2008年12月14日

【おすすめ本】『人体常在菌のはなし〜美人は菌でつくられる』

【bookな?日曜日】 昨日,近所のスーパーに包丁研ぎの人が来る日だったので
10年余り使ってたやつを持っていって研いでもらったんですけど,
いや〜,全然違いますね。切れる切れる。
刃がひっかかる,切るものをとらえる感じですよね。
顕微鏡で見たら,細かいギザギザになってるんでしょう。

今週の『絶望先生』,「スイッチを押してしまう」でしたか。
いいネタ盛りだくさんでしたが,他にもいっぱいありそうですね。
『GoldenAge』,Web連載に移行か…
これで読者が増えるなら結構なことなんですが…う〜ん…。

さて,話変わって
先々々週のことになりますが,

山田五郎さん・中川翔子さんが毎週土曜にお届けする
FM放送J−WAVE(81.3kHz)『東京REMIX族』
メインコーナーは「菌のキワミ」と題しまして
『菌子ちゃんの美人法』などの本も出している
医学博士の青木皐(のぼる)先生をお招きして
人の体につく菌のすばらしさについて講義してもらっていました。

81.3 FM J-WAVE : DOCOMO 東京 REMIX 族
http://www.j-wave.co.jp/original/tokyoremix/contents.htm

(そのときの模様は,「デジカメレポート」のバックナンバー11/29付を参照)

曰く,
・人の体は60兆個の細胞でできているのに対し,
 人の体についている細菌は100兆個。

・多くの細菌は人の役に立っている。
 にきびでおなじみアクネ菌も,適度な繁殖レベルなら
 皮膚からの分泌を促しうるおいを保つ役割を果たす。

 実は人間がつくる消化酵素で食べ物を全部消化できている
 わけではなくて,実際は腸内細菌が消化してくれた
 食べ物を私たちは吸収している。
 つまり私たちは菌のウンチを食べて生きている。
 
・美容の一番の大敵は,便秘!
 ビフィズス菌が育つ環境を壊し,悪い物質がたまる。
 女性のへそ出しなど,腸の温度が下がってビフィズス菌が育たない。
 ちゃんと野菜を食べることも腸の環境を整えお通じを保つのに大事。
 必要なら下剤に頼るのもよし。
 慢性になってしまっているなら病気なんだから医師にかかること。
 もっと自分の体に真剣にならないといけない。


ラジオの中のこととて,限られた時間の中では
本当にざっとポイントを紹介する程度の話にならざるを得なかった
わけですが,こういったかいつまんだ話だけでも楽しくためになる時間でした。

で,私,この青木皐先生の本を前に読んだことあったんですよね。
ああ,あの本を書いた先生が登場だ!と。
人体常在菌のはなし―美人は菌でつくられる (集英社新書)
青木 皐 集英社()
→Amazon
 まず,先生は「健康とは何か」ということでWHOの健康の定義,「健康のために」「美容のために」何をしているかという女子短大生アンケートを紹介し,「健康も美容も根は1つ,自分の体にいる常在菌を活かせばいいのだよ」と結論づける。
しかし世間の常識としては「除菌」「抗菌」が必要不可欠のごとく微生物(本書の仲では「菌」で統一)は忌み嫌うものとしてとらえられている。そこで「衛生」という概念の確立(ドイツ語ゲズントハイツプフレーゲの訳として「荘子」からとられた)などといった話も紹介。本題は医学生物学の本なのに「衛生唱歌」の歌詞とか江戸時代以前の日本やフランス人の美人の条件など,内堀外堀もじっくり埋めていく展開が面白いです。

本題に入りますと,ラジオで語られたのとほぼ同じテーマで,
ぐっと詳しく深く興味深い内容が語られていきます。

腸内の常在菌は100兆個。ヒトの細胞60兆個より多い。
(細菌の大きさはミトコンドリアくらいですから,数で
 数割多いくらいなら,総量でははるかに少ないことに。
 重さにすると1〜1.5kgとのこと。)
口の中は100億個,皮膚には1兆個。

多種多様な常在菌がお花畑のように存在するということで
「腸内フローラ」と呼ばれる種類や数の構成は,
はげしい種間の縄張り争いによって維持されている。
常在菌は,ヒトの免疫機構といっしょになって
病原菌を攻撃し,病気を防いでいる


また,ヒトの免疫は自己と非自己を区別して非自己を
攻撃する働きであるが,口から入ってきたものは
基本的に攻撃しない。腸内常在菌がアレルギー反応を
抑える
大きな働きをしていると考えられる。

代表的な“善玉菌”(本書では「有用菌」)はビフィズス菌。
糖を分解して乳酸などを出し,腸内環境を整え
ビタミンをつくり,免疫を助ける役割を果たしますが
“悪玉菌”(「有害菌」)のウェルシュ菌も
タンパク質を分解するのに役立っている(ビフィズス菌は
タンパク質や脂肪を分解できない)。

つまり,腸内が有害物質だらけでウンチがくさく
お肌も調子が悪いというのも,食べた物をちゃんと
消化するために腸内フローラが構成された結果。
お肌きれいで健康な状態を維持するには
「あなたは何のために食べますか?」
「明日いいウンチをするため」という考え方が重要。
きれいな黄金色(腸内が酸性の証拠)をした便が
するりと出て水に浮く(繊維が多い)
のが理想。


ということで,いいウンチをするために,
腸内の有用菌と有害菌のバランスを整えるための
方法が紹介されます。
気分よくやらないと常在菌の活動も鈍るとのこと,
堅苦しく考えずに,気楽に自分なりのやり方で
楽しんでやってみてはいかがでしょうか。

で,ここまでが全部で6章あるうちの第2章まで。
この後,「皮膚常在菌を育てる」「育菌のコツをつかむ」
「育菌式美容法」「ストレスと癒し」

といった章が続きます。

皮膚の有用菌は,表皮ブドウ球菌が代表選手で,
有害菌の代表は食中毒でおなじみ黄色ブドウ球菌。
汗のはたらきや臭い(体臭・加齢臭)が生じるシステムについて,
キシリトールが皮膚の“善玉菌”アップに効果?!といった
興味深い事柄がたくさん紹介されています。

僕がこの本のテーマ,メッセージとして感じたのは
まず,バランスが大事ということ,
そして,見えない「菌」たち,それも有用菌だけ
ではなく有害菌も含めた微生物たちへの“愛”ですね。
それらも含めたものをトータルで大事にすることで
自分のからだを健やかな状態に保つことができるわけです。

いらないものを叩く,排除するのではなく,
望ましいものを育てることでバランスのいい状態に
導いていくのが生物のしくみから見てあるべきやり方
当然のソリューションなんですよね。

世の中の常識,マスコミや宣伝で流される
情報に囲まれて生活していると,えてして
菌のない“清潔”な状態や,“善玉菌だけ”の状態を
目指しがちなんですけど,それはナンセンスということですね。

「菌子ちゃん」(1260円)もいいですし,こちらの新書(714円)もお薦め。
学者さんの本って,堅くて難しいもんだと思われがちですが,
けっこう愛とか情熱とか行間からにじみ出てくるものが少なくないんですよ。
青木先生の本,ぜひ一度手にとってもらいたいと思います。

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posted by ドージマ・ダイスケ at 12:06| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 【おすすめ本】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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