに土壇場でセンターに必要な知識だけ
てっとり早く身につけたいということでしたら
薄くて安い『大学入試の得点源 生物I[要点]』
および同『生物I[センター遺伝]』あたりがおすすめですけどね。

Z会「参考書の参考書」を斬る(6)『大学入試の得点源 生物I〈要点〉必出ポイント110の攻略で合格を決める』
posted by ドージマ・ダイスケ at 16:49| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 【参考書・問題集】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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