2008年10月06日

news◇イグノーベル賞,報じるマスコミはもっとバカ

ん〜…なんといいますか…。

当ブログでも前回のエントリーで紹介しましたけど,

ノーベル賞理系3賞発表の前の週ってこともあってか
日本から2年連続で受賞者が出たせいか,
今年のイグ・ノーベル賞,やたら各マスコミで報じられましたけど
その意味とか面白さとかを本当にわかってる人,
ほとんどいない感があります。中には知らずか故意でか知りませんが
受賞内容をゆがめて伝えているところまで。

AFPBB News
「イヌに付いているノミの飛距離」研究、08年のイグ・ノーベル賞受賞

これはまともな部類で,生物学賞・栄養学賞・物理学賞・化学賞について紹介。
ほかのネットニュースが偏向報道している化学賞についても,
> 化学賞はライバル関係にあった米国と台湾の2チームが
> 共同で受賞し、騒ぎになっている。
> 米国のチームはコカコーラが殺精子剤となることを、
> 台湾チームは殺精子剤とならないことを証明したのだ。

と正しく伝え,選考サイドの目論見が伺える記事になっています。

ほかに平和賞、考古学賞、医学賞、認知科学賞、経済学賞、文学賞もあるという扱い(文学賞は国際的に配信する意味ないよな…)で,賞の概容についてもわかりやすく紹介されています。

「単細胞が迷路解く」受賞 イグ・ノーベルで中垣氏ら(47NEWS)
> 人間にとっても難しい迷路の探索を、脳も神経もない粘菌ができることを発見した点が評価された。受賞あいさつで、中垣氏が「日本の辞書で単細胞は頭が悪いと書かれているが、単細胞はわれわれが考えてきたよりずっと賢い」と話すと、数百人の観客から拍手と歓声を浴びた。
>  中垣氏らの研究では、3センチ四方の迷路に粘菌を置くと、最初はすべての道に体を伸ばす形でふさいでしまうが、迷路の入り口と出口に食べ物を置くと、最短距離だけを結ぶようになった。

 簡潔ですが,研究の主旨がよくわかります。
 中垣准教授のコメントは,説明するまでもないですが,日本語で単純な思考の持ち主を「単細胞」と呼ぶことにかけたジョークです。

コーラの殺精子効果研究など受賞=イグ・ノーベル賞 | 世界のこぼれ話 | Reuters
> [ワシントン 2日 ロイター] ユーモアがあり、かつ意義深い科学的研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が2日行われ、コーラ飲料に精子を殺す効果があることを発見した研究などに賞が贈られた。
>  ボストン大学医療センターのチームによるコーラの殺精子効果の研究は「化学賞」を受賞。1985年に発表された研究だが、受賞者の一人であるデボラ・アンダーソンさんは当時、コーラが避妊薬として利用されていたことから研究に着手。その後、エイズウイルスの感染を防ぐ効果もあることも突き止めたとしている

はい,バカその1。
「コーラに殺精子効果がないことを証明」した研究とセットで紹介しなければ意味がないのに,ご丁寧にエイズ感染も防ぐなんてことまで書きくわえたらこれは立派な誤報悪質なデマです
毎日新聞サイトのhentai記事に匹敵するくらいの「こぼれ話」報道といえます。

当然これをまんま配信しているエキサイトニュースも同じドツボにはまるわけで。
コーラの殺精子効果研究など受賞=イグ・ノーベル賞 | エキサイトニュース

これとほとんど同じような書きだし(デボラ・アンダーソンがエイズの感染効果も云々)ですが,CNNはしっかりまとめてあります。
CNN.co.jp:「コカ・コーラの避妊効果」研究にイグ・ノーベル化学賞
高い偽薬(プラセボ)に関する研究が受賞した医学賞も合わせて紹介し,
その他,全受賞者についても一通り紹介。
しかし,「殺精子効果」と「避妊効果」は正確には違うんじゃないかという意味ではいたずらに読者を煽る見出しをつけてて感心しませんね。

> 同賞は毎年、本家ノーベル賞の発表を控えた時期に発表される。授賞式には歴代のノーベル賞受賞者が出席。今年は化学賞受賞者に敬意を表して、壇上でコカ・コーラを飲んで祝福するなど、会場を盛り上げた。
私,これ結構趣味の悪いおふざけだと思うんですが…。
こういうことするから「コーラの避妊」に飛び付いて悪ノリ報道するマスコミも続出するんですよ…。


テレビでも本当に紹介する番組が多かったですね。
私は5,6本しか見てなかったのですが,全国で2,30は
くだらない数の番組が報じたことでしょうね。

現時点で動画が見られるのはこちら。
NHKニュース 研究者らにイグ・ノーベル賞
やっぱり,その迷路実験の映像がないとね。なかなかオモシロス。

フジ日曜夜の新番組(いろいろあった『サキヨミ』のリニューアル)
『サキヨミLIVE』でも,映像があったおかげで
出演者の誰ひとりとして「粘菌」が何かすらわからなかったのに
単細胞の生物がこんな動きをするってことが伝わりましたから
まあテレビ報道としてとりあげた最低限の意味はあったんじゃないでしょうか。
それにしても,通路の左右両端に苦い物質と甘い物質を
交互に配置すると,甘い物質を選んでジグザグに伸びていく
実験…「味覚も神経もないのにすごい!」って,
中垣准教授たちがそうおっしゃってるんでしょうけど,
私には単なる走性にしか見えないんですけどね…。


対して,同じく新番組のTBS土曜夜『情報7daysニュースキャスター』
は,せっかくMCのビートたけし氏が粘菌について基礎知識を
持っていた(南方熊楠など)のに,肝心の実験の内容がわからないために
あやふやでグズグズな説明しかできず,
過去にこんなおかしな研究が受賞した(昨年の牛糞バニラなど2件)
というお決まりの安易なネタのフリップトークで終わってしまってました。
あんな程度しか(スタッフが)わかってないならやらなきゃいいのに。

「ねんきん」問題 「最短」出口が見つかった?!: とくダネ!:J-CAST テレビウォッチ
> では、この研究を何に応用するのか? 笠井アナの「今、研究しているのは、交通渋滞の抜け道を解くカーナビへの転用です」に、今度は「エ〜ッ?」。
> 小倉キャスターは「カーナビの中に粘菌を放していくわけ??」

 私もどういうことか知りませんが,実際にどんな手法で研究してるのかいちいちワイドショーの時間内で説明するってのもせんないことで。ここでは別にちゃんと理解して貰えなくても「エ〜ッ?!」ってリアクションがとれただけでいいんでしょうね。


Winners of the Ig? Nobel Prize
Improbable Research http://improbable.com/ig/
より。近々表彰式の模様が動画でUpされるそうです。


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めざせイグ・ノーベル賞 傾向と対策 「世間を笑わせ、考えさせた」人に与えられる、それがイグ・ノーベル賞。
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posted by ドージマ・ダイスケ at 19:11| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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