2008年09月11日

news◇ヤマメにニジマスを産ませる!


いや…これはけっこうインパクトのある
おもしろい研究成果ですよ。

【 2008年9月11日 大型魚の養殖容易にする代理親技術 】

ニジマスの生殖細胞をヤマメの稚魚に移植し、ヤマメからニジマスを産生させることに、吉崎悟朗・東京海洋大学海洋科学部准教授が成功した。この代理親魚養殖技術を大型魚種に用いることでクロマグロの卵を、マサバのような小型魚を代理親として産ませることが可能になると期待されている。

吉崎准教授は、3倍体(染色体が通常の2セットでなく3セットあるため不妊の性質を持つ)のヤマメの稚魚に、ニジマスの精原細胞を移植し、ヤマメの両親からニジマスだけを生産させた。精原細胞は精子の元となる細胞で、これまで精巣で精子にしかならないと考えられていたが、吉崎准教授は、雌の稚魚の腹腔に移植すると卵にもなることを初めて突き止めた。

代理親となるヤマメに3倍体を使ったのは、通常のヤマメに同じ方法を試みると、ニジマスとともにヤマメも産んでしまう可能性があるため。3倍体ヤマメは、ヤマメの受精卵を10℃で培養し、受精から15分後に27℃で15分間処理することで得られる。

クロマグロなど大型回遊魚は、大型であるために卵の採取が困難で、これが養殖を難しくしている大きな原因の一つになっている。今回の技術を用いてクロマグロの卵を同属のマサバのような小型魚を代理親として産ませることができれば、養殖の効率を大きく改善できるとみられている。また、今回、精原細胞は雄の宿主に移植すると精子を生産し、雌の宿主に移植すると卵を生産することが初めて確かめられた。精巣内で精原細胞を経て精子に、卵巣内で卵原細胞を経て卵に分化する始原生殖細胞が非常に少ないのに比べ、精原細胞は精巣に大量に存在している。始原生殖細胞ではなく精原細胞を用いることも有用な魚種を大規模に増産する上で大きな意味を持つ、と吉崎准教授は言っている。

今回の研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の産業技術研究助成事業の一環として行われた。

新エネルギー・産業技術総合開発機構 プレスリリース


ヤマメは陸封型の魚で,海に下りると降海型のサクラマスとなり大きく育つわけですが,このニュースでは,同じサケ科(サケマス科)でも全く別の種類の魚,ニジマスの子(卵)を産ませようという技術。

3倍体の魚って,生殖器が未発達なぶん成長にエネルギーを使えて寿命が延びるので巨大化することが知られていますが,今回の研究では不妊であることを利用して,生殖細胞をつくることができればそれが移植細胞に由来することがわかるという実験なんですね。

で,小さい魚に大きな魚の卵を産ませることができると,養殖する稚魚を得るための卵を採取するのにすごく楽なんですね。クロマグロは近畿大が完全養殖に成功したといっても採卵できる親魚に育つまで3〜5年かかり,その親は体長3m,体重100〜300kgで,売るためにはそれくらい大きく育てたいにしても,採卵するための親として飼っておくのはきついでしょ。それが,サバにマグロの卵を産ませることができれば,成熟までの期間は半分〜5分の1程度に短縮でき,年間を通じて採卵が可能になるとのこと。
(リンク先のプレスリリース参照)

ヤマメの稚魚に移植されたニジマスの雄原細胞は自力で生殖腺の位置まで移動して卵巣をつくるんですって。発生のしくみはおもしろい。

こんな,学校の受業で習う内容と隣りあわせの研究で,夢のような養殖技術が実現するって,すごい醍醐味を感じました。

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posted by ドージマ・ダイスケ at 13:01| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | ◇生物番組・ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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漁業に使えそうな生殖細胞の異種間移植
Excerpt: ★東京海洋大学の准教授、吉崎悟朗氏は、孵化したばかりのヤマメの稚魚の腹腔にニジマスの始原生殖細胞を移植しニジマスだけを生産させることに成功した。 生殖細胞の異種間移植による代理親魚生殖技..
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Tracked: 2008-09-14 09:25
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