(兼国際生物学オリンピックの国内予選)7月20日(日)の第一次試験開催日まで,勉強がんばれ挑戦者!
というわけで,国際生物学オリンピック国内予選の過去問紹介第4弾。
昨年行われた第3回1次予選から紹介したいと思います。
全体で51問,100点満点で制限時間は90分。
そのうちの第27問〜第29問,今回はウニ特集です。
さっそくどうぞ!
問27)〜29)ウニの発生と系統について, 次の各問に答えよ。 問27)棘皮動物について述べた次の文の a 〜 c に当てはまる語句の正しい組み合わせは下のA〜Eのうちのどれか。(2点) ウニの属する棘皮動物は, 特徴的な a 相称の形態をしており, かつてはクラゲなどとともに放射相称動物として分類されていた時期もあった。しかし, 幼生期には b 幼生と呼ばれる左右相称の形態を示し, また原口が肛門に分化することから, むしろわれわれ脊椎動物と近縁な c 動物の一員として現在は分類されている。
問28)ウニは,中割球8つ,大割球4つ,小割球4つからなる16細胞期を経て発生する。幼生の骨片はこのうち4 つの小割球に由来する中胚葉性の一次間充織細胞から形成されることがわかっている。 そこで幼生骨格の形態の異なる2種間で一次間充織細胞を移植した場合に,どのような幼生骨格ができるかを調べる実験を行った。その結果,A種の一次間充織細胞を, 一次間充織細胞を除去したB種の胚に移植したところ,A種とよく似た骨格を持つ幼生に発生した。この結果から導き出される結論として@〜Dのうちで適切な記述を組み合わせたものはどれか。(2点) @ ウニの幼生骨格の形態は外胚葉細胞の影響によって決められる。 A ウニの幼生骨格は外胚葉がなくても形成される。 B ウニの幼生骨格の形態は一次間充織細胞のもっている 遺伝プログラムによって形成される。 C この実験結果からはB種の一次間充織細胞を, 一次間充織細胞を除去したA種の胚に移植した場合には, A種の骨格形態と似ることが予想される。 D この実験結果からはB種の一次間充織細胞を, 一次間充織細胞を除去したA種の胚に移植した場合には, B種の骨格形態と似ることが予想される。 A. @, B, C B. @, B, D C. A, B, D D. B, C E. B, D 問29)ウニの幼生の骨片の形態は, 図1のように多様である。このようなウニの幼生の骨片の多様性に関する説明で正しいものの組み合わせはどれか。ただし, 図1は幼生の左側半身の骨片形態を系統関係とともに示している。(2点) ![]() @ 幼生の形態は, 成体の形態に直接的な影響があることから, 適応的な進化はしないと考えられる。 A 幼生期にも捕食などの選択圧がかかるため, 幼生の形態は 適応的な進化をとげる。 B 「個体発生は系統発生を繰り返す」という言葉があるように, 幼生の骨格の形態は近縁な種間ほどよく似ている。 C 幼生の骨片の形態に種間で違いが見られるということは, 骨片の形態を作るための遺伝子のプログラムにも種間で 違いが見られることを示している。 A. @, B, C B. A, B, C C. A, B D. A, C |
答えはこちら(反転文字です)
問27)…D
問28)…E
問29)…D
■どうでしたか?わかりましたか?
問27…a:ウニやナマコなど棘皮(キョク皮)動物は,
ヒトデに代表されることでよくわかるように,
口を中心にした五放射相称の形をしています。
b:生物Iで習う超基本用語ですね。
ちなみにゾエアはカニなど甲殻類の幼生。
トロコフォアはゴカイなど環形動物や軟体動物の幼生。
aとbがわかればDで確定ですが,
c:棘皮動物は脊椎動物と同じ新口動物に分類されます。
問28…本文よりCとDではDのほうが正しいのでBかCかE。
Bはすべての選択肢に含まれるので,@かAのどちらが正しいか,
あるいは両方とも誤りかということになりますが外胚葉性細胞に
ついては本文では全く触れられていません。
問29…選択肢Aにしか含まれていない@が正しければこれで確定ですが,成体の形態に直接的な影響があれば適応的な進化はすると考えるのが妥当なので,文章からして間違い。
あとは,選択肢を見る限りA・B・Cのうち1つが間違いということになりますが,
A→正しい。(けど,骨片は内部の構造であって
選択圧がかかるような形態とは関係ないよなぁ…)
C→正しい。(「プログラム」の意味をどう解釈するか
〜「工程・過程」と考えると種間でも大差ないんじゃないかとも
思われる〜によって迷いそうな気もしますが,問28での用法から
いっても単純に遺伝子の違いと考えるべきでしょう)
Bは…正しそうな気もしますけど,図を見ると,
「近縁なものほど骨片の形が似ている」とはいえないでしょうね。
(左側の2番目と3番目で隣り合っているガンガゼとブンプクは
似ているようですが,図を読むと,ブンプクにはガンガゼよりも
マンジュウウニやキタノマクラのほうが近縁なんですよね)
いかがでしたか?ややこしいといえばややこしい,しかし意外と簡単というか,知識がなくても解けたりする問題でもあります。
さすがに国際生物学オリンピックの国内予選も兼ねているだけに,高得点を獲ろうと思うと高校で習う生物の知識ひととおりプラスアルファが必要です。しかし,昨年・一昨年と国際オリンピック本戦で連続メダル獲得した浜崎真夏さんは最初の国内予選受験時は中3だったように,小さい頃から本や図鑑などに親しんでいて問題に出てくる用語がわかるくらいのマニアックな子,学校の部活などで高度な生物の知識に触れているという子なら中学生でもけっこうわかる問題があるんじゃないでしょうか。
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