2008年11月25日

news◇染色体1本まるごとDNA解析

今日はまた朝冷えましたね〜。
道が濡れているところに冬の風が吹いて,雪の匂いのような空気を感じました。

さて,今回紹介する生物ニュースはこちら。

両親由来の染色体DNA断片を
個別に増幅する技術の開発に成功
(独立行政法人 放射線医学総合研究所 プレス発表)

> 独立行政法人放射線医学総合研究所(理事長:米倉義晴;以下、放医研)重粒子医科学センターゲノム診断研究グループ (今井高志グループリーダー) の道川祐市主任研究員らは、両親から1本ずつ伝わる2本の染色体DNAの断片を1分子レベルで単離し、さらにそれぞれを10万倍程度まで増幅する技術の開発に成功しました。
> これまでの試料採取方法では、両親由来の染色体DNAが混在してしまうため、ハプロタイプ(*1)多型の解析は困難でした。しかし本技術は200kb(1kb=0.34nm)以上、最大800kbの長さ(従来の手法では20kb)で染色体DNAを単離でき、しかも高い増幅率を有することから、一般的で安価な解析手法を用いても高精度で、両親から伝わる2種類の遺伝情報を識別しながら解析できるようになりました。この技術開発により、遺伝性疾患の発症機構について新たな解明手法の開発を可能とし、安価で高精度の遺伝子解析が行えるようになる等、医学の発展に貢献することが期待されます。

*1 ハプロタイプ…ハプロイドジェノタイプ(半数体の遺伝子型)の略。父親もしくは母親に由来する単一染色体上のひとつながりの遺伝子構成。限定的に同一染色体上で遺伝的連鎖している多型の組み合わせのことをいうこともある。


ヒトゲノム計画が2003年に完了して,ヒトのDNA配列については
もう全部わかっていて,あとはそのDNA配列と遺伝子のはたらきの
関係の調査,SNP(個人で塩基の違う箇所)を調べてその形質発現
を解析していく段階になり,そして医療への応用へと進んでいく
わけですが,これまではDNA配列の読み取りって,
一度バラバラになったDNA断片を読んでいたんですね。
言われてみれば,やりかたとしてはそういうことになるわけですけど
そうなると,1人の個人のDNAを調べた場合,個々の遺伝子について
両親から受け継いだ2つのDNA配列が含まれている
(ホモ接合体なら1通りとなりますが)のはわかるけれども
染色体としてどういう組み合わせで受け継いでいるのかはわからない。

たとえば,同じ染色体上に連鎖している遺伝子A,B,C,D
の4つがあって,ある人の遺伝子型がAABbCcDdだったとする。
については父親と母親のどちらからも優性遺伝子を受け継いだのは
自明だけれど,残る3つは父と母からどういう組み合わせで
受け継いだのかわからない。しかし,今回発表された技術では
たとえばAbCDABcdで受け継いでいる
ってことがわかるわけですね。

基本的なことですが,ワンポイント。
遺伝子DNAは,染色体1本で1分子。長〜い二重らせんのDNA分子が
ヒストンタンパクと組み合わさって折りたたまれて染色体の
形になるわけです。

※よく教科書に出てくる染色体の図や写真は
 X字形をしていますが,あれは細胞分裂の(前期〜)中期の
 状態。後で2つの娘細胞に分配されるもので
 2本のDNAがくっついた状態であることに注意してください。


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posted by ドージマ・ダイスケ at 22:31| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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