2008年11月21日

news◇チューブの枡目で砂漠緑化?!

今朝,この冬はじめて窓から富士山が見えました。
空気がキーンと冷えて地表の熱といっしょに空気中のごみが
上空に上がっていったとか,湿度が下がってくもりにくくなったんでしょう。
見えるときは本当,くっきり見えるもんです。
うちんとこは,富士山が見えた日から冬と考えれば
いいかなと思いました。そう決めた(あと何年ここに住むかわからないけど)。

さて,今回紹介する生物ニュースはこちら。

樹脂チューブで砂漠を緑地に 東レが新技術(asahi.com 2008年11月21日)

> 中国などで進む砂漠化を食い止めようと、東レが緑地化の技術を開発し、実証試験に成功した。チューブ状の樹脂で地面を押さえて砂の移動を防ぎ、草木のタネを根付かせる手法。手軽に取り組めるのがミソで、東レも事業化を検討し始めた。

これは面白いなぁ…。直径約10センチのチューブを数メートル間隔で格子状に張り巡らせただけで砂の移動が押さえられるなんて。実は,ちょうど昨日,砂漠緑化の本を1冊読み終えたところなんですよ。

岩波新書 沙漠を緑に
沙漠を緑に (岩波新書)
遠山 柾雄/岩波書店(1993/06)
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もう15年前の本ですが,世界中のありとあらゆる砂漠を見て回り,各地の伝統的な農法や先進的な農法の長所短所を研究してきて「砂漠で農業は簡単」と言い切る著者が語る砂漠の真の姿は,目からウロコの連続でほんとうに面白かったです。
砂漠にもいろいろあるわけですが…
・砂漠は冷暖房いらずで日本より過ごしやすい。
・筆者は世界中を飛び回った結果マラリアにかかってしまったが砂漠には病原体がいないので基本病気にかからない。
・年平均の降水量が少なくて地表が乾燥しているから“沙漠”(この本では砂の沙漠は沙漠全体の2割程度なので本来の表記である「沙漠」を使用)というだけであって,川があったり地下水が豊富だったり海から湿った空気が流れてきたり1年の数ヶ月はふつうに雨が降ったりと,多くの沙漠地帯では水の入手方法がある。
・沙漠にも動物はいるので,作物が順調に育ってくるとネズミやらトカゲ,カメなどが集まってくる。


また,高校『生物II』で学習します「生態系の平衡」で
環境問題も触れることがあるかもしれません
(どの会社の教科書でも扱うのは最後の最後ですので
学校ではあまりしっかりとは授業しないかも)が
そこで扱われる砂漠化問題と直結した,植物の栽培に関しては
・要は,水の入手と防砂の2点が重要。
・太陽光が強いので,水さえあればむちゃくちゃ発育がいい。
・もちろん多くの作物植物にとって日が強すぎても害があるので
 ナツメヤシ・果樹・野菜を交互に並べて植える方法などが成功している。
・水に関しては,水路でのかんがいはもちろん,アメリカが広めた
 スプリンクラーによる散水でも水分中の塩分が地表近くに
 蓄積される塩害を引き起こすので,必要な最小限を
 少しずつ与えなければならない(地下に配水管を通して
 塩分を洗い流すという方法なら水が多くてもよい)。
・塩害が起こりにくいので砂沙漠が一番農地に向いている。

 
世界中,いろいろな気候の沙漠があって,
その土地その土地でさまざまなかんがい技術や農法があって
新しい農法の技術が考案されてきた歩みがあって
そんな中で,世界的には沙漠といえるか微妙な規模の
鳥取砂丘の緑化くらいしか実績のない日本の農業技術が
十分通用する(アメリカの土地使い捨て粗放式大規模農法よりずっと)
という事実。いろいろなことを教えてくれ,わくわくさせてくれる1冊でした。

この本によると,中国の沙漠は大きくはトンゴリ沙漠・
ゴビ砂漠・タクラマカン砂漠・ジュンガリア沙漠の4つに
分けられるそうで,このニュースで紹介された沙漠は
内モンゴル自治区ということで,ゴビ砂漠ですね。
ゴビは「使えない土地」「石ころの荒れ地」という意味で
面積にして日本の4倍もあり,さまざまな気候・地質の
土地が含まれているそうです。

しかし…チューブを使ったのは,ひもやテープより固定されやすい
ってことなんでしょうけど,はたから見たらおまじないにしか
見えないような方法でこんなに効果があるなんてすごいですね。
(上記リンクの記事に写真掲載。今のところ,東レのホームページには
 この記事で紹介されたニュースはあがっていません)
TORAY 東レ公式ページ

この発想自体はチューブ製造の「ミツカワ」(福井県越前市)が
鳥取大と始めた研究で,そこに東レが「土に還る自然にやさしい樹脂
「ポリ乳酸」の性能を生かせる」と加わったという経緯だとか。
沙漠というと,東レは海水の淡水化技術でも世界トップクラスで
産油国の水確保に大きく貢献してますし(オイルマネーで「がっちり」?!),
これからも日本の技術が世界の環境保全に活躍してもらいたいです。

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posted by ドージマ・ダイスケ at 23:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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